あちらこちら命がけ

血友病、HIV、B/C型肝炎等を抱えて生きる人のブログ。薬の体験記、海外の最新医療情報、サルベージ療法から日常雑感まで。

馬渡直子さんのこと

2007年05月26日 20時02分33秒 | こんな演劇、映画を観た

馬渡直子さん(女優:劇団三年物語 所属)
HP:
馬渡直子のホームページ

 

 私が馬渡さんのお芝居を初めて観たのは、今から5年ほど前のこと。それは当時、馬渡さんが所属していた劇団「Cretan Crete」の「Vampire Hunter」という公演でのことでした。

 馬渡さんのお芝居には、声には、強烈な引力がありました。

 きれいな女優さん、格好いい俳優さんはたくさんいます。でも舞台の上で全てを引きよせ再構築する力を持った役者さんは、そうそういるものではありません。馬渡さんは、そういう稀有な役者さんの一人です。

 馬渡さんが発した言葉は、馬渡さんの体を離れて宙に浮かび、そこに具体的な形を立ち上らせます。言霊という言い方がありますが、まさに馬渡さんに発せられた言葉は独立した力をもち、一つの世界を描き出すのです。

 私は客席から、舞台の上に広がっていく言葉の輪郭をつかまえようと目を凝らしました。一人の表現者が全身全霊で描き出す世界に触れたくて、じっと耳を澄ませました。


 舞台に、緊張が走ります。舞台の静と動が、馬渡さんとともにありました。


 馬渡さんの声が消えていく音が、聞こえたような気がします。張りつめ、凝縮された空気が、舞台から客席へと急速に広がっていきます。このリズムの中に、私も生かされていました。肌には粟が立ち、ああ、これは幸せだと思いました。無条件に、これは幸せだと思いました。


 2時間ほどの公演が終わり、人の波とともに外に出ました。たしか季節も、今ぐらいの時期だったと思います。街灯に照らされながら、夜を歩きました。涼やかな草木の水分を含んだ風を受けて、新鮮な空気をいっぱいに吸い込みました。

 当時、実は私は、精神的に結構まいっていました。大学を卒業したものの就職もできず、かといって何もできることもなく、ふとした瞬間に自分の生きる意味を考えてしまうような毎日でした。
 意味なんぞ考える前に、とにかく生きることが大事だと、そう頭ではわかっていたのですが、やはり心は縁に触れて揺れるもの。揺れる心を固く方向付けるのは、容易ではありません。

 公演の帰り道、馬渡さんの次のお芝居が楽しみだなと思いました。早く次の公演が観たいなと思いました。そう思ったら、明日もがんばれそうだと思えました。理屈ではなくて、心にあたたかな力が生まれていました。

 その日以来、馬渡さんは、私が最も応援している女優さんです。いつも真摯に物語と向き合い、素敵なお芝居を観せてくれて、ありがとうございます。毎回の公演を、とても楽しみにしています。

 

追伸:
 馬渡さんは女優さんですが、ホームページもすごいのです。
 なにがすごいのかって、まず日記がすごいのです。馬渡さんは詩人なのです。文章が素敵なのです。無敵なのです。
 そして「くろねこちゃんとしろねこちゃん」がすごいのです。まいった時はくろねこちゃんとお話をするのです。一時期ねこちゃんたちは旅に出ていたのですが、帰ってきてくれたのです。
 詳細は馬渡さんのホームページに行けばわかるのです。行かなければまるでわからないのです。あえて詳しい説明はしないのです(笑)。

馬渡直子のホームページ 
http://naoko-mawatari.jp/
(「くろねこちゃんとしろねこちゃん」は、上記のページから「Black or White」をポチっと)


今日の夜ご飯

2007年05月17日 23時35分18秒 | おいしいもの

 こんばんは。sunburstです。
 なかなかまとまってパソコンの前に座れる時間がとれなくて、全然更新ができていませんです。本当は書きたいことがいくつかあるのですが、どれも大切なことなのできちんと時間をとって書きたいんですよね。

 ということで今日は、夜ご飯の写真でご勘弁くださいー。


 左上から時計回りに焼きナス、水菜ときゅうりとピーマンのサラダ、お醤油、ごはん(16穀米)、アボカドのスライスに刻んだ大葉(シソの葉)をちらしたもの。

 なんか、健康に良さそうな物を食べたら健康に良さそうだと思い(うわー、そのまんまだー)、こんなことになりました。

 サラダは塩、こしょう、バジルなんかをふりかけたところにヴァージンオリーブオイルと酢を混ぜたものをかけて食べるのが好きです。むしゃむしゃ。こうして食べると、お酢やバジルのさわやかさが鼻に抜けていくのと同時に、舌にはオリーブオイルのコクが残ります。初夏に合うサラダだと思いますー。

 焼きナスはこれからどんどんおいしくなりますねー。たっぷりのかつおぶしをまぶして、おろししょうがでぴりりと食べる。ぱくぱく。うーん、しょうがの良い香りとかつおぶしの滋味、ナスのやわらかい食感があいまって、食欲が出てきます。もりもり。

 そこでアボカドの大葉あえ。免疫の関係でお刺身が食べられないsunburstにとって、アボカドは大トロです(^-^)
 ただ、はずかしいことに私はわさびが苦手なので(笑)・・・、薬味は大葉です。
 スライスしたアボカドに細かく刻んだ大葉をちらし、お醤油をつけて食べます。とろーん。うーん、濃厚なうまみを大葉がきゅっと引き締めて、これで日本酒でも飲めたら完璧だなあでも飲めないよーまあおいしいからお酒はがまんでいいやー。

 そんなこんなで、
 
完食(右下は夜の飲み薬の残骸)。

 16穀米も、もちもちしてとってもおいしかったです。満足、満足。

 ただ一つ、しいて難点をあげるとすれば・・・、うぅ、ひとりごはん(^^;


神楽坂を歩く

2007年05月09日 23時55分25秒 | 日常

 こんばんは。sunburst神楽坂です。

 いやー、注射の無い開放感! 痛くない日々の高揚感! 楽すぎてダメ人間になっています(笑)。更新も大分さぼってしまいましたねー。ごめんなさーい。

 飲み薬、今の私の組み合わせだと12時間おき、食事をしてから飲まなくてはいけないので、多少のわずらわしさはあります。でもT-20の注射に比べたら、こんなものは何でもありません。副作用も今のところは何も出ていないようですし、きちんと効き続けてくれるよう祈るばかりです。


 しかし最近、夏日を記録するところもあるくらい、毎日暑いですね。薬で体調はいいのですが、もともと体温が高いため暑さには弱いsunburstです。もう毎日、汗だくです。

 でも、汗をかきながらでも、日差しをあびて外を歩くのは結構好きです。
 「あちー」とか言いながら好きな街並みを眺め、疲れたら喫茶店で冷たいものを飲む。とても幸せな時間ですねー。

 そんなわけで、今日は久々に神楽坂の街を歩いてみました。

  石畳がひんやり

 神楽坂の魅力は、何と言っても裏道にあると思います。

 細い小径が至る所に延びていて、出口のない袋小路に迷い込むこともしばしば。飲食店だけではなく普通の民家もありますから、場所によっては本当に民家と民家の間の細い路地で、神楽坂以外でこんな道を通ったら不審者だと通報されても文句はいえません(^^;


 今日のように暑い日は、粋な神楽坂人は石畳に打ち水をしています。
 大通りから横道に入った途端、気温が少し下がるのを感じます。そして、あちらこちらからおいしそうなにおいが漂い、これからのにぎわいを予感させます。



 日の入り間近、まさに火点し頃(ひともしごろ)。多くのお店の玄関前には、小さな火がともされます。

 あたりがすっかり暗くなると、うっすらと遠く見える部屋のあかりと、足下からやわらかに、ほのめくように揺れるオレンジが、街の奥行きを深めます。

 暗さは、人間の感覚を鋭敏にします。近まわりの距離感はより密になり、道の狭さも手伝って、すれ違う知らない人とも自然と会釈を交わします。お互い暗くてよくみえないのですが、互いの意識が譲り合い、尊重し合う気配を感じます。神楽坂の街には、一瞬に凝縮された一期一会があります。


 坂を上り、また下り、軽やかに歩ける幸せをかみしめています。