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以下は9/7に産経新聞に、国内経済脅かす「消費降格」、と題して掲載された石平さんの論文からである

2018年09月10日 10時06分46秒 | 日記

以下は9/7に産経新聞に、国内経済脅かす「消費降格」、と題して掲載された石平さんの論文からである。

文中強調は私。

中国のネットで先月以降。「消費降格」という言葉が大きな話題となっている。

消費降格とは「消費のレベルが下がった、下げた」という意味合いである。

若者を中心とした多くのネットユーザーは 「微博(ウェイボー=中国版ツイッター)」や各種の掲示板・コメント欄などで自分たちが今、外食・外出・衣類の購入などを控えて節約に励んでいることを自嘲的に語って人気を博したり、「貧乏自慢」や「節約術自慢」を競い合って大いに盛り上がったりしている。

8月23日、ニューヨーク・タイムズの中国版サイトで、袁莉という中国人記者が書いた記事が掲載された。

「子供を産まない、デートしない、中国は“消費降格”の時代を迎えたのか」というタイトルである。

記事は、中国国内での幅広い取材に基づいて、都市部に住む多くの若者たちの消費志向と実態を次のようにリポートしている。 

彼らの多くは日常生活においてはタクシーよりも自転車、外食よりも自炊、バーでカクテルを飲むよりも自宅で缶ビールを飲み、出費の多いデートより、1人でスマホをいじることを好むという。

そして、人生設計において一部の若者たちは未来の経済状況に対する不安から、子供を産むことを断念し、自らの老後のために貯蓄に励む道を選んだというのである。 

このような内容の記事が掲載されると、全国さまざまなサイトで転載され、広く読まれた。

「消費降格」に関するネット上の議論はより一層盛り上がったのである。 

こうした中、安酒の代名詞ともなっている「二鍋頭」という銘柄の中国酒のメーカーと、全国でよく食べられている搾菜という漬物のメーカーが両方とも業績を大幅に伸ばして株価を上げた。

それもまた「消費降格」を表す現象として注目されている。

安酒を飲みながら「ご飯に搾菜」という食生活を送っている人が増えていることが分かったからである。 

即席ラーメンの消費量が増えていることも注目されている。

例えば中国で特に人気のある「康師傅」という銘柄の即席ラーメンの場合、今年上半期の売上総額は前年同期比で8.4%増となった。

これはカップラーメンをすすって食事を済ませる人が増えていることを示している。

自動車市場の動向にも異変があった。

今年7月、全国の自動車販売台数は前年同月比では4%減、前月比では何と16.9%も減少した。

一部専門家の分析では減少の傾向は今後も続きそうだという。  

8月中旬に国家統計局が発表したところによると、7月の全国の社会消費品小売総額の伸び率は、前年同月比で1.6ポイント減となって15年ぶりの低水準となっている。

「消費降格」が単なるネット上の噂や人々の主観的な感覚ではないことが、客観的な統計数値によっても裏付けられた。 

もちろんそれは、中国経済全体にとっては由々しき事態である。

これまでも慢性的な消費不足はずっと、中国経済成長の最大のネックとなっている。

日本や米国の個人消費率は6070%であるのに対し、中国のそれは37%前後。 

中国経済に占める国民の消費する割合は4割未満しかないのである。 

消費が不足しているが故に、中国はずっと、投資と輸出の拡大で経済の成長を引っ張ってきている。 

しかし今、国内投資の過剰と「一帯一路」構想の失敗によって投資の伸びは大きく鈍化しており、米国から仕掛けられた貿易戦争においても、中国の対外輸出は大きく減少していくであろう。 

こうした中で、中国経済にとっての唯一の生きる道は内需の拡大であるのだが、「消費降格」が広かっていくと、「内需拡大」は夢のまた夢。 

中国経済は今後、絶体絶命の危機を迎える。


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