文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

本来なら「昔、北朝鮮は地上の楽園とやったのと同じくらい罪深いキャンペーンでした。御免なさい」とお詫びするところだろう

2021年07月15日 21時49分47秒 | 全般

以下は本日発売された週刊新潮の掉尾を飾る高山正之の連載コラムからである。
本論文も彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである事を証明している。
詫びない精神
朝日新聞が昭和59年10月31日付の一面に「これが毒ガス作戦」の見出しで十数条の煙がもくもく立ち上る写真を載せた。 
記事はそれが南昌での日本軍の作戦で、黒い煙はその辺の支那人を皆殺しにするための残忍な「毒ガスです」と藤原彰・一橋大教授かコメントしていた。 
当時は朝日に名が載るだけで論文1本分のポイントになった。
少々の嘘でも教授たちは喜んで朝日の望むように頷き、へつらうコメントを出した。 
藤原もへつらって頷いたが、毒ガスが真っ黒で天に立ち上ることに多くの人が首をひねった。
そしたら産経新聞がすかさず「毒ガスなもんか。煙幕だろが」と指摘した。 
毒ガスは第一次大戦時に生まれた。独軍は塹壕に寵る敵兵を殺すために比重の重い有毒ガスを風上から流した。
色や臭いがあれば気づかれる。無色無臭が毒ガスの形だった。 
それが真っ黒で空に立ち上ったらガラスだって殺せないと産経の記事は朝日の無学を嗤った。 
馬鹿にされた朝日の担当部長、佐竹昭美は激怒して産経に単身、殴り込んできた。 
彼らはおちょくられるのは初めてだったようで、佐竹は茹蛸のように真っ赤になって唇を震わし、怒鳴り散らしていった。 
因みに朝日の特ダネはこの毒ガス写真を含め99%が垂れ込みネタだ。
吉田調書もそう。日立の関係者が持ち込んだ。それを書けば特ダネになった。
汗水たらして取材することもない。垂れ込みネタはまた信用度も高い。裹を取る必要もない。
朝日の記者にとって特ダネとは常にお手軽なものだった。 
それではあまりに何だからと吉田調書では一捻り加工して「東電職員大脱走」なんて面白おかしく脚色したら、大失敗した。 
佐竹が気の毒だったのは毒ガスの知識がまるでなかったことと不勉強が過ぎたことか。 
殴り込んでみたものの翌日には産経が問題の写真が新墻河の渡河作戦の1コマで、煙もただの煙幕だったことを続報で伝えた。
朝日は完敗だった。 
それで出した訂正が「化学戦は南昌でなく新墻河でした」だった。日本軍を悪者に仕立てた悪意を詫びる言葉はなかった。 
おまけに「化学戦の場所が違った」では「毒ガスは使ったが場所が違った」という意味になる。
訂正にもなっていなかった。 
「もっと叩こう」とデスク会でこちらは強く主張したが通らなかった。
朝日が裸の王様とはまだ気づかれていない時代だった。 
あのとき徹底的に叩いて、朝日に裏の取り方とお詫びの仕方を教え込んでいたら、珊瑚落書き事件も起きなかったと思う。 
植村隆の「ソウルでも慰安婦連行」も裏の取りようもない。すぐボツだ。 
何より吉田清治の慰安婦の嘘だ。
清田治史が取材もせずに書いて30年、日本を貶めた大嘘を木村伊量がやっと訂正したが「お詫び」だけは突っぱねた。 
で、クビ。
詫びることにあまりにナイーブだった。 
そう言えばその騒ぎのころ朝日は子宮頸がん(HPV)ワクチンに執拗に因縁を付けていた。 
接種したら「私は歩けなくなった」「私は記憶を失った」とかの少女の妄想キャンペーンを展開し、ついには厚労省に接種をやめさせてしまった。 
WHOは吃驚した。
HPVは男も罹患し、死亡例は急増している。
世界が撲滅を図っているのに日本が副反応デマで脱落したのは大問題だった。 
非難の声が集中すると朝日は2017年12月19日を最後に沈黙を決め込んだ。 
そして3年半、朝日は突然に「HPVワクチン接種で子宮頸がんを75%抑え、死亡例はなかった」と褒め称えたのだ。 
朝日が沈黙前に張った「接種で廃人」キャンペーンも全面否定する内容だ。 
本来なら「昔、北朝鮮は地上の楽園とやったのと同じくらい罪深いキャンペーンでした。御免なさい」とお詫びするところだろう。 
3年とぼければ立派な禊(みそぎ)と思う根性が嫌だ。 

 

  


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