こんばんは。sunburst悩ましいです。
いや、何が悩ましいって、今回の広島のエイズ学会です。
エイズ学会では3日間でたくさんのシンポジウムが開かれるため、会場が第6会場まであって、だいたい6つのシンポジウムが同時進行で行われるわけです。すると、見たい聞きたいプログラムが同じ時間にやっていたりするわけです。
2007年 広島エイズ学会 プログラム
そして今、今年のエイズ学会のプログラムを見ながらあれを見よう、これを聞こうと戦略を練っているのですが・・・。
特に問題なのは上記プログラムの11月29日(木)、8:55~10:55の部です。
第1会場ではシンポジウム05として、あの熊大の満屋先生(AZTを作った上に、今でもばんばん抗HIV薬の開発をしているすごい人!)と、国立国際医療センターの岡先生(臨床の現場のすごい人!)が参加するという、日本のHIV医療の現場に深く関わっている人なら腰を抜かすような顔合わせのシンポジウムがあり、これはもう何がなんでも聞きたいシンポジウムなわけです!
ところがどっこい、同じ時間に第2会場ではシンポジウム06として「HIV/HBV・HCVの重複感染について」が開催されておりまして、私の現状としてはこちらも非常に大切な、なんとしても聞きたいシンポジウムなわけです!
ああ、どうしましょう。どうしましょう。
体が2つあったらいいのになあ。
せめて目と耳だけでも2つあったらなあ。
ていうか、よく考えたら目と耳は2つあるなあ(そういう意味じゃない)。
ということで「悩ましい」のです。
こりゃ当日まで悩むことになりそうです。
このブログを見ている人で、他にエイズ学会に来ている方はいませんかねえ。できたら、それぞれに参加して、シンポジウムの後に情報交換とかができたらいいのですが・・・。
こんばんは。sunburst腰痛です。
いやー、月日のたつのは早いもので、最終更新から1カ月以上あいてしまいました。ごめんなさーい。この1カ月何をしていたかというと・・・
「なんだかやっぱりだるくて家に帰ると寝ちゃう(zzz)」+「毎週土日は出張(涙)」=「ぐだぐだ」
てなわけで、ぐだぐだしておりました。でろーん。
毎週、土日はどこかに出張に行ってたのでなかなか休みがなく、時折休みを取れても連休にはならずで、疲れが抜けない悪循環。マイルと疲れを貯めこんだ1カ月だったわけです。貯まるのはマイルだけでいいのにー。
でも昨日、今日と久々の連休だったので、ここぞとばかりに寝まくりで、この2日間ですでに22時間は寝ています(寝過ぎです)。これで大分疲れはとれましたが、今度は寝過ぎで腰痛が(^^; うー、体が弱いよー。
さてさて、そんなぐだぐだな近況報告は置いといて、いよいよ広島でエイズ学会が始まります。
今回のエイズ学会は11/28(水)~30(金)の3日間、主に国内のHIV・エイズ医療に関わる臨床家・研究者が多く出席し、HIV・エイズ治療の最先端の情報が飛び交います。
これはぜひとも出席したいということで、明日から約1週間、たまった代休を使って広島に行くことにしましたー。わーい、また広島のお好み焼きが食べられるぞー。
今回の広島行きは休暇(旅行)を兼ねた形で、月・火は宮島観光(紅葉はきれいかなあ)、水~金はエイズ学会というスケジュールです。エイズ学会の方は、面白そうな情報があればブログにもアップしたいと思っていますです。
宮島の旅館で体を癒しながら、エイズ学会に向けて英気を養いまーす。
2007.7.7 公開シンポジウム 抗HIV薬開発への挑戦
こんばんは。sunburstです。
7が3つ並んだ一昨日、熊本大学大学院の教授で、医学薬学研究部、血液内科・感染免疫診療部の満屋裕明先生の講演を聞きに行ってきました。
満屋先生のお名前を知らない方でも、世界で初めての抗HIV薬、AZTを開発し、続けてddI、ddcを発見された方と言えば、そのすごさがわかるかと思います。
満屋先生の講演のタイトルは
「抗HIV治療薬開発への挑戦 AZTから(インテグラーぜ阻害剤、そして)プロテアーゼ二量体阻害剤まで」
で、聞き慣れない言葉がでてきましたが、とてもエキサイティングなお話を聞かせてもらいました。
満屋先生の講演は、AZT開発当時(1985年)のお話から始まりました。
AZTがHIVに効くということを発見したものの、(耐性出現や副作用のため)AZTが完全な薬ではないということは、開発当時からの課題だったそうです。しかし、だからこそ、満屋先生の研究室の合い言葉は「HIV感染者よ、死ぬな! 時間を稼げ! もっといい薬が次々に出る!」だったそうです。
実際、その時代から20年以上が経った今、当時の満屋先生たちの合い言葉は現実になってきています。
現在の抗HIV治療は、こうした研究者の心意気と、体を張って治験に参加してきた、あるいは命を落とすこともある壮絶な治験に参加しデータを遺していってくれた、多くの患者達の上に成り立っていることを忘れてはならないと思いました。
続いて、満屋先生は1991年(注:1981年かもしれません。どなたか詳しい方、コメントをいただけると助かります)、NCI(米国立ガン研究所)が発表したCD4数に関する生存曲線のデータを示されました。それはCD4が50を切ると、およそ半分の人が1年以内に死亡するというデータでした。
実際、私が「このまま治療ができなければ、1年以上の生存を保証できない」と言われたのも、CD4数が50を切った頃でしたし、HIVで亡くなる人のほとんどはCD4数が50を切っている人だそうです。
とは言っても、私はCD4数が50を切ってから6年間を耐えることができましたし、抗HIV薬の進歩によって現在の余命は大きく伸びています。データはデータとして、しかしCD4数が50を切ってもなお、あきらめる必要などないということは付記しておきたいと思います。満屋先生の言葉を借りれば、まさに「HIV感染者よ、死ぬな! 時間を稼げ! もっといい薬が次々に出る!」ですね。
その後、HIVのウイルスのお話と核酸系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、その他新しい作用機序の各種抗HIV薬のお話が続いたのですが、うう、ごめんなさい。あたまがわるくてわかりませんでした。なんとなくはつかめたかもしれないのですが、「なんとなく」な上に「かもしれない」レベルですので、文章にするのはとても無理です。かなりおおざっぱにまとめると、とにかくこれからもいろんな抗HIV薬を作ってくれるという趣旨のお話だったと思います。おおざっぱすぎてごめんなさい。
それで最後に、満屋先生は一節の言葉を紹介されながら、以下のようにご自身の決意を語ってくれました。
"The only thing necessary for the triumph of evil is for good men to do nothing."
「邪悪が制覇するのに必要なのは、唯一、善良な人々が何もしないでおくことだ」
「私たちは、何かをしなければならない。ばかげたアイデアでも、何でも試していって、何でも構わないから、メカニズムが無くても、効けばよい。それが患者に利益をもたらしたいと願う、臨床家と研究家の基本的な心構えであろうかと思っております」
最新の治療の知識を得た以上に様々なことを感じ、個人的にとても実りの多いシンポジウムとなりました。ありがとうございました。
追伸1:この後、T医師が閉会のあいさつをされましたが、その中で「インディアンのことわざのようなもの」として、以下の言葉を紹介されました。
「人に力があるわけではない。ただ責任があるのだ」
まさに、まさにです。責任を果たそうとする中に、力が生まれるのですね。
特にまだ強力な抗HIV治療(HAART)が無かった頃、本当に多くの一人一人が、何の治療のすべもなく、続々と亡くなっていきました。怒りと、哀しみと、枯れるほどの涙と、言い尽くせない無念と。渦巻く感情の牙は、あるいは身近な人に向けられることもありました。
剥き出しの生命の現場で、医師や看護師をはじめとした医療従事者もまた、何もできない無力感と戦ってきたことと思います。プロであるにも関わらず、自分が全く、何の役にも立たないという壮絶な現実。それでも目の前の生命への責任だけがある。そこから逃げずに、引き裂かれながらもその責任と向き合っていこうとする人が、本物のプロとして力をつけてくれました。私は、そんなみなさんに、心から感謝しています。そしてまた、次の10年を担う人材が陸続と連なっていかれることを、切に願っています。
追伸2:私も現在、服用しているダルナビルという薬について、満屋先生の講演の中から私がわかったポイントだけ以下に箇条書きにしたいと思います。
注:以下のまとめは、医学についてはずぶの素人であるsunburstが聞き書きしたもので、その内容は間違っている可能性があります。間違っている可能性があるという前提でお読みください。
1.ダルナビル(darunavir:PREZISTA:TMC-114)はアミノ酸の主鎖(Main Chain)に結合するプロテアーゼ二量体阻害剤で、今までのプロテアーゼ阻害剤よりもさらに強力である。
2.現時点で二量体化を阻止できるプロテアーゼ阻害剤はダルナビルとティプラナビル(日本では未認可、FDA承認済み)だけである。
3.しかし、いくら「強力」であるとは言っても、やはり耐性の問題がつきまとう。
4.(プロテアーゼ阻害剤に対する耐性プロフィールの厳しい患者に対しては特に)ダルナビル以外の強力な抗HIV薬と併用することが重要である。
注意:これから書かれている内容は、医療の専門家でもなく、英語に精通しているわけでもない筆者が、ネットで集めた海外の医療情報(英語)をもとに書いています。そのため、これから書かれている内容については、それが正しい情報かどうかを保証することができません。あなたがここに書かれていることを信用し、いかなる損害を受けても、私sunburst2006はその責任を負うことができません。間違った情報が含まれているかも知れないという前提の上でお読み下さい。
情報源:Clinical Care Options > HIV > Conference Coverage > Glasgow 2006 > Conference Report > Once-Daily VS Twice-Daily Enfuvirtide
No Advantage to Once-Daily vs Twice-Daily Administration of Enfuvirtide
こんばんは。sunburst英語が苦手です。
本日は、以前ご紹介したClinical Care Options(CCO:説明はこちら)のページで、FUZEONの一日一回投与に関する記事がありましたので、そちらを紹介させていただきます。
CCOのページは、基本的にメンバー登録(無料)をしないと見られないことになっていますので、元の英文をここに載せることはできません。興味のある方はCCOに登録した上で、上記の情報源を参考に、CCOの該当ページをご覧ください。
FUZEON(T-20 ; enfuvirtide)は、現在朝、晩2回、それぞれ90mgずつの投与ということで治療が認められていますが、これに対して1日1回180mg投与群をおき、その治療結果と優位性を比較したものが、こちらの報告になっています。その結果を下記のように簡単な表にしてみましたので、ご覧ください。
HIVウイルス量 400コピー未満達成 |
HIVウイルス量 50コピー未満達成 | |
FUZEON 90mgを1日2回 |
23% |
22% |
FUZEON 180mgを1日1回 |
23% |
13% |
※治療開始から48週後のデータ。それぞれFUZEONの他に、その時点で最適と思われる抗HIV薬(OBR:Optimized Background Regimen)を組み合わせて使っての成績。
なお、このパイロットトライアルには61名の患者が参加している。
上の表を見る限り、ウイルス量が400未満になる割合については、差がないようです。さらに、50コピー未満になる確率についてですが、表からは差があるように見えますが、本文では統計的に有意差はないと書かれています(有意差がないと書かれているだけなので、理由はわかりませんでした)。
本文では、この結果からすぐにどちらの投与法が優れているということはできないが、さらに大きな比較実験をする価値はあるのではないかということが書かれています。
なお1日1回投与の場合でも、結局皮下注射は1ccずつ、2カ所に分けて打たなければならないようです。FUZEONの180mgは容量としては2ccあり、これを一カ所に皮下注射することはできないのでしょうね。CCOの本文では、これが弱点だと書かれていました。
私は今、1日2回の方法でFUZEONを打っていますが、一日一回ですめば時間的には楽かなと思います。ただ、私の場合FUZEONの痛みが強いので、注射を打ってから5分くらいは「いてー、うーー、あーー」とか言いながら痛みが引くのを待っているのですが、その後さらにもう一本打つというのは・・・。正直言って、あの痛みのあとすぐもう一回注射というのはきつそうです。「まずい、もういっぱい(青汁)」というのは聞いたことがありますが、「痛い、もう一本」というのはイヤですねー。
ただ、これがさらに研究が進み、選択肢が増えるのならそれはいいことだと思います。人によっては1日1回で済んだ方がいいという人もいるでしょうし。なんにせよ、もうちょっといろんなデータがでてこないと判断することはできないですねー。
こんにちは。sunburst2006です。
今日はHIVの新しい治療として研究が進んでいる遺伝子治療の紹介をさせてもらいます。下のリンク先の記事で、VRX496を使った研究がphase I(第1相試験)の結果が良好であったというものをみつけました。
情報源:
Genetically modified HIV shows early promise as a gene therapy viral vector
http://www.aidsmap.com/en/news/
FA305B76-C5FC-49CD-AAFC-3DCBBA82B8F8.asp
Gene transfer in humans using a conditionally replicating lentiviral vector
http://www.pnas.org/cgi/content/full/103/46/17372#T1
ただし今回も、つたない英語力の上に医学の専門知識もない私の解釈ですから、誤訳、誤読、誤解があるかもしれません。というわけで今回も注意書きをば。
注意:これから書かれている内容は、医療の専門家でもなく、英語に精通しているわけでもない筆者が、ネットで集めた海外の医療情報をもとに書いています。そのため、これから書かれている内容については、それが正しい情報かどうかを保証することができません。あなたがここに書かれていることを信用し、いかなる損害を受けても、私sunburst2006はその責任を負うことができません。間違った情報が含まれているかも知れないという前提の上でお読み下さい。
上の注意書きを読まれた上で、以下の記事をご覧ください。なお、専門家の方が読んで「ここがおかしい」という部分がございましたら、メールかコメントで連絡をいただければ幸いです。すぐに訂正させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
遺伝子治療は本来、先天的な遺伝子の異常による病気に使われる技術です。HIVは後天的な病気ですからどうやって遺伝子治療の技術を応用するのかと思っていたのですが、その辺りのことも上記リンク先の記事に書かれていました。
私のつたない英語力によるとですが、HIVは自身の遺伝子情報を人間のDNAに挿入する(RNAを人間のDNAに逆転写して増殖する)ため、人間ではなくHIVの遺伝子をターゲットにして遺伝子操作を行い、増殖機能を持たないHIVを作成(これをVRX496と呼んでいるようです)し、HIV患者のCD4に感染させて体内に戻すことで、そのCD4が破壊されずに生き延びるということのようです。つまり、悪さをしないように遺伝子操作されたHIVを放り込むことで、本来のHIVの免疫破壊活動を抑え込もうということです。
これは今までのHAARTの概念とは全く違うアプローチになります。
これまでのHAARTは、血中のウイルス量を限界まで下げ、CD4への侵入、破壊を防ぐというものでした。しかしこの遺伝子治療は、CD4を破壊しないウイルスに感染させることによってCD4を生かしてしまおうという、逆転の発想のようです。
記事ではphase I(第1相試験)の結果が良好であったというまとめになっています。多剤薬剤耐性患者5人にこの方法を試し、そのうち4人のCD4が増える、もしくは状態を維持することができたと書かれています。
では、これが実用化されるまでにはあとどれくらいかかるのでしょうか。
臨床試験はphase I(第1相試験)、phase II(第2相試験)、phase III(第3相試験)という順序で行われ、phase IIIを終えたものが最終的にFDAに承認されるという順番です。大体、phase IIIで良好な結果が得られた場合、phase IIIに入ってから3年くらいで薬として承認されることが多いようです(一部、例外もあります)。
ただ、今までの開発でも、phase I、phase IIで非常に良好な結果がでていても、phase IIIで長期使用による毒性が判明したりなどということがあって、開発はすんなりいくとは限りません。
http://www.seedmagazine.com/news/2006/11/genetically_altered_aids_retro.php
上記アドレスの情報によると、VRX496もphase II(第2相試験)に入ったようですが、これがすんなり実用化されるかどうかはわかりません。特に、今までの治療のアプローチとは全く違う角度からの研究ですから、本当に安全な治療なのかどうかをしっかり見極める必要があります。
まだまだどうなるかは分からない治療法の研究ですが、いろいろなアプローチからの研究が進んでくれるのは大歓迎です。この研究がうまく行くかは別として、これをもとに他の研究が進むこともあります。研究者の皆さんにはがんばってもらいたいですねー。
こんばんは。sunburst2006です。
今日は、私が使っているFUZEONとPrezistaが、多剤薬剤耐性のHIVをもつ人にどれくらい効果があるのかというお話をしたいと思います。かなり突っ込んだ話になりますので、興味のある方だけご覧ください。
なお、多剤薬剤耐性のHIVをもつ人の治療を「サルベージ療法」と呼びますので、その点を付記しておきます。
今日のお話は CCO(Clinical Care Options)のHIVサイト から得た情報になります。
CCOって何?という人のために、用語集に簡単にまとめておきましたので、そちらの説明もご覧ください→CCOの説明
さて、このCCOのサイト、各種の記事を見るためにはサイトに登録をしなければなりません。登録は無料で、メールアドレスや名前を入れれば見られるため、私は登録してあちこち覗いています。
しかし、こういう登録制サイトからの情報を自分のブログに書く場合、本文の引用をしてはいけないような気がします。ただし、登録すれば無料で見られる情報であるため、内容について考察する分には大丈夫だと判断しました。そのため、今回の記事では本文の引用はせず、私のつたない英語ではこう読めたという部分だけを書かせてもらいます。そこで、いつもの前置きです。
注意:これから書かれている内容は、医療の専門家でもなく、英語に精通しているわけでもない筆者が、ネットで集めた海外の医療情報をもとに書いています。そのため、これから書かれている内容については、それが正しい情報かどうかを保証することができません。あなたがここに書かれていることを信用し、いかなる損害を受けても、私、sunburst2006はその責任を負うことができません。間違った情報が含まれているかも知れないという前提の上でお読み下さい。
参考にされる場合は、ご自身でCCOに登録し、原文をお読みください。よろしくお願いいたします。
原文:
Investigational Protease Inhibitor TMC114
Demonstrates Activity in Highly PI-Experienced Patients
このページによると、これは2005年2月、ボストンで行われた「2005 Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections」での発表のようです。
Prezista(darunavir : TMC-114)がアメリカFDAの承認を受ける前に行っていた2つの治験(TMC114- C213/C202 : POWER 1/2) のデータを解析し、その効果が示されています。
この治験に参加できる人の条件は
1.HIV-1感染者で
2.最低3つのクラス(プロテアーゼ阻害剤、核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤)の薬を使ったことがあり
3.現在プロテアーゼ阻害剤を含む治療をしていて
4.プロテアーゼ阻害剤に対する主要な耐性変異が1つ以上あり
5.HIVウイルス量が1000より多い
だったようです。
こうして選ばれた人を、5種類のカテゴリー(薬の量や一日何回投与するかで4種類、コントロールグループというTMC-114を使わずに経過を見るグループが1種類)に分け、それぞれに60人程度(全部で300人程度)がエントリーしています。
TMC-114を使ったグループの人達について、これまでの平均使用薬歴は核酸系逆転写酵素阻害剤が5種類、非核酸系逆転写酵素阻害剤が1種類、プロテアーゼ阻害剤が4種類となっています(これはかなりの耐性状況だと思われます)。
で、この効果をそれぞれ比較検討しているわけですが、このデータで最も重要なのは「24週後にウイルス量の50未満をどれだけの人が達成できたか」という点です。前にも少しお話ししましたが、大体24週間、ウイルス量を50未満にできれば、その後もその組み合わせのHAARTを時間通りにしっかりと続けていくことで、ウイルスの耐性化や増殖を防げる確率がぐんと高くなるからです。
そうして比較した中で最も効果が高かったのは、その時点で最良と考えられるHAARTの組み合わせに、「TMC-114 (600mg)とリトナビル(100mg)の1日2回投与」を足したグループでした。このグループでは、投与開始から24週後のウイルス量が50未満になった確率は47%(コントロールグループは9%)でした。
このグループを、FUZEONを使った人達と使わなかった人達の内訳で見ると、24週後のウイルス量が50未満になった確率は下記のようになっています。
今までにFUZEONを使ったことがなくて、TMC-114といっしょに初めてFUZEONを使った人→67%
FUZEONを使わなかった人→37%
(注:両者とも、その時点で最適と思われる抗HIV薬を足して治療をしています)
FUZEONを使わない人では37%しか50未満にならなかったのに、FUZEONをいっしょに使った人では67%が50未満を達成しています。この結果から、ウイルス学的には、FUZEONを使ったことのない多剤薬剤耐性患者のサルベージ療法においてPrezista(TMC-114)の効果を最大限にするためには、FUZEONを足すことが望ましいと言えるのではないでしょうか。こうした考えから、私と医師は、現在のPrezistaとFUZEONを含むHAARTに挑戦することを選んだわけです。
ということで、硬結や痛みがひどくても、なんとかこのHAARTを続行したいと思いまーす。
こんにちは。sunburst2006です。
本日は業務連絡を兼ねて(笑)、医療従事者の皆さまにいくつかの情報をば。またもや箇条書きにて。
- T-20の注射部位の副作用に対する戦略
- インテグレース阻害剤MK-0518とFUZEONの併用で、多剤薬剤耐性患者の90~95%がウイルス量の検出限界以下(400コピー未満)を達成
下記サイトに、上記のような標題の文章が載っていました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/queryd.fcgi?db=pubmed&cmd
=Retrieve&dopt=AbstractPlus&list_uids=17024766&itool=pubmed_docsum
Enfuvirtide: patient acceptance and strategies for managing injection-site reactions.
このサイトは、アメリカのNational Center for Biotechnology Information(NCBI)が、Pub Medというところから出している雑誌「AIDS Read」に9月16日付で出ている記事らしく(私のつたない英語力では、そう解釈されました)、全文を読むことができません。どなたか、この記事の内容にアクセスできる方はいらっしゃいますでしょうか。わかったら、こっそり教えてください(笑)。
"strategies"というくらいだから、すごいことが書いてあるのではないかという期待半分、どうせ「軽くもんで冷やせ」ぐらいのことしか書いてないだろうなというあきらめ半分ですが(^^;
標題の通り、かなり期待できる内容です。
http://www.biospace.com/news_story.aspx?StoryID=32242&full=1
Roche (RHHBY) Release: New Data Show Unprecedented Undetectable Rates Of Over 90 Percent In HIV Patients Receiving FUZEON(R) And Investigational Integrase Inhibitor MK-0518
だいたい要約すると、24週間のPhase II Bのデータによると、ほぼ全ての抗HIV薬の治療経験がある患者(FUZEON経験者は除く)において、FUZEONとMK-0518の併用で90から95%の人がウイルス量を検出限界以下(400以下)に抑え、FUZEONなしの人は60%から70%の人がウイルス量を検出限界以下(400以下)に抑えた、という感じのようです(私のつたない英語力では、そう読めます)。
24週後でこの数字、すごいぞ、インテグレース阻害剤。最近、Phase IIIに入って、Expanded Access Programに入ったところですから、うまくいけばあと3年くらいで認可でしょうか。がんばれMerckですね。
以上、業務連絡でした(笑)。