こんにちは。sunburst2006です。
FUZEON(T-20)の硬結がひどく、もう注射を打つ場所がなくなってしまいました。そのため、FUZEON、Prezista、ノービア、ツルバダによる抗HIV治療(HAART:コメント、補足の補足参照)を一時中断することとなりました。
HIV治療において、効き目の強い薬を複数使い、ウイルスが薬に対して強くなるのを防ぐということが一番重要です。先ほど医師とも話し合い、FUZEONだけを止めてPrezista、ノービア、ツルバダを続けるという選択はさらに耐性ウイルスを増やす可能性があり、少し怖いという結論に至りました。
しかし、もちろんここで全ての薬を一気に中断しても耐性化することはありますし、もしかしたらFUZEON以外の薬剤は使い続けた方がいいという可能性もある、という話も出ました。どちらがいいのかはわかりませんが、最終的に私と医師は全ての抗HIV薬を中断するという方針を選択しました。
ただ、私はまだこの治療をあきらめてはいません。時期をみて、もう一度この組み合わせのHAARTでチャレンジしたいと思います。あくまで「一時中断」です。
FUZEONの副作用である注射部位の硬結が私で特にひどいのは、何か理由があるのかも知れません。
FUZEONを打ったあとはよくもむというお話をしていましたが、もう一度その情報源に当たってみると、少しニュアンスが違うかも知れません。この「もむ」という話は、実はこの薬を作っている製薬会社のホームページや、薬の添付文書には記載されておりません。それは、Lippincott Williams & Wilkinsという会社が出版する、HIV・AIDS治療の最新の研究論文が多く載る「AIDS」という雑誌から見つけたものです。
この「AIDS」は、現代のHIV・AIDS治療において最もよく読まれ、参考にされていると言ってもよいくらいの出版物で、多くの文献のなかでも、臨床や研究の現場での引用率も高いものです。医師は「だいたい、HIV治療の先端を調べるには、日本の医者もこの雑誌を読む」と言っていました。
長い前置きになりましたが、この雑誌にFUZEONのことが載ったのは、2004年のこと。その文章は 「AIDS: Volume 18(8) 21 May 2004 pp 1137-1146」 で読むことができます。タイトルは
"Clinical management of treatment-experienced, HIV-infected patients with the fusion inhibitor enfuvirtide: consensus recommendations"
「フュージョン阻害薬であるenfuvirtide(FUZEONのこと)による、HIV感染者への治療経験に基づく臨床管理:薦められる統一見解」くらいの訳でしょうか(注:ちなみに、私は英語力に自信が無く、訳のミスがあるかも知れません。上記の訳も、これから書く訳も、訳のみで判断されず、ご自身で引用元を調べた上でお読み下さい。私の訳が間違っていたことによってあなたがいかなる損害も受けても、私はそのことに責任を取ることができません)。
なお、このサイトをご覧の方で英語の堪能な方がいらっしゃいましたら、ご意見をいただければ幸いです。その上で訳文をいただけたりすると嬉しいのですが・・・。(→9月23日、20時10分追記 読者の方から緑の字の部分の全訳をいただきました。ありがとうございます!)
さて、この記事によると、雑誌では1141ページ(サイト上では下にスクロールして真ん中あたり)にこのような記述があります。
-------ここから引用--------
The precise nature of ISRs is still under investigation, though histologically they resemble localized hypersensitivity reactions [37]. Good injection technique (including aseptic technique) in conjunction with rotating injection sites, as outlined in Table 1, may be the most effective way to minimize their incidence and severity, as well as the incidence of associated events, including infections. Conversely, poor technique that leads to intramuscular administration or injecting too rapidly may elevate ISR incidence.
-------ここまで引用--------
ISRというのは injection site reaction で、「注射部位の反応」つまり硬結や痛みなどの症状をさすものと思われます。
えー、体は痛いし長いので全文を訳す気力はありませんが、かいつまむと「注射部位の反応についてはいまだ調査中ですが、それらの良くない反応を最小にするための方法として Table 1 として概要をまとめました」くらいでしょうか? そしてTable 1 をクリックするとその表が拡大表示され、そこには"Other interventions for ISR"(注射部位の反応に介入する他の方法)として、このような記述があります。
-------ここから引用--------
Other interventions for ISR
Gentle manual massage after every injection
Wear loose clothing to avoid irritating sore areas
Divide injection between two different sites
-------ここまで引用--------
つまり、
「毎回、注射後には手でやさしくマッサージすること
痛いところををひりひりさせることを避けるため、ゆるい服を着る
注射を2カ所にわけて刺す」
くらいのことが示されます。しかし、本文 「AIDS: Volume 18(8) 21 May 2004 pp 1137-1146」 に戻り、Table 1 に続く文章を読むと、こうあります。
-------ここから引用--------
A number of specific interventions, such as post-injection massage of the injection site, have been reported to ameliorate these reactions in some patients. However, specific recommendations are difficult at this time. A basic outline of good ENF injection technique, and various interventions which may alleviate some of the most common injection-related problems, is shown in Table 1. Warning signs for rare but potentially serious ISRs and incipient infections are also listed.
-------ここまで引用--------
本文中、ENFはenfuvirtide、つまりFUZEONのことをさします。つまり、概要は「何人かの患者で注射後のマッサージがひどい反応を改善するという多数(注:もしくは若干? この辺りの数の感覚は、訳者である私にはうまくつかめません)の報告があるが、特別に何かを薦めるのは難しい。FUZEONの注射の技術や、様々な介入として、基本的な概略をTable 1に示した」というようなことのようです。
ということで、もむというのも「やさしくもむ」であり、どのくらいの時間もめばいいとか、もむ強さの感覚とか、その辺りの具体的なことは一切書かれていないわけです。また、それがすべての人に良いのかどうかもいまだ調査中のようです。ということで、実際に自分で試し、自分に一番合うやり方を、それぞれが探すしかないようです。私の場合も、もみ方はよかったけれど体質が薬に合わなかったという可能性もあり、実際の所は分からないのが現状です。
最初に書いたように、私はもう一度この治療に挑戦します。そのために、今はまずボロボロになった皮下を休め、もう一度違ったやり方(強くもまない、やさしくさするようにしてみる、毎回2カ所に分けて注射する等)を試してみようと思います。正直言って、治療中断によるウイルスの耐性化への恐怖はありますが、この治療を成功させるとの強い意志をもって、積極的な「一時中断」をしていると思っていただければ幸いです。
私は、意志の力が道を開くと信じています。
FUZEON(T-20)の硬結がひどく、もう注射を打つ場所がなくなってしまいました。そのため、FUZEON、Prezista、ノービア、ツルバダによる抗HIV治療(HAART:コメント、補足の補足参照)を一時中断することとなりました。
HIV治療において、効き目の強い薬を複数使い、ウイルスが薬に対して強くなるのを防ぐということが一番重要です。先ほど医師とも話し合い、FUZEONだけを止めてPrezista、ノービア、ツルバダを続けるという選択はさらに耐性ウイルスを増やす可能性があり、少し怖いという結論に至りました。
しかし、もちろんここで全ての薬を一気に中断しても耐性化することはありますし、もしかしたらFUZEON以外の薬剤は使い続けた方がいいという可能性もある、という話も出ました。どちらがいいのかはわかりませんが、最終的に私と医師は全ての抗HIV薬を中断するという方針を選択しました。
ただ、私はまだこの治療をあきらめてはいません。時期をみて、もう一度この組み合わせのHAARTでチャレンジしたいと思います。あくまで「一時中断」です。
FUZEONの副作用である注射部位の硬結が私で特にひどいのは、何か理由があるのかも知れません。
FUZEONを打ったあとはよくもむというお話をしていましたが、もう一度その情報源に当たってみると、少しニュアンスが違うかも知れません。この「もむ」という話は、実はこの薬を作っている製薬会社のホームページや、薬の添付文書には記載されておりません。それは、Lippincott Williams & Wilkinsという会社が出版する、HIV・AIDS治療の最新の研究論文が多く載る「AIDS」という雑誌から見つけたものです。
この「AIDS」は、現代のHIV・AIDS治療において最もよく読まれ、参考にされていると言ってもよいくらいの出版物で、多くの文献のなかでも、臨床や研究の現場での引用率も高いものです。医師は「だいたい、HIV治療の先端を調べるには、日本の医者もこの雑誌を読む」と言っていました。
長い前置きになりましたが、この雑誌にFUZEONのことが載ったのは、2004年のこと。その文章は 「AIDS: Volume 18(8) 21 May 2004 pp 1137-1146」 で読むことができます。タイトルは
"Clinical management of treatment-experienced, HIV-infected patients with the fusion inhibitor enfuvirtide: consensus recommendations"
「フュージョン阻害薬であるenfuvirtide(FUZEONのこと)による、HIV感染者への治療経験に基づく臨床管理:薦められる統一見解」くらいの訳でしょうか(注:ちなみに、私は英語力に自信が無く、訳のミスがあるかも知れません。上記の訳も、これから書く訳も、訳のみで判断されず、ご自身で引用元を調べた上でお読み下さい。私の訳が間違っていたことによってあなたがいかなる損害も受けても、私はそのことに責任を取ることができません)。
なお、このサイトをご覧の方で英語の堪能な方がいらっしゃいましたら、ご意見をいただければ幸いです。その上で訳文をいただけたりすると嬉しいのですが・・・。(→9月23日、20時10分追記 読者の方から緑の字の部分の全訳をいただきました。ありがとうございます!)
さて、この記事によると、雑誌では1141ページ(サイト上では下にスクロールして真ん中あたり)にこのような記述があります。
-------ここから引用--------
The precise nature of ISRs is still under investigation, though histologically they resemble localized hypersensitivity reactions [37]. Good injection technique (including aseptic technique) in conjunction with rotating injection sites, as outlined in Table 1, may be the most effective way to minimize their incidence and severity, as well as the incidence of associated events, including infections. Conversely, poor technique that leads to intramuscular administration or injecting too rapidly may elevate ISR incidence.
-------ここまで引用--------
ISRというのは injection site reaction で、「注射部位の反応」つまり硬結や痛みなどの症状をさすものと思われます。
えー、体は痛いし長いので全文を訳す気力はありませんが、かいつまむと「注射部位の反応についてはいまだ調査中ですが、それらの良くない反応を最小にするための方法として Table 1 として概要をまとめました」くらいでしょうか? そしてTable 1 をクリックするとその表が拡大表示され、そこには"Other interventions for ISR"(注射部位の反応に介入する他の方法)として、このような記述があります。
-------ここから引用--------
Other interventions for ISR
Gentle manual massage after every injection
Wear loose clothing to avoid irritating sore areas
Divide injection between two different sites
-------ここまで引用--------
つまり、
「毎回、注射後には手でやさしくマッサージすること
痛いところををひりひりさせることを避けるため、ゆるい服を着る
注射を2カ所にわけて刺す」
くらいのことが示されます。しかし、本文 「AIDS: Volume 18(8) 21 May 2004 pp 1137-1146」 に戻り、Table 1 に続く文章を読むと、こうあります。
-------ここから引用--------
A number of specific interventions, such as post-injection massage of the injection site, have been reported to ameliorate these reactions in some patients. However, specific recommendations are difficult at this time. A basic outline of good ENF injection technique, and various interventions which may alleviate some of the most common injection-related problems, is shown in Table 1. Warning signs for rare but potentially serious ISRs and incipient infections are also listed.
-------ここまで引用--------
本文中、ENFはenfuvirtide、つまりFUZEONのことをさします。つまり、概要は「何人かの患者で注射後のマッサージがひどい反応を改善するという多数(注:もしくは若干? この辺りの数の感覚は、訳者である私にはうまくつかめません)の報告があるが、特別に何かを薦めるのは難しい。FUZEONの注射の技術や、様々な介入として、基本的な概略をTable 1に示した」というようなことのようです。
ということで、もむというのも「やさしくもむ」であり、どのくらいの時間もめばいいとか、もむ強さの感覚とか、その辺りの具体的なことは一切書かれていないわけです。また、それがすべての人に良いのかどうかもいまだ調査中のようです。ということで、実際に自分で試し、自分に一番合うやり方を、それぞれが探すしかないようです。私の場合も、もみ方はよかったけれど体質が薬に合わなかったという可能性もあり、実際の所は分からないのが現状です。
最初に書いたように、私はもう一度この治療に挑戦します。そのために、今はまずボロボロになった皮下を休め、もう一度違ったやり方(強くもまない、やさしくさするようにしてみる、毎回2カ所に分けて注射する等)を試してみようと思います。正直言って、治療中断によるウイルスの耐性化への恐怖はありますが、この治療を成功させるとの強い意志をもって、積極的な「一時中断」をしていると思っていただければ幸いです。
私は、意志の力が道を開くと信じています。
医療は専門外なので、役立とうとするとかえって良くないかもしれませんが・・・ということでしたが、いえいえ、助かりました!
いただいた訳はこちらでも内容を吟味して、後ほど追記として本文に反映させたいと思います。ありがとうございます!