こんばんは。sunburst2006です。
このブログではFUZEON(T-20)の体験記を中心に書いていますが(食べ物日記化しているときもありますが)、私が使っている抗HIV薬はFUZEONだけではありません。そこで、今日はもう一度、私が使っている全ての抗HIV薬について書いておきたいと思います。
以下、わかりやすいように表にしてみましたので、そちらをご覧ください。
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商品名 |
一般名 |
薬剤名 |
プロテアーゼ阻害剤 |
Prezista
(プレジスタ) |
darunavir
(ダルナビル) |
コードネーム
TMC-114 |
ノービア |
リトナビル |
RTV |
核酸系逆転写酵素阻害剤 |
ツルバダ |
エムトリシタビン |
FTC |
テノホビル |
TDF |
融合阻害剤 |
FUZEON |
enfuvirtide |
コードネーム
T-20 |
注1:当初は9月5日開始で9月22日に中断。10月10日より再開。詳しくは下記ページを参照してください。
2006.9.22-抗HIV治療(HAART)を一時中断します
2006.9.26-経過報告
2006.10.9-いよいよ明日から!
注2:2006年11月現在、プレジスタとFUZEONは国内未承認
私が使っている抗HIV薬は 1.プレジスタ 2.ノービア 3.ツルバダ 4.FUZEON の4種類ですが、ツルバダは2種類の抗HIV薬を一つにまとめた合剤なので、実際には
- プレジスタ
- ノービア
- エムトリシタビン
- テノホビル
- FUZEON
という5剤を使っています。
抗HIV療法に詳しい方ならご存じかも知れませんが、強力な抗HIV治療(HAART)は3種類の効果のある薬を組み合わせるというのが基本になります。しかし私は5種類の薬を使っていますから「あれ、多いんじゃない?」と思われる方もいるかも知れません。しかし、実は私も、効果を期待して使っているのは上記の表でピンクにしている
- プレジスタ
- テノホビル
- FUZEON
の3種類だけで、ノービアとエムトリシタビンは、その薬の抗HIV効果を期待して飲んでいるわけではないのです。そのため5種類の抗HIV薬を使いつつも、実際には3種類の抗HIV薬によるHAARTを行っているということになります。
ではでは、なぜノービアとエムトリシタビンを使っているのでしょうか。それは、お薬の相互作用によって、この2つの薬を使った方が他の薬の効果が上がるからなのです。
ノービアは面白い薬で、他のプロテアーゼ阻害剤と一緒に使うと、そのプロテアーゼ阻害剤が体内で分解・排泄されるのを防ぎ、高い血中濃度(薬の効果の持続)を維持する力があるのです。簡単に言うと、他のプロテアーゼ阻害剤の攻撃力を増すわけですね。RPG(ロールプレイングゲーム)風に言うと
「sunburst2006はノービアを使った。
プレジスタの攻撃力が上がった!」
という感じです。バイキルト(ドラクエ)!
これはノービアの一般名を使って「リトナビルブースト」などと呼ばれているのですが、このリトナビルブーストという考え方がでてきたことによって、プロテアーゼ阻害剤の使いやすさが格段に上がりました。昔のプロテアーゼ阻害剤は体内への吸収が悪く分解も早いため、8時間おきに食後服用とかいうタイトなスケジュールだったのですが、リトナビルブーストと新薬の開発によって1日2回(薬によっては1日1回)投与で良い薬が増えてきました。
ただ、リトナビルブーストは薬剤の高い血中濃度を維持するため、プロテアーゼ阻害剤によっては副作用が強くでてしまうものもあり、一緒に使えないプロテアーゼ阻害剤もあります。私が使っているプレジスタの場合、臨床試験の段階から少量のノービア(リトナビル)と併用した方がいい結果が出ていて、副作用もまあ許容範囲であるとのことで、リトナビルブーストが推奨されているのです。
またエムトリシタビンについても、上記リトナビルブーストとは違った作用機序なのですが、テノホビルの効果を増すと言われています。これについてはかなり専門的なお話になるので、また別の機会に書きたいと思います。
ということで、私はプレジスタ、テノホビル、FUZEONの効果を期待していて、あとの2剤はこのHAARTの効果を最大にするために飲んでいるということになります。
ただ、テノホビルについては、私の耐性ウイルスにはほとんど効かないようです。私は、現在承認されている他の核酸系逆転写酵素阻害剤の全てに耐性を作っていますから、交叉耐性で効きづらいわけです。医師の話だと「人さし指で後ろから、最後のひと押しをしているくらいのもんかなあ」というような感じで、主力はやはり、FUZEONとプレジスタです。
現在、この組み合わせのHAARTでウイルス量が50未満になっていますが、本当にウイルスを抑え切れているかどうかは6ヶ月間ウイルス量の推移を見てみないとわかりません(来年の春くらいまでかかりますね)。ですから、この組み合わせが本当に私に効いているのか、今はわかりません。
その上、あちらこちら痛いからといってFUZEONを外した4種類のHAARTにしてしまうと、主力はプレジスタのみとなってしまいます。私と医師は、これでウイルスを抑えられる可能性はかなり低いのではないかと考えています。ですから、FUZEONを打つ場所がある限り、FUZEONを抜くという選択肢はなるべくとりたくありません。FUZEONの代わりに使えるような次の新薬が開発されるまで、なんとかこの組み合わせを使い続け、ウイルス量の50未満が維持できるよう願う日々です。
その他の補足記事
2006.11.4-サルベージ療法:FUZEONとPrezista
2006.10.27-私の抗HIV薬使用歴