昨日は夕方から秋葉原へ。
COJですが結局新PRはショップで3枚購入して完走、
という結果になりました。
そして3枚揃えた瞬間にフォイルの《オルフェウス》を引いてしまうのもお約束です。
さておき久々のショートショートです。
丁度クリスマスシーズンということで、
それにちなんだお話を考えてみました。
それではお楽しみ下さい。
――
◎現在の連載作品
・エスケープ・フロム・ゲイン・グランド
その1
その2
◎過去作品
○連載もの
・クエスト・フォー・ザ・ムーン(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7(エピローグ)
・ロボトミー・ソルジャー(全4話)
その1
その2
その3
その4
・メリー・クリスマス・フロム・アルカナ(全2話)
その1
その2
・リターン・フロム・ザ・ドラゴンズ・ヘッド(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7
・タイガース・ダウンフォール(全4話)
その1
その2
その3
その4
・デイズ・イン・サマースクール(全5話)
その1
その2
その3
その4
その5
○その他エピソード
・バトルトーナメント:あなたが決める禁止カード(連載再開未定)
その1
その2
・切札戦士 ジョーカー13(ワン・スリー) 第14話
・エージェント・イン・スイムスーツ
・イーリスの物語
・シャドウメイジ・ジ・アサシン
○特別企画
・COJゲームブック:幻のアニメ(2016年エイプリルフール企画)
<<<ゴー・トゥー・ヘル・ウィズ・クランプス その1>>>
作:Nissa(;-;)IKU
【…年の瀬が近づくと、その村では子供たちは日暮れよりも早く家に帰るようになります。夜まで遊んでいる悪い子には「サンタクロース」はやって来ない――彼らは親にそう言いつけられているのです。】
【この話には続きがあります――良い子たちにプレゼントを与えてくれる「サンタクロース」には「クランプス」という従者が沢山いて、親の言いつけを守らない悪い子たちを地獄へと連れ去ってしまうのだというのです。】
【「クランプスのお話」より】
――
その日、雪男は通学路を遠く離れた、裏山へと続く砂利道を早足で進んでいた。時間は正午を回る頃だが、道の周りを囲む木々と、わずかに降り注ぐ小雪のお陰で、周りは夜明け前のように薄暗い。
彼は手元のホログラム端末が描く地図を頼りにここまで進んできた。通信電波圏外の表示は出ているが、地図を確認する上では特に支障はない。「目的地まであと10分」――地図の上に置かれたマーカーが、メッセージを吹き出しで表示した。
何故彼が学校へも行かずにこの様な辺鄙な場所まで繰り出しているのか――きっかけはほんの数日前に届いたメール広告であった。
「ひみつのクリスマスパーティー」――「第15子ども会」が主催する特別なクリスマスパーティーが、この裏山の麓に建てられた特設ログハウスで開催されるというのだ。
「本物のサンタさんが来る」「友達も沢山作れる」「ケーキ・料理・ドリンク食べ飲み放題」「参加費無料」――ホログラム装飾がなされたメールの文言は、それだけを見る限りでは特に不審な内容ではない。問題は会場が不自然な程に人里離れた場所にあったことだった。
ある程度社会経験を積んだ者ならば、この内容を疑ってかかっていた筈である。少なくとも誰かのちょっと手の込んだいたずらの可能性を思い浮かべることだろう。だがそういった疑いを考えるには、小学生の雪男はまだ幼すぎたのである――。
――
吹き出しの通り、雪男が裏山の麓に広がる空き地に出たのは、その10分後であった。その中央には鈍色に輝く、細長い箱の様な物体が横たわっていた。「箱」の下には巨大な車輪もあり、それはまさにトレーラーの荷台そのものであった。
この時点でかのメールが「釣り」だったと気付き、引き返す者もいることだろう。不幸なことに、彼は「ログハウス」というものを見たことが無かった。それ故この「箱」こそが会場の「ログハウス」であると思い込んでしまったのである――。
彼が「箱」の側面に近づいたその時であった。側面の壁の一部が急に自動ドアめいて開いた。そして黒い腕が雪男の腕を掴み、「箱」の中に引きずり込んだのである。
逃げるどころか悲鳴を上げる余裕すら無かった。黒い「腕」達は直ちに扉を閉じ、雪男を押し倒した上に猿轡をかけ、更に手足を専用のワイヤーで縛りつけたのだった。
――
暫くの後、箱の中にわずかに光が灯った。ホログラム照明である。雪男の周りには同じぐらいの年頃の子供達が、同じようにワイヤー拘束されていた。そして黒ずくめの戦闘服を纏い、フルフェイスのマスクを付けた者達が両側の壁にそって立ち並んでいた。
「…7、8、9、10人か。大体こんなものか」反対側の片隅から、男の声が響いた。左右に立ち並ぶ「兵士」とは異なる、目だけを覆う仮面に、赤のスーツ。さながらお伽話に出てくる悪魔である。「さて、そろそろ行くとするか」
スーツの男がホログラム端末を操作すると、「箱」の中は慣性で満たされた。ここに来て漸く、雪男は重大な事件に巻き込まれたのだと気づいた。通学路の掲示板に貼られた「失踪者捜索願い」のポスターを思い出し、急に涙が溢れだした。
「それにしても何だ、あんなふざけたメールに引掛る間抜けがここまでいるとはねえ」スーツの男は反対側に転がる子供達を侮蔑的に見下ろした。「挙句これが『ログハウス』と信じて飛び込んで来て――お前たちは本当に救いようのない間抜けだなあ」
クリスマスパーティーを装って子供達を集め、それらを目的地まで連れてゆく――それが男の狙いであった。通常の電波の届かない裏山を場所に選んだのも、人目を集めずに目的を達成するための手段であったのだ。
「――そろそろ『アルカナ』に入るな、果たして何人持つか」男がそう言った直後、青緑色の「壁」が「箱」の中を通り過ぎた。突然雪男は目眩と吐き気に見舞われ、床の上でのたうち回った。
だが雪男の苦悶もその隣にいた小太りの少年よりはまだましであった。彼は全身を激しく痙攣させた後、穴という穴から血を噴き出し――そして膨らんだ腹を破裂させたのである。周囲は彼の血と内蔵で真赤に染め上げられた。
「よりによってここで『拒絶反応』か、運が無かった――いや運が良かったというべきか」男が面倒くさそうに端末を操作すると、「兵士」達のうち数名が少し痙攣した後、肉片の回収と周囲の清掃を始めた。雪男達にも消毒液が噴射され、今度は薬液臭でのたうち回ることとなった。
それから暫くして、「箱」の中に逆の慣性が生じた。ここを降ろされ、何処へ向かうのか、その後待ち構えているのは拷問が、実験か、それとも処刑か――雪男の顔は絶望で真青になっていた。
――
「さて着いたぞ。俺の案内はここまで、お願い事があるなら工場長にでもするんだな――」「兵士」達が雪男達を抱え上げるのを横目に、男は端末上の情報を確認していた。事前の打ち合わせでは工場では2人の「兵士」を待機させ、「素体」の搬入を手伝わせるとのことである。
その端末が映し出す情報に、男は訝しんだ――「相手からの返信を待っています:30秒」。「60秒」。「90秒」。遅延にしては妙に反応が鈍い。「もしかしたら、向こう側にトラブルが――」男が端末を片手に「箱」の中央に向かったその時であった。
突如、「箱」の壁が外側から開けられ、4本の腕が男の両腕を掴み。「箱」の外に引きずり出したのである。男が見上げるとそこには2人の男がいた――銀髪と赤い瞳を持つ黒いスーツの男、そして星形のギターらしきものを肩にかけた長髪の男である。
「リバースデビルがクリスマスパーティーを装って子供達を連れ去り――」銀髪の男達の横では、2体の「兵士」が火花を散らしながら大の字に倒れている。「――生体部品工場に売り渡しているという情報、やはり本当だった様だな」
<<<その1おわり、その2につづく>>>
――
◎おまけ:M・o・Aちゃんが何か言う

(画像©SEGA)
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◎宣伝
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COJですが結局新PRはショップで3枚購入して完走、
という結果になりました。
そして3枚揃えた瞬間にフォイルの《オルフェウス》を引いてしまうのもお約束です。
さておき久々のショートショートです。
丁度クリスマスシーズンということで、
それにちなんだお話を考えてみました。
それではお楽しみ下さい。
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◎現在の連載作品
・エスケープ・フロム・ゲイン・グランド
その1
その2
◎過去作品
○連載もの
・クエスト・フォー・ザ・ムーン(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7(エピローグ)
・ロボトミー・ソルジャー(全4話)
その1
その2
その3
その4
・メリー・クリスマス・フロム・アルカナ(全2話)
その1
その2
・リターン・フロム・ザ・ドラゴンズ・ヘッド(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7
・タイガース・ダウンフォール(全4話)
その1
その2
その3
その4
・デイズ・イン・サマースクール(全5話)
その1
その2
その3
その4
その5
○その他エピソード
・バトルトーナメント:あなたが決める禁止カード(連載再開未定)
その1
その2
・切札戦士 ジョーカー13(ワン・スリー) 第14話
・エージェント・イン・スイムスーツ
・イーリスの物語
・シャドウメイジ・ジ・アサシン
○特別企画
・COJゲームブック:幻のアニメ(2016年エイプリルフール企画)
<<<ゴー・トゥー・ヘル・ウィズ・クランプス その1>>>
作:Nissa(;-;)IKU
【…年の瀬が近づくと、その村では子供たちは日暮れよりも早く家に帰るようになります。夜まで遊んでいる悪い子には「サンタクロース」はやって来ない――彼らは親にそう言いつけられているのです。】
【この話には続きがあります――良い子たちにプレゼントを与えてくれる「サンタクロース」には「クランプス」という従者が沢山いて、親の言いつけを守らない悪い子たちを地獄へと連れ去ってしまうのだというのです。】
【「クランプスのお話」より】
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その日、雪男は通学路を遠く離れた、裏山へと続く砂利道を早足で進んでいた。時間は正午を回る頃だが、道の周りを囲む木々と、わずかに降り注ぐ小雪のお陰で、周りは夜明け前のように薄暗い。
彼は手元のホログラム端末が描く地図を頼りにここまで進んできた。通信電波圏外の表示は出ているが、地図を確認する上では特に支障はない。「目的地まであと10分」――地図の上に置かれたマーカーが、メッセージを吹き出しで表示した。
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「ひみつのクリスマスパーティー」――「第15子ども会」が主催する特別なクリスマスパーティーが、この裏山の麓に建てられた特設ログハウスで開催されるというのだ。
「本物のサンタさんが来る」「友達も沢山作れる」「ケーキ・料理・ドリンク食べ飲み放題」「参加費無料」――ホログラム装飾がなされたメールの文言は、それだけを見る限りでは特に不審な内容ではない。問題は会場が不自然な程に人里離れた場所にあったことだった。
ある程度社会経験を積んだ者ならば、この内容を疑ってかかっていた筈である。少なくとも誰かのちょっと手の込んだいたずらの可能性を思い浮かべることだろう。だがそういった疑いを考えるには、小学生の雪男はまだ幼すぎたのである――。
――
吹き出しの通り、雪男が裏山の麓に広がる空き地に出たのは、その10分後であった。その中央には鈍色に輝く、細長い箱の様な物体が横たわっていた。「箱」の下には巨大な車輪もあり、それはまさにトレーラーの荷台そのものであった。
この時点でかのメールが「釣り」だったと気付き、引き返す者もいることだろう。不幸なことに、彼は「ログハウス」というものを見たことが無かった。それ故この「箱」こそが会場の「ログハウス」であると思い込んでしまったのである――。
彼が「箱」の側面に近づいたその時であった。側面の壁の一部が急に自動ドアめいて開いた。そして黒い腕が雪男の腕を掴み、「箱」の中に引きずり込んだのである。
逃げるどころか悲鳴を上げる余裕すら無かった。黒い「腕」達は直ちに扉を閉じ、雪男を押し倒した上に猿轡をかけ、更に手足を専用のワイヤーで縛りつけたのだった。
――
暫くの後、箱の中にわずかに光が灯った。ホログラム照明である。雪男の周りには同じぐらいの年頃の子供達が、同じようにワイヤー拘束されていた。そして黒ずくめの戦闘服を纏い、フルフェイスのマスクを付けた者達が両側の壁にそって立ち並んでいた。
「…7、8、9、10人か。大体こんなものか」反対側の片隅から、男の声が響いた。左右に立ち並ぶ「兵士」とは異なる、目だけを覆う仮面に、赤のスーツ。さながらお伽話に出てくる悪魔である。「さて、そろそろ行くとするか」
スーツの男がホログラム端末を操作すると、「箱」の中は慣性で満たされた。ここに来て漸く、雪男は重大な事件に巻き込まれたのだと気づいた。通学路の掲示板に貼られた「失踪者捜索願い」のポスターを思い出し、急に涙が溢れだした。
「それにしても何だ、あんなふざけたメールに引掛る間抜けがここまでいるとはねえ」スーツの男は反対側に転がる子供達を侮蔑的に見下ろした。「挙句これが『ログハウス』と信じて飛び込んで来て――お前たちは本当に救いようのない間抜けだなあ」
クリスマスパーティーを装って子供達を集め、それらを目的地まで連れてゆく――それが男の狙いであった。通常の電波の届かない裏山を場所に選んだのも、人目を集めずに目的を達成するための手段であったのだ。
「――そろそろ『アルカナ』に入るな、果たして何人持つか」男がそう言った直後、青緑色の「壁」が「箱」の中を通り過ぎた。突然雪男は目眩と吐き気に見舞われ、床の上でのたうち回った。
だが雪男の苦悶もその隣にいた小太りの少年よりはまだましであった。彼は全身を激しく痙攣させた後、穴という穴から血を噴き出し――そして膨らんだ腹を破裂させたのである。周囲は彼の血と内蔵で真赤に染め上げられた。
「よりによってここで『拒絶反応』か、運が無かった――いや運が良かったというべきか」男が面倒くさそうに端末を操作すると、「兵士」達のうち数名が少し痙攣した後、肉片の回収と周囲の清掃を始めた。雪男達にも消毒液が噴射され、今度は薬液臭でのたうち回ることとなった。
それから暫くして、「箱」の中に逆の慣性が生じた。ここを降ろされ、何処へ向かうのか、その後待ち構えているのは拷問が、実験か、それとも処刑か――雪男の顔は絶望で真青になっていた。
――
「さて着いたぞ。俺の案内はここまで、お願い事があるなら工場長にでもするんだな――」「兵士」達が雪男達を抱え上げるのを横目に、男は端末上の情報を確認していた。事前の打ち合わせでは工場では2人の「兵士」を待機させ、「素体」の搬入を手伝わせるとのことである。
その端末が映し出す情報に、男は訝しんだ――「相手からの返信を待っています:30秒」。「60秒」。「90秒」。遅延にしては妙に反応が鈍い。「もしかしたら、向こう側にトラブルが――」男が端末を片手に「箱」の中央に向かったその時であった。
突如、「箱」の壁が外側から開けられ、4本の腕が男の両腕を掴み。「箱」の外に引きずり出したのである。男が見上げるとそこには2人の男がいた――銀髪と赤い瞳を持つ黒いスーツの男、そして星形のギターらしきものを肩にかけた長髪の男である。
「リバースデビルがクリスマスパーティーを装って子供達を連れ去り――」銀髪の男達の横では、2体の「兵士」が火花を散らしながら大の字に倒れている。「――生体部品工場に売り渡しているという情報、やはり本当だった様だな」
<<<その1おわり、その2につづく>>>
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◎おまけ:M・o・Aちゃんが何か言う

(画像©SEGA)
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