文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

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限界に達した避難所ストレス 現地取材…5・25号、ニューズウィークから。

2011年05月19日 07時59分25秒 | 日記

何度も言うが、この日本最高級の素晴らしい週刊誌は、たったの9万部なのである。しょうもない金儲けの本などを山ほど買ってる暇に、毎週、これを読むべしなのだ。この週刊誌が50万部になったら、日本は、嫌でもちゃんとする。嘘つきや悪党どもが跳梁跋扈する国ではなく、痴呆テレビの国、ではなくなる。
Stressed to the Limit
限界に達した避難所ストレス
現地取材 「東北人は我慢強い」の言葉に隠れた現実-
 避難所では人々のストレスが極限に達し
不信感に形を変えてその心をむしばんでいる
 
…前略。
こういった物語の一つ一つは真実かもしれない。だが被災地を歩くと、これとは違った「物語」がいまだに拾われないままいくつも転がっている。将来が見えず、プライバシーもない避難所生活のストレス増加も報じられてはいるか、その伝え方はほとんどが表面的だ。被災者の本音を置き去りにしたまま、被災していない人たちが「寄り添う」ことなどできるのだろうか。
 「ちょっとアンタ、どこの人?」今月初め、深刻な津波被害を受けた宮城県内のある地区で200人規模の避難所を取材していたときのこと。建物の中を歩いていると、ある高齢女性に呼び止められた。こちらが身分を名乗ると、「物取りがいるからね。知らない人だと怖いんだよ」と、警戒心をあらわにした理由を説明した。彼女によれば、段ボールで仕切った自分のスペースに支給されたジュースなどを置いておくと、なくなることは「しょっちゅう」だという。
 「取られるのは食べ物だけじゃない」。彼女は険しい表情を崩さないまま語る。だが、ほかになくなった物は何かと尋ねると返ってきたのは「鼻紙が入ったきれいな袋」という答えだった。
 盗難への注意を喚起するチラシが出回っているし、財布をじろじろと見てくる人もいると彼女は言うが、今のところ大きな被害に遭ったわけではない。この女性は先日、避難所の外に止めておいた自転車が「盗まれた」と早とちりして大騒ぎした。
 「被害妄想」だと片付けるのは簡単だ。だがこの避難所のように数百人規模の施設には、まったく知らない他人が大勢いる。被災者はそこでありったけの貴重品を抱えて生活しているが、コインロッカーのように預ける場所があるわけではない。このため、女性は持ち物が入った紙袋と自分の膝をゴムひもでつなぎ、誰かが動かすとすぐに分かる仕掛けを作っている。
 「我慢強い」とされる東北人の忍耐は、限界に達している。特に規模が大きく、被災者同士のつながりが希薄な避難所では、抱え込んだストレスが「人間不信」という形で進行している場合もある。その不信感の矛先は、「すべてが遅い」政府だけではなく、避難所内の同居人や避難所を訪れるメディア、芸能人にも向けられる。
避難所内でまた「避難」
 被災者のストレスを加速しているのが、やることなすことすべてが人の耳目にさらされるプライバシーのない生活だ。たとえ周りの人間と良好な関係を築けたとしても、それは終始気遣いをした結果かもしれない。「気遣い疲れ」も尋常ではない。
 内閣府が東北3県の避難所に対して行った実態調査によれば、4月下旬の時点で間仕切りなどがまったくない避難所は536ヵ所中108ヵ所に上っている。冒頭の避難所には、大広間での生活に耐えられなくなって、通路や玄関付近のロビーなどの小さなスペースにさらに「避難」した被災者が大勢いた。
 玄関付近に段ボールで仕切りを作って生活していた女性(50)は、2歳の孫が初対面の被災者に構われ過ぎて対人恐怖症のような症状を見せ始めたため、「ここに逃げてきた」という。それでも、人通りが多い玄関近くでは常に人目にさらされる。「あれこれ言いたがる人もいて、ああしろこうしろと目で訴えてくる」と、女性は言う。
視線だけでは済まないこともあった。避難所内を歩いていたとき別の被災者から「挨拶しろよ」と高圧的な言葉を浴びせられ、今では支援物資を取りにいくのにも遠回りをする。たったひとことが大きなストレスになっていることは明らかだ。
…続く。

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