以下は前章の続きである。
伊藤
結局、コミュニストでソ連のスパイと疑われていたハーバート・ノーマンに比べて、はるかにまともだった、エドウィン・ライシャワーの客観的な対日歴史観も否定されつつある。
それも悪しき修正主義ですよね。
ライシャワーの最後の弟子ともいうべきジョージ・アキタはまだ現役で活躍していますが、それ以外の人たちはほとんど“アンチ・ライシャワー”路線ですからね。
ハーバード大学のアンドルー・ゴードンも。
そうでないとアメリカの大学では、日本研究者として就職できない。
私のゼミにいた人たちの多くもそちらへ行ってしまった。
しかし、彼らの研究は残念ながら何を目指しているのか理解できないようなものが多い。
テーマは政治の中枢にふれないで、些末な問題を大きく取りあげる。
真っ正面から物事に取り組む姿勢を馬鹿にするというかそこから逃げている。
論文や著作の刊行、点数を稼げばいいわけです。
この稿続く。