…前章続き。
白鳥処女伝説というものがある。
複数の白鳥が衣を脱いで水浴びをしている。
それを見た青年が一枚の衣を隠す。
衣を着られない女性は青年と結婚する。
その後のストーリーの展開は様々だが、誰もが一度は聞いたことのあるこの物語は、世界中に分布する。
そこで同類の話を比較すれば、白鳥が羽衣、つまり布に変換されることが知れる。
旧本において神に捧げる布は幣帛で天の羽衣は幣帛と重なり、日常の布が持っていた特別なちからも納得できる。
著者はシベリアのブリヤート人の村で、白鳥を起源とする人々に出会った。
つまり、帰れなくなって青年と結婚した白鳥の子供たちである。
人が生きるためには自然を受け容れ、動植物と共存しなければならない。
それを知っている人々である。
私たちもそういう人間であったはずだが、そのことをどこかに置き忘れたまま生きている。
それを痛感させられる本である。
評・田中 優子 法政大学教授・近世比較文化
白鳥処女伝説というものがある。
複数の白鳥が衣を脱いで水浴びをしている。
それを見た青年が一枚の衣を隠す。
衣を着られない女性は青年と結婚する。
その後のストーリーの展開は様々だが、誰もが一度は聞いたことのあるこの物語は、世界中に分布する。
そこで同類の話を比較すれば、白鳥が羽衣、つまり布に変換されることが知れる。
旧本において神に捧げる布は幣帛で天の羽衣は幣帛と重なり、日常の布が持っていた特別なちからも納得できる。
著者はシベリアのブリヤート人の村で、白鳥を起源とする人々に出会った。
つまり、帰れなくなって青年と結婚した白鳥の子供たちである。
人が生きるためには自然を受け容れ、動植物と共存しなければならない。
それを知っている人々である。
私たちもそういう人間であったはずだが、そのことをどこかに置き忘れたまま生きている。
それを痛感させられる本である。
評・田中 優子 法政大学教授・近世比較文化