皆さん、明けましておめでとうございます。かなり更新をサボっていていつの間にか新年になりましたが、今年もよろしくお願いします。
ところで、最近賃金の下方硬直性について書いている記事をいくつか読んで驚いたのだが、この現象について誤解している人もいるようだ。賃金の下方硬直性というのは、何らかの原因で競争的な市場において決まる場合と違って賃金が変動しにくく、特に一度上がった賃金が低下しにくいことを言う。具体的には、労働組合のあるなしに関わらず、多くの常勤雇用の賃金は不況になっても下がりにくく、これが価格変化による市場の均衡を妨げ、不況の長期化や失業の大きな原因になっている。
そのため、賃金の下方硬直性を解消することが不況の長期化や失業問題を解決するひとつの重要な手段と言えるかもしれない。そこで、賃金の下方硬直性を解消するために、最低賃金の引き下げがいくつかの記事で指摘されていた。しかし、賃金の下方硬直性というのは現在雇用されている労働者の賃金が必要な額だけ低下せず、その結果失業者が多く出たり、底辺の労働者の賃金が必要以上に低下する減少である。つまり、問題の本質は保護されている者とそれ以外との間で市場競争で起こるよりもはるかに大きな賃金格差が生じてしまっていることにある。
だから、賃金の下方硬直性を解消するために最低賃金を下げるべきだというのは理論的に矛盾した主張だ。本当に賃金の下方硬直性を解消したければ労働者の賃下げを認めればいいだけである。アルバイトなどの時給は不況になれば二割とか下がったりするのに、高収入な労働者の賃金を保証することは不平等そのものだろう。