文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

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つい最近までアメリカや日本の一部で続いていた研究所流出説を陰謀説とみなす動きこそが、陰謀説だということになってきたのだ

2021年09月02日 17時04分35秒 | 全般

以下は、世界最大級の中国隠蔽工作、「すべての証拠が流出を示している」、研究所流失説を示す材料、と題して、発売中の月刊誌Hanadaに掲載されている古森義久の、3段組でp241からp249に渡る論文からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
「すべての証拠が流出を示している」
研究所流出説を示す材料 
中国の武漢で発生した新型コロナウイルスは、なお全世界で猛威をふるっている。
日本はなんとか1年遅れの東京オリンピックを成功裏に終えたが、なお日本の国家も社会も国民も、この邪悪なウイルスに苦しめられている。 
こんな事態がなぜ起きたのか。今後の再発を防ぐ意味でも、この探究は欠かせないだろう。
中国で発生したこの危険な感染症が、なぜ全世界に広まったのか。なぜ日本をも麻痺させたのか。 
日本では、国政のレベルではこの新型コロナウイルスの発生源追究の動きはまったくみられない。発生源としての中国への言及さえない。 
だがアメリカでは、政府や議会が正面からその追究に取り組んでいる。
官民の多数の組織がはっきりと中国を名指しして、中国の内部でなぜこのウイルスが発生し、いかに外部世界へと大拡散したのかを間断なく問いつめてきた。 
これまでのアメリカでの調査では、このウイルスが動物から人間に自然に感染したとする「自然感染説」と、武漢の国立ウイルス研究所から流出したとする「研究所流出説」とが提起されてきた。 
当初は中国政府の公式な主張でもある「自然感染説」が有力であり、「研究所流出説」を「陰謀説」だと断じる向きも多かった。 
だが、今年春ごろから状況は大きく変わった。アメリカの調査では自然感染を裏づける根拠がみつからず、逆に研究所流出を示す材料が次々に判明してきたのだ。 
バイデン大統領も5月下旬にはこの両方の説を踏まえて、アメリカ政府の情報機関に徹底調査を命令した。
その調査は当面、90日をかけ、8月下旬に結果を出すことを求められている。 
こうした情勢のなかで、8月はじめ「新型コロナウイルスは武漢ウイルス研究所から流出した」と総括するアメリカ議会の大規模な調査結果が公表された。 
下院外交委員会の共和党議員24人が共同で作成した「新型コロナウイルスの起源」というタイトルの調査報告である。副題は「武漢ウイルス研究所の調査」。
作成の責任者は、同外父委員会の共和党側筆頭メンバーのマイケル・マコール議員だった。実際の調査活動には、同委員会共和党側の作業班スタッフがあたった。
同議員団では、コロナウイルスの発生源やその経緯について中国側の発表を虚偽だとして追及する調査報告を昨年の6月と9月の2回、公表しており、今回は3回目、最終総括だとしている。
自然感染説は完全に崩れた 
この調査の当初の2回は、中国政府が武漢で発生したウイルスの発生目体や発生後の事実を故意に隠蔽した実態に主な光を当てていた。
だが今回はウイルスの発生の起源や経緯、さらに中国側のその実態のカバーアップ(隠蔽工作)を詳細に指摘している。 
報告君は合計83ページで、中国側の政府内部の指令や通達などを引用している。 
調査責任者のマコール議員は8月1日の報告書公表における公式声明で「この調査で中国側のウイルスの自然感染説は完全に崩れ、すべての証拠が武漢ウイルス研究所からの流出を示すにいたった」と明言した。 
報告書は中国側の自然感染説の多様な主張を、具体的な証拠をあげて「ウソ」とか「虚偽」という激しい言葉で否定。
マコール議員は、中国側のこの種の動きを「世界の歴史でも最大級のカバーアップだ」とまで評した。 
なんのことはない。つい最近までアメリカや日本の一部で続いていた研究所流出説を陰謀説とみなす動きこそが、陰謀説だということになってきたのだ。 
武漢ウイルスの発生については、アメリカ側の国政の場でこのところ研究所流出説を裏づける資料や証言の公開が相次いできた。 
だが、今回の下院外交委員会の調査報告書はその規模や詳細さ、具体性などで他を圧している。報告書の要点を紹介しよう。
2002年から研究開始 
まずこのコロナウイルス発生の主舞台は、中国湖北省武漢市武昌区にある武漢ウイルス研究所(中国側の正式名称は中国科学院武漢病毒研究所)だとされる。 
同研究所は、付属機関として同じ武漢市内の20㎞ほど離れた地域に武漢国家生物安全実験室という研究施設をも抱えている。 
武漢ウイルス研究所は1956年に武漢微生物実験室という名称で開設され、その規模を拡大していった。
活動目的は名称のとおり、ウイルスや細菌など、とくに感染症、伝染病の研究とその防止とされるが、中国人民解放軍との絆も強く、生物(細菌)兵器の開発にもかかわってきたといわれる。 
組織的には中国政府科学院の傘下にあるが、実際には副所長はじめ要所要所には軍部から派遣された軍人が「人民解放軍南京軍管区」などという出身母体を明確にして勤務してきた。
ただし後述するように、中国側はいまこの研究所に関する公式資料を全面的に削除、撤回している。 
しかし今回のアメリカ議会の報告書は、すでに公開されていた中国側の記録などを基礎に同研究所の軍部とのつながりや、その研究活動の危険性について実態を伝えている。 同報告書によると、現在の新型コロナウイルスの広がりの原因になったとみられる同研究所での活動として、以下のような動きがあった。
・2002年ごろから中国南部で流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)のコロナウイルスを研究し、数年後から人工的な遺伝子組替えによって人間への感染力を強める「機能獲得」という作業が開始された。その目的は人間のコロナウイルス感染防止のためのワクチン開発だとされたが、疑念が消えなかった。
・この研究の中心は、同研究所の実験部長など要職を歴任した女性医学者の石正麗氏で、SARSのコロナウイルスが中国雲南省の洞窟に住むコウモリから発生したと指摘するなど、中国では「コウモリ女」とも呼ばれた。石氏は現在にいたるまでコロナウイルスの研究を続け、「機能獲得」に成功したという趣旨の論文をも発表してきた。
・同研究所では、2019年はじめごろまでには現在の新型コロナウイルスと同じウイルスが「機能獲得」などの人工的な操作で完成していたことが、中国側の複数の研究者の発表や発言で確実となっていた。ただし、そのための実験の場の安全措置が不十分で感染や流出の危険があることは、アメリカ国務省の公文書でも確認されていた。 

この報告書では、とくにSARSウイルスの修正についてウイルス学的な見地からの詳細な説明を含んでいる。
SARSのコロナウイルスと現在の新型コロナウイルスは酷似し、構造は90%以上が同じだが、新型コロナウイルスのほうが感染力は10倍以上も強いという。 
そのためになされた機能獲得として、人間の細胞に侵入する突起物の「スパイク蛋白質」とか、そのスパイクを強化する蛋白質分解酵素「プリン」など、SARSにはない補強機能も説明されている。 
石正麗という女性の研究者もすでに著名だった。
少なくとも、ここ20年ほどコウモリに始まるコロナウイルス研究を専門に手がけて、国際的にも知られてきた。
だが、いまでは研究所流出説の否定に必死となっている。
なぜウイルスは流出したか
同報告書は、武漢ウィルス研究所の安全措置の不備については、この種の危険な実験が国際的基準の生物安全レベル(BSL)のうち2や3の水準で実施されていたことに警告を発している。
ちなみに、レベル2は一般の歯科医院と同様で、安全度はきわめて低い。
SARSのウイルスの機能獲得の作業には、レベル4の安全度の施設が不可欠とされる。 
だが、武漢ウイルス研究所でのその種の実験では、レベル4施設の使用はきわめて少なかったという。 
では、危険な新型コロナウイルスは、研究所から外部へどう流出したのか。その流出の証拠とはなにか。これらの重要点について、報告書は以下の諸点をあげている。 
・2019年9月はじめごろから武漢ウイルス研究所から9㎞ほどの範囲内にある病院6ヵ所で、患者が異様に急増したことがアメリカ側の人工衛星の偵察で明示された。
同時に、この地区の住民が中国最大の検索エンジン「百度」でコロナ感染の症状の「咳」や「下痢」について調べる回数が異様に急増した。 
・この時期まで、同研究所では危険なウイルス研究に関与する所員たちも、わりに自由にシャトルバスや地下鉄で所の内外を出入りする状況が当時、所内のごく少数の外国人だったオーストラリア人研究者によって目撃されていた。 
同時に、ウイルスの自然感染説を支える武漢の海鮮市場やその他の野生の動物からの感染を示す証拠は皆無だった。
・それでも、なお武漢市当局は当時、発病者のうち市内の華南海鮮市場に接触した人だけを「新型肺炎患者」と定義づけていた。しかしこの市場では、ウイルス源の可能性のある動物類やそのコロナ感染は一切、発見されず、逆に同市場にまったく触れていない市民の間での感染が急増していた。 

以上の記述だけでは、なお完全な断定はできない。
流出説は仮説だと述べながらも、同報告書は「研究所の一人、あるいは複数の所員が所内で新型コロナウイルスに感染し、所外に出て感染を広げたという可能性以外は考えられない」と総括している。 
同報告書は、最重要点の研究所員の感染について、一方では「仮説」とか「可能性」という表現で断定を避けるような姿勢をみせながら、他方でその感染と所外への流出を確認された事実のような明快さで総括している。
この点には解説も必要だろう。
この稿続く。


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