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転生の宴

アヴァロンの鍵対戦会「一番槍選手権」を主催するNishiのブログ。最近はDIVAとDBACのプレイが多めです。

COJショートショート:ゴー・トゥー・ヘル・ウィズ・クランプス(その2)

2016-12-25 01:34:36 | 創作物(M・o・Aちゃん他)
そんな訳で何とかクリスマスに間に合ったので公開です。
クリスマスをテーマにしたショートショート、
「ゴー・トゥー・ヘル・ウィズ・クランプス」の完結編をお送りします。
お楽しみ下さい。

◎現在の連載作品

・ゴー・トゥー・ヘル・ウィズ・クランプス
その1

・エスケープ・フロム・ゲイン・グランド
その1
その2

◎過去作品

○連載もの

・クエスト・フォー・ザ・ムーン(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7(エピローグ)

・ロボトミー・ソルジャー(全4話)
その1
その2
その3
その4

・メリー・クリスマス・フロム・アルカナ(全2話)
その1
その2

・リターン・フロム・ザ・ドラゴンズ・ヘッド(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7

・タイガース・ダウンフォール(全4話)
その1
その2
その3
その4

・デイズ・イン・サマースクール(全5話)
その1
その2
その3
その4
その5


○その他エピソード

・バトルトーナメント:あなたが決める禁止カード(連載再開未定)
その1
その2

切札戦士 ジョーカー13(ワン・スリー) 第14話

エージェント・イン・スイムスーツ
イーリスの物語
シャドウメイジ・ジ・アサシン

○特別企画

COJゲームブック:幻のアニメ(2016年エイプリルフール企画)

<<<ゴー・トゥー・ヘル・ウィズ・クランプス その2>>>

作:Nissa(;-;)IKU

【「ひみつのクリスマスパーティー」に参加すべく、学校へも行かずに裏山へと向かった雪男。だがそれは悪の組織「リバースデビル」による罠であった】

【他の子供達と共に手足を縛られ、異次元空間「アルカナ」まで連れ去られてしまった雪男。彼らを工場に売り飛ばすべく、この危険な計画を実行した男が車外へと出ようとした、その時であった――】

突如、「箱」の壁が外側から開けられ、4本の腕が男の両腕を掴み。「箱」の外に引きずり出したのである。男が見上げるとそこには2人の男がいた――銀髪と赤い瞳を持つ黒いスーツの男、そして星形のギターらしきものを肩にかけた長髪の男である。

「リバースデビルがクリスマスパーティーを装って子供達を連れ去り――」銀髪の男達の横では、2体の「兵士」が火花を散らしながら大の字に倒れている。「――生体部品工場に売り渡しているという情報、やはり本当だった様だな」

「ぐっ――貴様ら」仮面の男は銀髪の男が端末を踏み壊すよりも早くそれを取り戻し、簡易コマンドを入力した。「政府エージェントがここまで早く動くか」

直後、「箱」の中から「兵士」達が次々と飛び出した。「素体」の搬入は後回しにし、侵入者の撃退を優先させたのだ。

「仁さん!『ロボット兵』だ!」長髪の男が叫んだ。「光平!トレーラーの中を頼む!恐らく人質が閉じ込められている筈だ!」銀髪の男が長髪の男――光平に呼びかけた。「俺はあの仮面の男を片付ける!」

「ロボット兵」――それは人間の脳を制御用のデバイス『生体クラウド端末』に換装することで、外部から遠隔操作が可能となった生体兵器である。雪男達を捕らえたあの兵士達は、全てリバースデビルのロボット兵だったのだ。

銀髪の男――仁はスーツからリボルバーを取り出す。「アルカナ」への高い適正を持つ彼らエージェントは、アルカナにおける物理法則をある程度破ることが出来る。彼の手にかかれば、単なるリボルバーをガトリング砲並の速度で連射することも可能なのだ。

仁はロボット兵の喉元を狙って次々と銃弾を放った。銃弾は断頭台の刃めいて兵士達の首から上を吹き飛ばし、打ち上げられた頭部は青白い光をまといながら空中で爆発した。制御を失った生体クラウド端末が暴走し、臨界に達したのである。

「なかなかやるな――」仮面の男は仁の正確な射撃、そしてリボルバーの火力の大幅な強化に舌を巻いた。「だが工場への緊急アクセスが通った、ここから反撃だ」

間もなくして工場の正門から、次々とロボット兵が現れた。仁はリボルバーで彼らを次々と撃ち落としてゆくが、余りにも数が多い。そして銃弾を生き延びた兵士達は仮面の男を守るように、仁の前に立ちふさがった――。

――

一方「箱」の中に飛び込んだ光平は、拘束されている子供達の解放の真最中であった。「箱」の中には2体ほどのロボット兵がいたが、彼のギター型端末が放つ超音波で無力化され、今は「箱」の外で仰向けで倒れている。

「――よし、これで全員だな」最後の一人を拘束するワイヤーを外したところで、光平は壁の後ろに横たえられた寝袋状の包みに気づいた。子供達は皆一様にその「寝袋」から目を背けようとしていた。

「寝袋」の存在は危険な事件との関わりも多い仁からも話は聞いていたが、現物を見るのは光平にとって初めてのことだった。(犠牲者が出てしまったか、それで皆恐れているんだな――)光平は不安を和らげるべく、子供達に優しく声をかけた。「大丈夫、無事帰れるまでもう少しの辛抱だからな」

――

そして仁と仮面の男による攻防は、一進一退の状態が続いていた。仁も支援用の「ユニット」操作プログラムを起動したが、次々と駆けつけてくるロボット兵の増援が、男への攻撃を困難にしていたのだ。

「お前たち『エージェント』の首には多額の懸賞金がかかっているからな」大量のロボット兵を失いながらも、仮面の男の表情には十分な余裕があった。「ここでお前たちを捕らえれば新たにロボット兵が2体出来上がる、これでここまでの消費を帳消しに出来るって寸法よ」

仮面の男の前に立つロボット兵5体の一斉射撃が、仁を守るユニット達を一斉に吹き飛ばした。ほんのわずかな隙だが、仁のもとに飛び込み、取り押さえるには十分な隙である。男は満を持してマクロコマンドを入力した。「今だ、奴を捕らえ――」

――だがロボット兵達が仁のもとに飛び込むことはなかった。代わりに仮面の男の方に跳びかかり、彼を後ろ手で押さえこんでしまったのだ。「なっ何だ、こんなところで入力エラーが――」

直後、工場の窓が一斉に火を噴き、建物は炎に包まれた。仮面の男は思わず目を剥いた。それは建物が爆発したからではなく、爆発の中から1つの影が飛び出したからであった。

影は空中で18回転した後、仁の手前に三点着地した。薄紫色に輝く髪、揚羽蝶を思わせる黒紫色の和服をまとった少女である。その左手には1枚の銀盤が握られていた。「沙夜…!また危なっかしい真似を!」仁は半ば呆れながらも、和服の少女――沙夜の手を取った。

「工場を爆破して証拠隠滅を図ったつもりだろうが――」沙夜は仁に銀盤を手渡した後、仮面の男に向き直った。「証拠は全てこの銀盤に収められている。おぬしらの負けじゃ」

そう、彼女こそリバースデビルによるこの計画についての情報を、仁達に知らせた張本人なのだった。数多の紛争の調停の為に平行世界を飛び回り続けている彼女であったが、「アルカナ」におけるこの陰謀は、彼女にとっても看過できぬ事態であったのだ。

彼女はかつての戦友であった仁達にこの情報を伝える一方、自身はリバースデビルの陰謀の証拠を探るべく、工場内の探索を行っていた。そして工場内の中枢部において記憶素子である銀盤を回収した後、そこでの管理下にあるロボット兵の機能の改竄を行ったのだ――。

――

「ぐっ、だがまだ負けが決まった訳では――」ロボット兵による締め上げに抗いながらも、仮面の男は逆転の一手を探っていた。だが、「――契約終了、自爆装置、発動します」彼の持つ端末が突如、冷酷なアナウンスを告げた。「ま、待ってくれ!俺はまだ――」

「仁、離れよ」沙夜は仁の手を取り、男から離れる様に駈け出した。直後、背後で爆音が響き、仁は反射的に沙夜をかばうように抱きかかえ、その場に屈みこんだ。

暫くして仁が振り返ると、男のいた場所からは橙色の火柱が、黒煙とともに立ち上っていた。上層部が男を切り捨て、遠隔爆破したのだ――仁達は直感した。

――

それから間もなくして、「箱」の中から光平が、人質となっていた子供達を引き連れて現れた。沙夜との対面は、仁だけでなく光平にとっても久々のことであった。沙夜はかつての戦友と軽い挨拶を交わした後、再び異世界へと旅立っていった。彼女にはまだ成すべきことがあったのだった。

リバースデビルによる恐るべき誘拐計画は、こうして仁達の手により阻止され、子供達はかの「拒絶反応」によって即死した一人を除いて、全員が救出されたのだった。

この事件は一般的な誘拐団によるものとして扱われ、唯一の犠牲者も誘拐団の所持するトレーラーによる轢殺と発表された。異次元空間「アルカナ」の存在を一般に知らしめるにはまだ早い――それが仁達の所属する政府機関の見解であった。

――

数日後、雪男の家ではいつも通りの夕食が行われていた。クリスマスイブだからといって特にフライドチキンやケーキなどを出したりはせず、焼き魚や野菜炒めなどのいつも通りの夕食をする――それが雪男の家での決まり事であった。

箸を進めながら、雪男は帰り際に聞いた光平の言葉を思い出していた。(サンタクロースには「クランプス」っていう家来が沢山いてね、親の言いつけを守らない悪い子を地獄に連れ去ってしまうんだ。あれももしかしたらクランプスの仲間の一人だったのかも知れないね――。)

サンタクロースの存在を無邪気に信じる年齢を、雪男は既に通り越していた。だが――恐るべき「クランプス」の存在は、何故だか不思議と信じられる様な気がするのだった。

<<<ゴー・トゥー・ヘル・ウィズ・クランプス おわり>>>

――

◎おまけ:M・o・Aちゃんが何か言う



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