転生の宴

アヴァロンの鍵対戦会「一番槍選手権」を主催するNishiのブログ。最近はDIVAとDBACのプレイが多めです。

COJショートショート:リターン・フロム・ザ・ドラゴンズ・ヘッド(その2)

2015-01-13 01:14:10 | 創作物(M・o・Aちゃん他)
昨日は午後から新宿へ。
西口でまったり進行という感じでした。
COJの結果についてはまた後程ということにして、
今日はショートショートの投稿です。
光平がリバースデビルの恐るべき女エージェントと戦うことになった、
その経緯に迫ります。

◎過去作品

○連載もの

・クエスト・フォー・ザ・ムーン(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7(エピローグ)

・ロボトミー・ソルジャー(全4話)
その1
その2
その3
その4

・メリー・クリスマス・フロム・アルカナ(全2話)
その1
その2

・リターン・フロム・ザ・ドラゴンズ・ヘッド(連載中)
その1

○その他エピソード

・バトルトーナメント:あなたが決める禁止カード(連載再開未定)
その1
その2

切札戦士 ジョーカー13(ワン・スリー) 第14話

エージェント・イン・スイムスーツ
イーリスの物語

<<<リターン・フロム・ザ・ドラゴンズ・ヘッド その2>>>

作:Nissa(;-;)IKU

事の発端は3日前の夜、西東京郊外にあるASTの研究施設での出来事であった。丁度一人の少女が医務室で検査を受けているところであった。

彼女の名は「京極院 沙夜」。ASTに所属し、異次元空間「アルカナ」で作戦行動「ミッション」を行う「エージェント」の1人である。今回の検査は彼女にまつわる「怪現象」に関するものである。

沙夜がアルカナ内でミッションを行う際、脳波が観測不能になる、観測用のカメラから突然姿を消し、暫くしてから再び姿を現す、などの「怪現象」がしばしば起きていた。装置の精度の問題か、それとも彼女自身に重大な秘密があるのかを調べるのが目的である。

沙夜の家系が先祖代々から高い霊能力を引き継いでいるらしいことは、ASTも突き止めていた。彼女の能力を改めて調査することで、その「霊能力」、ひいては「アルカナ」の秘密も明らかになるかも知れない。そんな期待も込められていた。

その検査の結果を会議室で待っているのは、私立探偵の「緋神 仁」、そして若きプロハッカーの「黒野 時矢」である。彼らも沙夜と同じくエージェントであり、その立会人として施設を訪れているのだ。

検査が一通り終わろうという頃、屋上に2つの人影が降り立った。テレマーク的にポーズを決めつつ着地したのは孤児院出身の女子高生「鈴森 まりね」。その後ろで不格好に背中から倒れこむように現れたのは元自衛官のカメラマン「山城 軍司」である。

同じくエージェントである2人は、丁度アルカナでの「演習」を終えたところであった。アルカナに生息する生物や物理現象を封じ込めた「プログラム」を使い、模擬戦を行うというものである。

目眩を振り切るべく頭を揺さぶりつつ、ゆっくりと体を起こした軍司が見たものは、しかしまりねがその場で崩れるように倒れるところであった。

軍司はまりねの肩口に針状の物体が突き刺さっているのを認めた。麻酔銃か――そう気づくよりも早く、何者かが2人の前に立ちはだかった。

ジェットパックを背負った黒服の兵士であった。その頭部はカメラアイ付きのマスクで覆われており、表情は確認できない。兵士は軍司に拳銃を向けつつまりねを抱え上げ、そのまま上空へと飛び去っていった。

何だ、何が起こった――自問する暇もなく、炸裂音が一斉に鳴り響いた。元自衛官の経験が、軍司に屋上の階段への避難を行わせた。何者かによる銃撃が始まったのだ。

一方施設内にも大きな異変が起き始めていた。本部及びアルカナ内への通信が一斉に途絶え、廊下中に並んで置かれていた防火用シャッターが一斉に閉じ始めたのだ。

異変を感じた時矢は仁の手を引き、施設からの脱出を試みた。いくつかのシャッターは既に閉ざされており、沙夜のいる医務室に向かうのは最早不可能であった。辛うじてシャッターをかいくぐり、出口へとたどり着いた2人は、今度は黒服の兵士達からの銃撃を受けることとなった。

地面には既に避難を試みた研究員が何人も蜂の巣になって横たわっている。仁が拳銃で応戦しようとしたところで、何者かが肩を掴んで引き止めた。屋上から降りてきた軍司である。

軍司は仁に謎の軍隊の正体を明かした――全世界の支配を目論むハッカー組織「リバースデビル」の生体兵器「ロボット兵」であるというのだ。だがリバースデビルがここまでの実力行使を行うとは軍司にも、そして勿論ハッカーの時矢にとっても予想外のことであった。

それから間もなく銃撃が止み、兵士たちはジェットパックを使い撤退を始めた。仁は兵士の一人がマントル風のドレスを背負っているのを認めた。まりねが連れ去られてゆく――そう思った直後であった。

爆音と共に熱風が彼らを突き飛ばしたのである。漏れたガスに引火したか、それとも機材の暴走か、恐らくその両方であろう。建物の小さな窓が一斉に火を噴き、吹き飛ばされた屋上からは黒煙と炎が活火山めいて夜空へと立ち上った。その炎は朝方まで燃え続けていたという。

――

翌日の調査の結果、この襲撃による被害は予想以上に甚大であることが判明した。施設に保存されていた「プログラム」の大半が、特殊なコンピュータウィルスによって破壊されていたのだ。

恐らくリバースデビルはアルカナ内にウィルスをまき散らし、その一部が演習で使われたプログラムに侵入、それらを破壊すると共に逆探知のきっかけとなったのであろう。これにより西東京エリアの「ゲート」は当面使用不可能となったのである。

人的被害も相当なものである。エージェントのまりねは兵士に連れ去られて行方不明、仁・時矢・軍司も爆発に巻き込まれて重傷を負った。特に軍司の負傷は甚大で、今も集中治療室で生死の境を彷徨っている。

だが、そんな彼らも生きて外へ出られた分、まだ幸運な方であった。施設の中にはシャッターで逃げ場を失い、爆発に巻き込まれた研究者達の焼け焦げた肉片が散乱していたのだ。

特に医務室――そう、沙夜が閉じ込められたとされる場所だ――の被害は凄まじく、機材の爆発によるものと思われる熱で壁や床が溶解し、さながら鍾乳洞の様であったという。調査員には彼女らがさほど苦しむことなく蒸発して果てた事を祈ることしか出来なかった――。

こうしてASTは一夜にして多数のエージェントを失い、行動可能であるのはその日たまたま本部を訪れていた「御巫 綾花(みかなぎ あやか)」「星 光平」の2名のみとなったのである。

――

ゲートの突貫工事によってアルカナへの接続が復旧したのが3日後、丁度この日の昼過ぎのことであった。本部への逆探知を避けるため、移転を行いながらの作業であった。

観測の結果、ウィルスがアルカナ内に元から生息していたプログラムの大半を破壊していたことが判明した。更に破壊されたプログラムの一部が再構成され、異形の怪物に生まれ変わろうとする様子も確認された。

ASTがリバースデビルの驚くべき技術力に戦慄する中、新たな信号が探知された。その信号はまりねの脳波と深い一致が見られた――つまりアルカナ内にまりねがいる可能性が高い、ということである。

彼女を連れ戻すべく、移転作業を手伝っていた光平は自らアルカナへの進入を志願した。それは3日前に何もしてやれなかった自分に対する償いの気持ちもあったことだろう。そして――。

――

綾花のナビゲートを受け、遂に光平はまりねと思われる人物と遭遇した。だが彼女は既に光平の知るまりねではなかった――連れ去られてからわずか3日の間に彼女が洗脳され、リバースデビルの尖兵となったという可能性を、本部は認めざるを得なかった。

その酷薄なる敵、「まりね」の初撃を、光平はコサックダンサーめいたハイジャンプでやり過ごした。だがその着地を狙い、新たな増援が襲いかかる。今度は魚肉ソーセージとタコを融合させた冒涜的な外見の「珍獣」である。

勿論光平もむざむざと敵に串刺しにされる様な愚か者ではない。彼の着地を守るべく、鳥の仮面を付けた魔導士風の「プログラム」が姿を現し、杖の一振りで「珍獣」達を薙ぎ払った。

「馬鹿めっ、それは囮だっ!」「まりね」はこの瞬間を狙い、すかさず新たな「プログラム」を繰り出す。現れたのはまたしても「珍獣」――だがその正体は広範囲に爆風と散弾を撒き散らす非人道的無差別殺傷兵器なのだ。「死――何っ!」

「まりね」の放った「爆弾」が爆発することは無かった――光平が放った緊急回避用のプログラム「インターセプト」が魔導士を俊敏な肉食獣に変え、爆弾ごと「珍獣」達を根こそぎにしたのである。だが「まりね」に衝撃を与えたのはそのことではなかった。

万一の爆発に備えて身を屈めていた光平が見たものは、意外にも頭を抱えてうずくまる「まりね」の姿であった。「《拒絶する世界》――?何だこれは――」ギター型端末が浮かべるホログラムメッセージに、光平は首を傾げた。

「くっ――新手の敵かっ!」「まりね」に真に衝撃を与えた謎の攻撃――それは光平が「緊急回避」を繰り出す一瞬前に繰り出された、何者かによる精神攻撃である。これにより彼女は事前に準備していた「増援」を一挙に失うこととなったのである。

「まりね」は屈んだまま光平の方へ向き直った。彼の前に謎の人影が立ちはだかっている。セーラーの上着に濃紺色のタイツの少年――あるいは少女か。キャスケットとゴーグルのせいで、その表情は窺い知れない。「あれか――あれがパパが言っていた――」天鳥 烏兎。「まりね」は小さく呟いた。

<<<その2おわり その3へつづく>>>

◎おまけ

先日も紹介しましたArkitypeさんのショートショートですが、
この度最新話が更新されていました。

【COJ】 月夜の如き少女 part6 ”現実とアルカナを交錯するアフロ” 【二次小説】
ArKitypeの儲話

こちらの話も楽しんでもらえればと思います。

――

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