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比較優位

2009年06月08日 | 経済学

日本とアメリカの学問や研究活動の違いの一つに研究補助系の仕事の量と質がある。アメリカの場合には、優秀な研究者が中心となって仕事の一部を他の人に任せて研究を進めていくということが盛んに行われている。このようなことが起こるのには、優秀な人材に対して他の研究者と比べて格段に多い予算と人材が与えられるからだ。優秀な研究者にとっては、自分がすべての作業をするよりも他の人に一部を任せたほうが効率的なので、比較優位の結果一部の作業を他の人に任せることになる。結果として、大学などでは多くの大学院生が研究補助の仕事によって学費だけではなく、生活費も賄えている。

日本の場合には年功序列であるために、どの地位にあるかによって研究環境が決まってくる。このやり方の決定的な問題点は、地位の高い人間が行えば高い賃金が払われ、地位の低い人間が行えば低い賃金しか払われないので、効率性や比較優位というような考え方が入り込む余地がないことである。結果として、能力が低くても高い地位によって高収入を得る研究者がたくさん発生し、多くの予算を飲み込んでしまっている。さらに、地位が重要であるために地位についているかどうかで決まるので、地位についているものとそうでないものとの格差が開き、補助的な仕事の地位が不当に低くなってしまっている。

現在、日本において博士の就職難が問題になっているが、日本以外の国においては高度教育の拡充が重点目標になっている。しかし、日本においてはすべてが保障された正社員とそれ以外とに労働市場が分かれているために、一度与えられた正社員の地位が延々に昇給しつつ維持されるために、高い待遇か非常に低い待遇かのどちらかに分かれてしまって、ちゃんとした市場が形成されていない。本来なら、賃金が適正であれば、高度な知識を身につけた労働者の雇用というのは、いくらでもあるのが普通なのだが、それが不足していると言う異常な状態に日本はあるのである。

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