あちらこちら命がけ

血友病、HIV、B/C型肝炎等を抱えて生きる人のブログ。薬の体験記、海外の最新医療情報、サルベージ療法から日常雑感まで。

2007.7.7 公開シンポジウム 抗HIV薬開発への挑戦

2007年07月09日 23時43分51秒 | HIV・エイズ・肝炎の最新医療情報

2007.7.7 公開シンポジウム 抗HIV薬開発への挑戦

 こんばんは。sunburstです。
 7が3つ並んだ一昨日、熊本大学大学院の教授で、医学薬学研究部、血液内科・感染免疫診療部の満屋裕明先生の講演を聞きに行ってきました。
 満屋先生のお名前を知らない方でも、世界で初めての抗HIV薬、AZTを開発し、続けてddI、ddcを発見された方と言えば、そのすごさがわかるかと思います。

 満屋先生の講演のタイトルは
「抗HIV治療薬開発への挑戦 AZTから(インテグラーぜ阻害剤、そして)プロテアーゼ二量体阻害剤まで」
で、聞き慣れない言葉がでてきましたが、とてもエキサイティングなお話を聞かせてもらいました。


 満屋先生の講演は、AZT開発当時(1985年)のお話から始まりました。
 AZTがHIVに効くということを発見したものの、(耐性出現や副作用のため)AZTが完全な薬ではないということは、開発当時からの課題だったそうです。しかし、だからこそ、満屋先生の研究室の合い言葉は「HIV感染者よ、死ぬな! 時間を稼げ! もっといい薬が次々に出る!」だったそうです。

 実際、その時代から20年以上が経った今、当時の満屋先生たちの合い言葉は現実になってきています。
 現在の抗HIV治療は、こうした研究者の心意気と、体を張って治験に参加してきた、あるいは命を落とすこともある壮絶な治験に参加しデータを遺していってくれた、多くの患者達の上に成り立っていることを忘れてはならないと思いました。

 続いて、満屋先生は1991年(注:1981年かもしれません。どなたか詳しい方、コメントをいただけると助かります)、NCI(米国立ガン研究所)が発表したCD4数に関する生存曲線のデータを示されました。それはCD4が50を切ると、およそ半分の人が1年以内に死亡するというデータでした。
 実際、私が「このまま治療ができなければ、1年以上の生存を保証できない」と言われたのも、CD4数が50を切った頃でしたし、HIVで亡くなる人のほとんどはCD4数が50を切っている人だそうです。
 とは言っても、私はCD4数が50を切ってから6年間を耐えることができましたし、抗HIV薬の進歩によって現在の余命は大きく伸びています。データはデータとして、しかしCD4数が50を切ってもなお、あきらめる必要などないということは付記しておきたいと思います。満屋先生の言葉を借りれば、まさに「HIV感染者よ、死ぬな! 時間を稼げ! もっといい薬が次々に出る!」ですね。

 その後、HIVのウイルスのお話と核酸系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、その他新しい作用機序の各種抗HIV薬のお話が続いたのですが、うう、ごめんなさい。あたまがわるくてわかりませんでした。なんとなくはつかめたかもしれないのですが、「なんとなく」な上に「かもしれない」レベルですので、文章にするのはとても無理です。かなりおおざっぱにまとめると、とにかくこれからもいろんな抗HIV薬を作ってくれるという趣旨のお話だったと思います。おおざっぱすぎてごめんなさい。


 それで最後に、満屋先生は一節の言葉を紹介されながら、以下のようにご自身の決意を語ってくれました。

"The only thing necessary for the triumph of evil is for good men to do nothing."
「邪悪が制覇するのに必要なのは、唯一、善良な人々が何もしないでおくことだ」

 「私たちは、何かをしなければならない。ばかげたアイデアでも、何でも試していって、何でも構わないから、メカニズムが無くても、効けばよい。それが患者に利益をもたらしたいと願う、臨床家と研究家の基本的な心構えであろうかと思っております」


 最新の治療の知識を得た以上に様々なことを感じ、個人的にとても実りの多いシンポジウムとなりました。ありがとうございました。
 



追伸1:この後、T医師が閉会のあいさつをされましたが、その中で「インディアンのことわざのようなもの」として、以下の言葉を紹介されました。

  「人に力があるわけではない。ただ責任があるのだ」

 まさに、まさにです。責任を果たそうとする中に、力が生まれるのですね。

 特にまだ強力な抗HIV治療(HAART)が無かった頃、本当に多くの一人一人が、何の治療のすべもなく、続々と亡くなっていきました。怒りと、哀しみと、枯れるほどの涙と、言い尽くせない無念と。渦巻く感情の牙は、あるいは身近な人に向けられることもありました。
 剥き出しの生命の現場で、医師や看護師をはじめとした医療従事者もまた、何もできない無力感と戦ってきたことと思います。プロであるにも関わらず、自分が全く、何の役にも立たないという壮絶な現実。それでも目の前の生命への責任だけがある。そこから逃げずに、引き裂かれながらもその責任と向き合っていこうとする人が、本物のプロとして力をつけてくれました。私は、そんなみなさんに、心から感謝しています。そしてまた、次の10年を担う人材が陸続と連なっていかれることを、切に願っています。



追伸2:私も現在、服用しているダルナビルという薬について、満屋先生の講演の中から私がわかったポイントだけ以下に箇条書きにしたいと思います。
注:以下のまとめは、医学についてはずぶの素人であるsunburstが聞き書きしたもので、その内容は間違っている可能性があります。間違っている可能性があるという前提でお読みください。
 1.ダルナビル(darunavir:PREZISTA:TMC-114)はアミノ酸の主鎖(Main Chain)に結合するプロテアーゼ二量体阻害剤で、今までのプロテアーゼ阻害剤よりもさらに強力である。
 2.現時点で二量体化を阻止できるプロテアーゼ阻害剤はダルナビルとティプラナビル(日本では未認可、FDA承認済み)だけである。
 3.しかし、いくら「強力」であるとは言っても、やはり耐性の問題がつきまとう。
 4.(プロテアーゼ阻害剤に対する耐性プロフィールの厳しい患者に対しては特に)ダルナビル以外の強力な抗HIV薬と併用することが重要である。


ぷはあー

2007年07月07日 17時47分29秒 | 日常

 ぷはあー。sunburstです。
 ここ1カ月ほど息継ぐ暇もないほど忙しく、ブログも全然更新できませんでした。ある業界である職種についていると、事業年度最初の3カ月の末日(4月はじめなら6月末ですね)はものすごいことになるのです。ものすごかったのです。そんなことは言い訳です。ごめんちゃい。
 やっと今日、少し息ができるくらいになったので、息継ぎをしてみたところでございます。ぷはあー。

 この間のことは詳しく書くのもあれなので(どれなので?)、ここ1カ月ほどで気付いたことを備忘録的にメモしておきます。

・仕事の山は、放っておくと山脈になる
・一度山脈になると、延々と山登りをすることになる
・登った分は下りなきゃいけない
・でもまた登りが!
・道に迷ったら大声を上げて人を探すべきだ
・そんなときに助けてくれる人の恩は忘れちゃいけない
・ありがとう
・体温が高いと暑い時期はつらい
・食事をするだけで笑っちゃうくらい汗だくになる
・しかし睡眠中に「引く」くらい汗だくになるのは何故だ?
・睡眠はスポーツか?
・CD4が3桁あると体が楽だ
・今まで1桁でよく生きてたなあ
・ありがとう
・広島で食べる広島焼きはうまい!
・しかし暑い!
・今度は11月だ!
・涼しいといいなあ
・好きな動物はパンダだ
・パンダ飼いたい
・次のお芝居が楽しみだ


 一部意味が分からないものもありますが(笑)、大枠、このようなことを感じた日々でした。
 また今日から、更新を再開したいと思いますので、よろしくお願いしますー。