<マウス>性行動抑えるフェロモン、ネズミ対策に活用も
毎日新聞 10月3日(木)10時25分配信
子どものメスマウスの涙に大人のオスマウスの交尾行動を抑えるフェロモンが含まれていることを、東京大大学院の東原和成教授や米ハーバード大などの研究チームが突き止めたと、3日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。倉庫のネズミ対策などに生かせる可能性がある成果としている。
マウスでは尿や涙に含まれるフェロモンが性行動や社会行動を制御することが知られている。研究チームは性的に成熟する前の子どものメスが涙に分泌するたんぱく質を発見。これを分泌しない欠損型と普通の分泌型でメスの子どもに対するオスの交尾行動を比較した。
その結果、欠損型に対する交尾行動は、普通のメスより3~5倍多かった。欠損型にこの物質を塗ると、オスは交尾行動をとらなくなり、大人のメスに塗っても交尾行動が3分の1程度に減った。フェロモンとして嗅覚器(鋤鼻(じょび)器)で感知され、脳に伝わることも確かめた。人間にはこの物質を作る遺伝子がなく、鋤鼻器も機能しておらず、成果は当てはまらないという。【青野由利】