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中国の核戦力高まる兆し

2020年10月17日 01時31分37秒 | 全般
2019-05-29に発信した章である。
以下は昨日の産経新聞に…「中国の核戦力高まる兆し」…と題して掲載された古森義久氏の論文からである。
朝日新聞などを購読し彼らの放送局の報道番組やNHKを視聴しているだけの人たちには決して知らされない事実である。
それどころかNHKが昨日報道していたのは、米国が臨界核実験を行った事に対して…例によって広島に集まった左翼系市民十人超が米国に対して反対の声を上げた様子だった。
それにしても、この様な市民グループが中国の核に対して、或いは、中国の南シナ海での乱暴狼藉、連日の尖閣諸島の接続海域への侵入等に対して、抗議の声を上げた様子は見た事がないのは何故か。
NHKは(中国は)産経新聞にこの記事が掲載されることを知って、急きょ上記の報道をしたと言っても全く過言ではないだろう。 
「中国は長年の守勢的な核戦略を変え、核兵器の量と質を大幅に増強し、攻撃能力を高める兆しがある」 
日本の安全保障にも重大な影響を及ぽすこんな調査報告がワシントンの大手研究機関「戦略予算評価センター(CSBA」」から5月中旬に発表された。
同報告は「第2核時代の戦略相互関係の理解」と醍され、米国、ロシア、中国などの核保有国の核戦略の現状を詳細に分析していた。
同報告はCSBAの現所長で歴代米国政権の核戦略を担当してきたトーマス・マハンケン氏ら専門家計4人により作成された。
内容でとくに注目される中国の核戦略の変化に関する調査にはCSBA上級研究員で中国の戦略研究の権威トシ・ヨシハラ氏が主体となった。
同報告が中国の核戦略研究に力を入れたのは米中関係の最近の険悪化が原因だったという。 
同報告はまず中国の核戦力は1960年以来、「積極防衛」という標語の下に米国や旧ソ連にくらべ小規模で抑制的だった点を伝えていた。
核弾頭の装備と投射の可能な核兵器では米国に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)が約90基、中距離弾道ミサイル(IRBM)160、準中距離弾道ミサイル(MRBM)120のほか、戦略爆撃機、戦略潜水艦があるという。 
同報告は中図の核弾頭については中距離兵器用だけで約100個としていたが、全体の弾頭数は明記していない。
米国政府機関の推定は280個などという数字をあげている。
同報告によると、中国が米ソ両国より核戦力をずっと小規模にとどめてきたのは毛沢東時代からの「核兵器は敵国から核の威嚇や攻撃を受けた場合の最終の報復手段とする」という防御・報復戦略による。
戦争はあくまで非核の通常戦力で勝敗を決し、核保有の敵国に核を使わせない抑止の手段とされてきた。
だから戦争でも核兵器は先には使わず、非核国にも使わないことを宣言してきたという。 
だが同報告は中国が最近、抑制的な核戦略を兵器の性能の強化や数の増加を中心に根本から変え、攻勢的にする兆しをみせてきたと、警告していた。
その論拠には米国情報機関の分析や中国側の国防大学や軍事科学院の幹部による公式、非公式の論文類をあげていた。 
同報告は中国の核戦略変更の理由としてまず「米軍の通常兵器による敵国の核兵器破壊のグローバル精密攻撃能力の飛躍的な向上」をあげ、中国側の核兵器が非核の攻撃で破壊され、核報復ができなどなるという懸念を指摘していた。
この懸念から中国は年来の「核の先制不使用」の原則も再検討するにいたったという。 
第2の理由は米側のミサメル防衛の性能強化だという。
中国が報復として核ミサイルを発射しても、米国やその同盟国のミサイル防衛網を突破できない懸念が強まったというわけだ。 
第3には中国の対外戦略が以前より野心的、攻勢的となったことだという。
米国やインドという他の核保有国への核の威圧を高める必要が増えたとされる。 
こうした理由から中国は核兵器の存続や敵のミサイル防衛網の突破の能力を高めるための対策をとり始めたというのが同報告の結論だった。
尖閣諸島を奪取されそうな日本にとって中国の核戦力増強は深刻な脅威となることは自明である。
(ワシントン駐在客員特派員)



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