人件費高騰 東南アにシフト 青山商事や良品計画
衣料品・雑貨各社が中国の生産比率を大幅に下げる。青山商事や良品計画はそれぞれ現在75%、60%の中国比率を3年後をめどに50%以下にする。
この1~2年で中国の人件費が約2倍高騰したことを受け、他の衣料・雑貨企業も東南アジアを中心にさらに人件費が安い地域に生産をシフトする。国内の厳しい価格競争は続きそうで中国に次ぐ供給拠点づくりが成長を左右しそうだ。
青山商事はベトナム、ミャンマー、カンボジアに加え、今年度中をめどにインドネシアでもスーツの委託生産を始める。生地は従来通りイタリアや中国から調達し、縫製工程の拠点として東南アジアを活用する。
良品計画も3年後をメドに、全商品調達のうち中国比率を6割から半分弱に抑える。衣服の中国協力工場は229から86に集約。家具や雑貨で木製の商品は木材産地である東南アジアからの調達を増やす。
「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは、まず低価格衣料店「ジーユー」の商品で中国以外の生産を拡大。
バングラデシュやインドネシアに拠点を持つ企業への生産委託を増やし、現在2~3割とみられる中国以外での生産を5割に引き上げる方針を打ち出している。ファストリは国内外で積極出店を続けるなか中国での生産量を少しずつ増やすが、それを上回る勢いで他の地域からの調達を増やす。
自社工場を中国外に設ける動きも広がっている。TSIホールディングス傘下の東京スタイルが10億円を投じ8月にベトナム中部のフエに縫製工場を着工。婦人衣料品店のハニーズも今秋をめどにミャンマーに縫製工場を稼働する。
1990年代以降、衣料品各社は人件費の安さを理由に中国で衣料品を生産し、デフレ下の日本で急成長した。だがこの1~2年で中国の人件費・が約2倍に上昇。バングラデシュの場合、中国の5分の1ともいわれる。このため最新鋭機械があれば熟練工をあまり必要としない縫製拠点を中国以外に移し始めた。
ただ縫製以外の工程では中国依存はしばらく続く見通しだ。衣料品の生産工程は糸から生地をつくる「機(ハタ)」と、生地を縫製する「縫い」に大きく分けられる。
縫いに比べ、ハタは技術が必要なことに加え、綿花や羊毛などの産地が近隣にないと生産効率は上がらない。日本の周辺で縫いもハタもできる国は現時点で中国しかなく、生産地としての役割は引き続き残りそうだ。
価格競争激化 背景に
H&Mなど海外勢 拠点分散で先行…日経新聞8月18日9面より
衣料・雑貨各社が中国以外での生産拡大を進めるのは、世界的な価格競争が背景にある。中国の人件費が急騰するなか、拠点の分散化で商品調達費を抑え、低価格品を安定的に投入する体制を整えることが成長の大前提となりそうだ。
中国依存が長い日本企業と異なり、スペインの 「ZARA」やスウェーデンの「H&M」、イケアなど国際的な大手専門店チェーンは東欧や南米、アジアなどいち早く商品調達の網を世界に広げている。日本企業も世界規模で調達先確保が求められている。
中国リスクは人件費の高騰だけではない。2010年から今年にかけて中国の休日である「春節」後に、工場に労働者が戻らず、十分に日本向けの商品を確保できなかった企業が続出した。ユニクロや青山商事、量販店など大手は中国からでも調達量は十分に確保できているが、今のうちにリスク対策を立てる必要があるとみている。
実際、財務省の貿易統計によると、11年1~6月の衣類の輸入金額に占める中国の割合は79・6%と10年(通年)に比べ2・5ポイント低下。
対照的に東南アジア諸国連合(ASEAN)の占める割合は10・8%と2・Oポイント上昇した。製造技術も向上してきた東南アジアでの供給戦略の成否が今後の成長のカギを握るのは間違いない。
衣料品・雑貨各社が中国の生産比率を大幅に下げる。青山商事や良品計画はそれぞれ現在75%、60%の中国比率を3年後をめどに50%以下にする。
この1~2年で中国の人件費が約2倍高騰したことを受け、他の衣料・雑貨企業も東南アジアを中心にさらに人件費が安い地域に生産をシフトする。国内の厳しい価格競争は続きそうで中国に次ぐ供給拠点づくりが成長を左右しそうだ。
青山商事はベトナム、ミャンマー、カンボジアに加え、今年度中をめどにインドネシアでもスーツの委託生産を始める。生地は従来通りイタリアや中国から調達し、縫製工程の拠点として東南アジアを活用する。
良品計画も3年後をメドに、全商品調達のうち中国比率を6割から半分弱に抑える。衣服の中国協力工場は229から86に集約。家具や雑貨で木製の商品は木材産地である東南アジアからの調達を増やす。
「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは、まず低価格衣料店「ジーユー」の商品で中国以外の生産を拡大。
バングラデシュやインドネシアに拠点を持つ企業への生産委託を増やし、現在2~3割とみられる中国以外での生産を5割に引き上げる方針を打ち出している。ファストリは国内外で積極出店を続けるなか中国での生産量を少しずつ増やすが、それを上回る勢いで他の地域からの調達を増やす。
自社工場を中国外に設ける動きも広がっている。TSIホールディングス傘下の東京スタイルが10億円を投じ8月にベトナム中部のフエに縫製工場を着工。婦人衣料品店のハニーズも今秋をめどにミャンマーに縫製工場を稼働する。
1990年代以降、衣料品各社は人件費の安さを理由に中国で衣料品を生産し、デフレ下の日本で急成長した。だがこの1~2年で中国の人件費・が約2倍に上昇。バングラデシュの場合、中国の5分の1ともいわれる。このため最新鋭機械があれば熟練工をあまり必要としない縫製拠点を中国以外に移し始めた。
ただ縫製以外の工程では中国依存はしばらく続く見通しだ。衣料品の生産工程は糸から生地をつくる「機(ハタ)」と、生地を縫製する「縫い」に大きく分けられる。
縫いに比べ、ハタは技術が必要なことに加え、綿花や羊毛などの産地が近隣にないと生産効率は上がらない。日本の周辺で縫いもハタもできる国は現時点で中国しかなく、生産地としての役割は引き続き残りそうだ。
価格競争激化 背景に
H&Mなど海外勢 拠点分散で先行…日経新聞8月18日9面より
衣料・雑貨各社が中国以外での生産拡大を進めるのは、世界的な価格競争が背景にある。中国の人件費が急騰するなか、拠点の分散化で商品調達費を抑え、低価格品を安定的に投入する体制を整えることが成長の大前提となりそうだ。
中国依存が長い日本企業と異なり、スペインの 「ZARA」やスウェーデンの「H&M」、イケアなど国際的な大手専門店チェーンは東欧や南米、アジアなどいち早く商品調達の網を世界に広げている。日本企業も世界規模で調達先確保が求められている。
中国リスクは人件費の高騰だけではない。2010年から今年にかけて中国の休日である「春節」後に、工場に労働者が戻らず、十分に日本向けの商品を確保できなかった企業が続出した。ユニクロや青山商事、量販店など大手は中国からでも調達量は十分に確保できているが、今のうちにリスク対策を立てる必要があるとみている。
実際、財務省の貿易統計によると、11年1~6月の衣類の輸入金額に占める中国の割合は79・6%と10年(通年)に比べ2・5ポイント低下。
対照的に東南アジア諸国連合(ASEAN)の占める割合は10・8%と2・Oポイント上昇した。製造技術も向上してきた東南アジアでの供給戦略の成否が今後の成長のカギを握るのは間違いない。