もぐ菜のみっしり茶匣(はこ)院

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オリジナル 霧島と夏貴の出会いの物語 summer Rose(8)

2010-12-21 00:08:01 | 腐女子の御伴
         *ご注意*




*もぐ菜がカキした鬼畜眼鏡の二次創作小説のオリジナルキャラで通常の本編の霧島×御堂さんに繋がる前の物語です。鬼畜眼鏡のキャラは登場しません悪しからず。





         summer Rose(8)




黒の羽織(はお)りと着物を着た男性は自分のおでこにかかったやや長い前髪をサラサラと手で触る。夏貴はその男性に言う。

「あなたは、だれ??」

「名前はない。」

「じゃ、しらない。」

「お嬢ちゃん君が持って行った本は、僕がお金を出して譲って貰(もら)った本なんだよ。」

「やだ。」

男性の後ろから霧島の声が聞こえた。

「そこまでにして頂(いただ)けますか。」

男性は振り返ると霧島が居た。

「ほぉ~ 異府(いふ)で畏(おそ)れられた者が、こんな少年に化(ば)けてるとね。お嬢ちゃん君は、とんでもない者に魅入(みい)られてしまった。悪い事は言わない本契約がまだ済んでないのなら、この者の名前と顔を忘れた方が良い。」

「あきひこさんたすけて。」

男性の正面に立って居た霧島の姿が消えると夏貴の真横に姿を現すと夏貴は霧島にしがみついた。

「まったく。」

男性はそう呟(つぶや)き自分の前髪をグシャグシャと手でかき上げた。

「本を返して欲しいなら、低姿勢になられたらどうです?? 夏貴様は私の事をご存知(ぞんじ)ですよ。」

「………」

「そのほんあげるけど、なつきのいうことをきいてくれる??」

「元々は僕の本だぞ。」

「力づくと言うのならば─────── 容赦(ようしゃ)はしません。」

男性は困ったと言わんばかりに溜め息をつき夏貴を見つめ不本意に言う。

「お嬢ちゃん君の、お願いとやらを聞こうか。」

夏貴はニッコリと勝者の笑みを浮かべ隣に居る霧島にピースを決めた。

「さすが夏貴様です。」

霧島はご満悦な表情を浮かべた。

一刻堂(いっこくどう)の眉間(みけん)の皺(しわ)がより数が増え深くなった。

「おなまえはなに??なつきの、おともだちになってね。」

「名前は屋号(やごう)が通り名で、一刻堂(いっこくどう)と呼ばれて居る。では、夏貴殿、以後宜しく。」

夏貴は体調が安定せず幼稚園に通えないので、お友達を作るきっかけがないのでお友達が欲しかった。

一刻堂(いっこくどう)はそう言うと、夏貴に右手を差し出した。夏貴は一刻堂(いっこくどう)の手を見る。

大きな手な割には指は細く白い手だった。夏貴は右手を、ひょいと出し一刻堂(いっこくどう)の手を握り握手(あくしゅ)をした。

その手触りはさらりとした肌でひんやりとして冷たい。

「ねぇ、あなたはゆうれいなの??」

「僕は人間だ。」

「貴方(あなた)が人間と言い張るのであれば、まだ人間なのでしょうね。」

「僕は独(ひと)りの人として寿命(じゅみょう)を、全(まっと)うしたいだけだ。永久(とわ)に生きて余計な事を考えて心身が、疲れるなんて僕はまっぴらごめんだ。」

一刻堂(いっこくどう)は皮肉めいた笑みを浮かべる。

霧島は一刻堂(いっこくどう)を見てつくづく喰えない奴と思った。夏貴の条件を飲んだので霧島は一刻堂(いっこくどう)にお目当ての本を六冊きっちり渡した。

一刻堂(いっこくどう)は着物の胸元の合わせ目のから、カードケースを取り出すと中から名刺(めいし)を出し夏貴に手渡した。

「遊びに来るなら、電話をしてから来なさい。幽霊ではないので家に住んでる。」

「おてがみかくよ。うん、あそびにいくからね。」

夏貴は一刻堂(いっこくどう)の名刺(めいし)を物珍(めずら)しげにご機嫌で見て居た。

「では失礼する。」

一刻堂(いっこくどう)がそう言うと気配(けはい)が消えたと思うと、庭の門の遠くに姿が現れたと思うとまた消えてしまった。

「ようかいかも……」

夏貴は消えた一刻堂(いっこくどう)を見て目をパチパチさせて呟(つぶや)いた。



一刻堂(いっこくどう)の家系は呪術(じゅじゅつ)を生業(なりわい)とし、先祖達は時の権力者達に仕えある時は翻弄(ほんろう)し莫大(ばくだい)な財産を成した。今は表舞台に立つ事のない一族。一刻堂(いっこくどう)は今でも闇の末裔(まつえい)とも言わてる。

その一族の血筋(ちすじ)には妖(あや)かし血が受け継がれてるとも、人ではない者の血が混ざってるとも言われ異府(いふ)の者達とも面識(めんしき)がある様だ。

本人が人間と言い張るのでどうやら、まだ人間として生活をして居る様だ。霧島からすれば限りなく自分と同じく、異府(いふ)の者と同じ気配(けはい)がし既(すで)に一刻堂(いっこくどう)は人間離れした者になって居ると思った。



座敷(ざしき)の奥から声がして夏貴は振り返ると、昼寝から起きて来た姉の夏美が声をかけてきた。

青のトレーナー上下の姿で眠そうに目を擦り縁側に座った。

「なつき、だれかいたの??」

「いないよ。」

霧島な気配(けはい)ともに姿は消えて居た。

夏美はお盆の皿に切られた西瓜(すいか)を手に取り、起きぬけに西瓜(すいか)を食べた。

夏貴はワンピースのポケットに一刻堂(いっこくどう)の名刺(めいし)を、そっと入れ西瓜(すいか)を一切れ手に取り食べた。





summer Rose(9)

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