あちらこちら命がけ

血友病、HIV、B/C型肝炎等を抱えて生きる人のブログ。薬の体験記、海外の最新医療情報、サルベージ療法から日常雑感まで。

検査データ(CD4、ウイルス量、肝機能)

2006年09月19日 00時10分03秒 | 用語集
1.CD4数

 CD4は白血球の種類の1つで、細菌やウイルスを攻撃する命令を出し、免疫全体を調整している。免疫の司令塔とも言われる。正しくはCD4陽性リンパ球と言い、数は多いほど良いとされる(通常700~1500程度)。
 HIVは主にこのCD4陽性リンパ球に侵入、内部でウイルスが複製されるとCD4は壊されてしまう。
 HIV感染者が無治療でいるとCD4はどんどん壊され、200を切ると、日和見感染症というHIVに特有の症状を引き起こす確率が高まる。

2.HIVウイルス量

 血漿1ml中にエイズウイルスがどれだけいるかを表わす。低い方が良い。検査データの誤差が大きく、例えば1万と2万でも誤差範囲のことがあり、2万は「2×104(10の4乗)」と呼び、この「○乗」が増減した場合にウイルス量が増えた、減ったという判断をすることができる。
 感染後6ヶ月を過ぎた頃からHIVのウイルス量は大体一定の値を示すようになり、この時点をセットポイントと呼ぶ。セットポイントの時点でのウイルス量が高いほど、病気の進行するスピードも速いといわれる。
 このHIVウイルス量を抑えることが最近の抗HIV治療(HAART)の目的。治療中は検出限界以下(50以下)を目指し、これが達成されれば耐性ウイルスの出現を抑え、免疫状態の悪化を防ぐことができると言われている。なお、検出限界以下の場合、データ表には"UD"(undetectable)と記される。

 
3.GOT(AST)

  GPT(ALT)

 それぞれ肝臓の細胞に含まれる酵素のこと。ウイルス性肝炎などで肝臓が攻撃され肝細胞が壊されると、これらの酵素も血中に流れてきて検査結果が上がる。つまり、これらの数値が高いほど肝臓が壊されていると言うことで、低く抑えるのが良い(正常値についてはいくつかの意見があるが、それぞれ35以下、30以下くらいが望ましい)。
 HIV(エイズウイルス)とHCV(C型肝炎ウイルス)の両方に感染している重複感染者の場合、C型肝炎だけの人よりも肝炎の進行が速く、特にこれらの肝機能を表わす数値に注意が必要。現に、日本感染症学会は2006年1月26日、厚生労働省健康局疾病対策課からの報告の下、ホームページ上で

また,HIVに対する治療方法の進歩に伴い,HIV・HCV重複感染者の死因の約半数が,非AIDS関連死であり,特にその多くをHCVによる肝硬変が占めているとの報告があります.

という情報を示し、早期の肝臓治療の必要性を訴えている。
(日本感染症学会の該当ページはこちらをクリック)

 HIVとC型肝炎の重複感染の場合、GOT(AST)、GPT(ALT)が100を越えている場合、肝臓治療を考慮する必要があると言われている。また、それより低い場合でも治療をしなければいけない場合もある。肝臓に負担をかける抗HIV治療を長く続けていくためにも、HIV感染者は肝臓の治療を最優先で行う必要がある。

 さらに、エイズ予防情報ネットホームページ には厚生労働科学研究班(エイズ対策研究事業 主任研究者:小池和彦東京大学医学部教授)が作成した「HIV・HCV重複感染時の診療ガイドライン」がある。詳しくはそちらも参照のこと


HAART

2006年09月19日 00時10分02秒 | 用語集

HAART(ハート:Highly Active Anti-retroviral Therapy

 数種類(通常3種類以上)の抗HIV薬を組み合わせて使う、強力な多剤併用療法のこと。プロテアーゼ阻害剤が開発された1996年ごろから試みられていて、現在のHIV治療において最も基本的な方法です。多剤併用という点で、カクテル療法などと言われることもあります。
 HAARTの目的は、血中のウイルス量を検出限界以下に抑えこみ、HIVの病態が進むのを遅らせることにあります。これによりエイズ発症を遅らせ、免疫機能を維持、回復させることが期待されます。

 ただし、HIV(エイズウイルス)は変異を起こしやすいウイルスで、中途半端な治療

(1)飲み忘れがある
(2)きちんと時間通りに服薬していない
(3)食後・食間などの指示を守っていない
(4)血中ウイルスを抑えきれていない、弱い薬の組み合わせでの治療 など

を行ってしまうと、その薬が効かないウイルス(薬剤耐性ウイルス)が生まれます。薬剤耐性ウイルスが生まれると、もうその時に使っていた薬は一生効かないことになります。耐性ウイルスの怖さは、それが一時的なものではなく、生涯にわたって薬が効かなくなるという点にあります。
 そのためHAARTを成功させるには、医療従事者はHAARTを行う人にこうしたHIVの性質(ちゃんと服薬しないと薬が効かなくなってしまうことなど)をきちんと説明し、生活リズムの中でどのように服薬をしていくかを話し合い、確実に服薬が行えるよう連携していくことが最も重要です。

 またHAARTを行う人は勝手な個人判断で薬を止めたり、下痢などの副作用がきついなどの理由で服薬をスキップするなどの行為は、絶対にやってはいけません。服薬を困難に感じた場合は必ず医療従事者に相談してください。勝手な個人判断は絶対にしないということがHIV治療における絶対のルールです。


 こうしたHAARTの登場により、HIV感染者やエイズ発症者の予後は大分改善されてきましたが、近年はHAARTの強い副作用が問題になってきています。
 使う薬にもよりますが、ひどい副作用としては

肝機能障害による脂肪肝、肝硬変など
腎機能障害による腎不全、人工透析の適応など
血糖値上昇による2型糖尿病の発病
乳酸アシドーシス
すい炎
徐脈(心臓不整脈)

などなど、いくつかの報告があります。
 ただし、現時点ではHIV治療としてはHAARTしか選択肢がありません。副作用を必要以上に恐れ、治療をせずにエイズ発症するというのもナンセンスです。

 薬の副作用は、早い時点で適切な対処をすれば、ほとんど大事にはなりません。また、耐性ウイルスを作っていなければ、いくつかの薬の組み合わせの中から、最も自分に適した薬を選ぶことができます。

 ですから現時点でとれる最善策は、採血などの定期検査で薬の副作用の状態を把握しながら、それぞれの体にあった薬の組み合わせを見つけてHAARTを行っていくということだと言われています。


より詳しく知りたい方へ参考となるWEBサイト

服薬支援研究班(HAART Support)
エイズ予防情報ネット(API-Net)
HIV感染症治療研究会


HIV感染とエイズ発症の違い

2006年09月19日 00時10分01秒 | 用語集
HIV感染とエイズ発症の違い

 HIV感染とエイズ発症は違います。HIV感染とは、簡単にいえばエイズウイルス(HIV)に感染しているけれど、まだ症状が出ていない状態を指します。それに対しエイズ発症は、23の指定された日和見感染症のいずれかを発症している状態を指します。エイズ発症は、大体CD4の量が200を切ると(通常の人は大体700以上あります)発症する可能性が高くなると言われています。今は薬も進化し、エイズ発症しても治療によって大分回復させることもできるようになってきましたが、症状を放置し対処が遅れると致命的な結果になることもあります。
 すべてのHIV感染者がエイズ発症するわけではなく、最近ではきちんとした抗HIV治療HAARTによってエイズ発症を遅らせることができるようになりました。また、時折、無治療のHIV感染者の中に、血中のウイルス量が低く、ほとんどCD4の量が下がらない人もいます。このような人は「long term surviver」、「long term non-progressor」などと呼ばれ、彼らは長い期間を無症候で過ごしています。

核酸系逆転写酵素阻害剤

2006年09月19日 00時01分50秒 | 用語集
核酸系逆転写酵素阻害剤

薬剤名

一般名 商品名 薬剤耐性でのアミノ酸変異部位
(一次変異=青数字、二次変異=赤数字)
AZT(ZDV) ジドブジン レトロビル 41 44 67 70 118 210 215 219
d4T サニルブジン ゼリット 41 44 65 67 70 118 210 215 219
3TC ラミブジン エピビル 65 184
FTC エムトリシタビン エムトリバ 65 184
TDF テノホビル ビリアード 65
ABC アバカビル ザイアジェン 65 74 115 184
ddI ジダノシン ヴァイデックス 65 74
ddC ザルシタビン ハイビッド 65 69 74 184
AZT /3TC ジドブジン /ラミブジン コンビビル
3TC /ABC ラミブジン /アバカビル エプジコム
FTC /TDF エムトリシタビン /テノホビル ツルバダ

注1
 TDFの耐性についてはまだ良くわかっておらず、65番の変異以外にもいくつかの要素がからみあっているようです。FTCに耐性を起こしていると、逆にTDFが効きやすくなると言われることもあります。私では判断がつきませんので、詳しい情報が知りたい方は専門家にお尋ねください。
注2 コンビビル、エプジコム、ツルバダは、一錠の中に2種類の薬剤を混ぜて作った合剤です。耐性についてはそれぞれの薬剤の欄を参照してください。

非核酸系逆転写酵素阻害剤

2006年09月19日 00時01分49秒 | 用語集
非核酸系逆転写酵素阻害剤
薬剤名 一般名 商品名 薬剤耐性でのアミノ酸変異部位
(一次変異=青数字、二次変異=赤数字)
NVP ネビラピン ビラミューン 100 103 106 108 181 188 190

DLV デラビルジン レスクリプター
103 106
181 188

236
EFV エファビレンツ ストックリン 100 103 106 108 181 188 190 225

プロテアーゼ阻害剤

2006年09月19日 00時01分48秒 | 用語集
薬剤名 一般名 商品名 薬剤耐性でのアミノ酸変異部位(一次変異=青数字、二次変異=赤数字)
IDV インジナビル クリキシバン 10 20 24
32
36 46



54
71 73 77 82 84
90
RTV リトナビル ノービア 10 20

32 33 36 46



54
71
77 82 84
90
SQV サキナビル インビラーゼ 10







48

54
71 73 77 82 84
90
NFV ネルフィナビル ビラセプト 10

30

36 46





71
77 82 84 88 90
FPV ホスアンプレナビル レクシヴァ 10


32

46 47
50
54

73

84
90
LPV・RTV ロピナビル・リトナビル カレトラ 10 20 24
32 33
46 47
50 53 54 63 71 73
82 84
90
ATV アタザナビル レイアタッツ 10 20 24
32 33 36 46
48 50
54
71 73
82 84 88 90


CCO(Clinical Care Options)

2006年09月19日 00時00分01秒 | 用語集

CCO(Clinical Care Options) の法人組織としてのサイト http://corp.clinicaloptions.com/ の、About us によると

--------ここから引用--------
Clinical Care Options, experts in the development of interactive medical education programs for healthcare professionals, creates and publishes original CME and information resources that translate the latest developments in science and medicine to clinically useful information.
--------ここまで引用--------

 これを私のつたない英語で訳すと

クリニカルケアオプション(CCO)は、健康管理のプロフェッショナルが相互に医療の知識をやりとりし、教育し合う場を開発することを専門にし、過去の科学、医学の発展を治療に有用な情報として提供し、独自のCMEを出版しています。

となります。具体的には肝炎、HIV、ガンなどの領域で、医師や研究者による各種カンファレンスを開いたり、出版物を出したりといった活動をメインにしているようです。
 なお、スポンサーとしては抗HIV薬開発でも有名なアボット、ロシュ、トライメリスなど、大手製薬企業が名を連ねています。法人組織としては、アメリカ東部、ニューヨークの南西に位置するヴァージニア州、Restonに本拠を置いています。

 HIVに関しては http://clinicaloptions.com/HIV.aspx 
がトップページになります。