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米印が戦略対話 南アジア安定へ協力…日経新聞7月20日8面より

2011年07月20日 13時05分51秒 | 日記
対テロなど連携確認
中国はパキスタンに接近 インドけん制


クリントン米国務長官とインドのクリシュナ外相は19日、ニューデリーで外相級による戦略対話を開いた。共同声明では印西部ムンバイで起きた連続爆弾テロなどを念頭に、両国がテロ対策で連携することを確認。テロ組織が活動拠点を置くパキスタンや米軍が撤退するアフガニスタンの情勢を注視するなど、南アジアの安定で協力することで合意した。パキスタンなどに接近する中国に対処する思惑がにじむ。

米印戦略対話は2010年6月に次ぎ2回目。対話後に公表した共同声明はテロ対策、原子力の民生利用や宇宙開発での協力など、合計で一的項目に言及。「アフガンとパキスタンにあるテロリストや過激派の安全地帯やインフラの除去が、地域の安定に欠かせない」とも明記した。

◆パキスタンに警戒感 
両外相は共同記者会見で、南アジア情勢やテロ対策に最も多く言及した。クリントン長官は「テロは米印両国にとって共通の脅威だ」と述べ、治安改善に引き続き注力する姿勢を示した。

米印はパキスタン情勢を懸念する点で一致する。米国は01年の同時テロ以来、パキスタン政府を対テロ戦争の最も重要な協力相手と位置付け、10年間で200億ドル(約1兆6000億円)以上の援助を実施し、協力を求めてきた。

だが、パキスタンで活動する国際テロ組織アルカイダの掃討で無人機を活用し、地上でのパキスタン軍の協力の重要性は薄れた。5月のウサマ・ビンラディン容疑者の殺害成功で、米側は「パキスタン抜き」の作戦実行に自信を深めた。

パキスタンはビンラディン容疑者の急襲作戦は主権侵害だと反発し、米兵への査証(ビザ)の発給を停止。米側は今月に入ってパキスタンへの軍事支援の一部停止で応じ、関係はきしむ。

インドもパキスタンへの警戒を解かない。ムンバイで20人が死亡した13日のテロは、犯行声明がなく首謀者は不明。だが、印メディアはパキスタン側の関与を疑う。08年11月のムンバイや10年2月の印西部プネのテロが、パキスタン人や同国に本拠を置くとみられる集団の犯行だったからだ。

◆アフガン撤退も懸念 
今印始まった米軍のアフガン撤退も、南アジアの勢力図に大きな空白をつくる可能性がある。
共同声明はアフガンの治安維持で米印が協議・協力を続ける内容を盛り込んだ。クリシュナ外相は会見で「アフガンのテロ抑制には米国の関与が欠かせない」と繰り返し、南アジアの均衡が崩れることに懸念を示した。

会見などで直接の言及はなかったが、米印は中国がパキスタンの港、道路、鉄道などインフラへ積極投資し、急接近していることを意識している。中国はアフガンでも中国国有企業が世界最大級の銅山を開発している。国境問題などを抱える潜在的なライバル、インドをけん制する狙いだ。

5月に訪中したパキスタンのギラニ首相は同国のグワダル港を中国海軍の軍港として活用することを提案。ペルシャ湾から東アジアに原油などを運ぶタンカーが必ず通過するアラビア海の要衝に海軍拠点があれば、中国は南アジアで影響力を行使しやすくなる。

ギラニ首相は4月、アフガンのカルザイ大統領にも今後の外交で「離米親中」を勧めたとされる。アフガンの天然資源は経済成長が続く中国には魅力だ。中国、パキスタン、アフガンの3力国が連携を強めれば、米印への対抗勢力となり得る。

(ムンバイ=黒沼勇史、北京=森安健)

ウイグル自治区20人射殺

■中国 世界の亡命ウイグル人組織を束ねる「世界ウイグル会議」 (本部ドイツ・ミュンヘン)は19日、中国新調ウイグル自治区ホータン市で起きた事件で少なくとも20人が射殺され、12人が重傷を負い、70人以上が拘束されたとウェブサイトで発表した。いずれもウイグル族とみられる。複数の目撃者や病院関係者の証言として伝えた。

 国営通信新華社は事件が起きたのは派出所だと報じているが、同会議は発生場所について「派出所近くのバザール(市場)だ」と主張。約100人のウイグル族が当局に拘束された住民の所在を明らかにするよう求めるデモを行っていたところ、警官隊が発砲したとしている。 (北京=共回)


チベット「解放」60年式典 

■中国 中国人民解放軍の進駐によるチベット「解放」から60年の式典が19日、チベット自治区ラサのポタラ宮前で開かれ、次期最高指導者に内定している習近平国家副主席ら59人で構成する中央政府の代表団が出席した。

習氏はオバマ米大統領とチベット仏教の指導者ダライ・ラマ14世の会談を踏まえ「チベットの安定と祖国統一を損なうダライ集団の陰謀を粉砕せねばならない」と主張した。(中国総局)

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