文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

国際犯罪監視機関による国別番付では、中国が文句なしの不法漁業事犯第1位である。 

2021年12月13日 18時01分14秒 | 全般

以下は11月26日に発売された月刊誌WiLLの巻頭に、文明の不作法、と題して掲載されている湯浅博の連載コラムからである。
加地伸行大人の連載コラムから始まる巻頭の5個の連載コラムだけでも、月間購読料5,000円を朝日新聞に払って得られる真実を凌駕していると言っても全く過言ではない。
日本国民のみならず世界中の人達が必読である。
このコラムは、特に、グレタ・ツーンベリが必読。
中国に対抗する「鉄の女」の胆力
かつてインドネシアには、英国のサッチャー首相のような胆力のある「鉄の女」がいた。
サッチャー首相がフォークランド紛争で「シンク」(撃沈せよ)と出撃命令を出したように、インドネシア版のアイアン・レディーは、南シナ海で狼藉を慟く中国漁船 に数百回にわたりこの「シンク」を連発した。  
サングラスにくわえたばこがお似合いのスシ・プジアストゥティ元海洋水産相である。
右足には不死鳥の入れ墨があり、拿捕するたびに「爆破せよ」と啖呵を切った。
おかけでジョコ政権の大臣就任以来、南シナ海のナトゥナ諸島周辺海域で違法操業する中国漁船がしり込みするようになった。  
さらに、スシ大臣はインドネシア国境域の20ヵ所に総合海洋水産センターを建設した。
中国漁船が出没するナトゥナ諸島の同センターには、その政治力で国軍の軍事基地もつくらせた。  
ところが閣内には、外国密漁船の拿捕後の爆破処理に、「もう十分だ」と停止を主張するルフット海事調整相らがいて、拿捕した漁船は地元漁師に与える方針を示した。カラ副大統領も、「抗議する国がある」とかで、スシ大臣の方針は大きく後退した。以後の「シンク」命令は出たり、出なかったり。
ジョコ政権の対中忖度さえ噂されていた。 
スシ大臣が2019年10月に海洋水産相を退くと、また中国漁船の出没がちらほら。
最近はカリマンタン島(ボルネオ)西側にあるインドネシアとマレーシアの排他的経済水域(EEZ)を調査する中国の海事調査船や航空機が出没し、マレーシアの石油開発への嫌がらせへと広がっている。 
エネルギー不足にある習近平政権は、石油と天然ガスの新たな資源を求めて両国のEEZ内まで触手を伸ばしている。
中国は10年前より50%多くの石油と100%多い天然ガスを消費しており、南シナ海を「中国の海」として資源を荒らしまわる。
ところが、インドネシアもマレーシアも自己規制によって中国との関’係悪化を避けているのが実情だ。 
この9月と10月に中国の測量船がインドネシア海域のEEZに入っても、どういうわけか現場のダト・ラサウマン司令官はジョコ大統領に「すべてが安全に管理されている」と報告しているという。
クールで豪快なスシ元大臣の歯ぎしりが聞こえてきそうだ。 
彼らの弱みは中国との経済関係にある。
2001年以来、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)との貿易は約9倍に拡大しており、10年以上にわたり中国はASEAN最大の貿易国になった。
特にインドネシアは新幹線構想も含め、中華経済圏構想である「一帯一路」として900億ドルを超える新規開発プロジェクトを抱えている。 
やはりボルネオ島に領土をもつマレーシアも、また、「一帯一路」の受益国で、同様に反応が鈍い。
かろうじてマレーシア外務省は、10月4日になって首都クアラルンプールの中国大使を召喚して、沖合の中国測量船の存在に抗議した。 
中国が荒らしまわるのは、この南シナ海やわが尖閣諸島のある東シナ海だけではない。
南アメリカ沿岸やアフリカ沿岸にまで及ぶ。
これら漁船団は、「海洋大国」を目指す中国共産党の取り組みの一翼を担う。
漁船団は国をバックに世界最大規模に膨張し、一段と攻撃的になる。 
米紙によると、昨年8月に約300隻の中国の大型トロール漁船がエクアドル領ガラパゴス島付近で操業していた。
航行監視システムのスイッチを切り、船名を改ざんして違法操業を繰り返す。
巨大冷凍船が公海上に何ヵ月もとどまり、乱獲と加工を行っていた。 
不法行為に怒り心頭のラッソ大統領は、たまりかねて奇策に打って出た。
元来、漁業とは無関係の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に乗り込んで、ガラパゴス諸島周辺海洋保護区を拡大することを明らかにした。
すると、これに呼応してコロンビア、パナマ、コスタリカがさらに広い海洋保護区を設定すると発表した。
中国の巨大漁業船を「漁業資源を略奪している」と非難して、操業を阻止するためだ。 
最初に姿を現した中国漁船は50隻に満たなかったが、いまや800隻が中南米の沖合に出現するという。
国際犯罪監視機関による国別番付では、中国が文句なしの不法漁業事犯第1位である。 
遠洋漁業は習近平国家主席の国家開発計画の中に組み込まれ、中国の不足している食糧安全保障を確保する意味合いがある。
これら中国の問答無用の不法行為には、「鉄の女」の胆力こそが求められている。


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