不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

転生の宴

アヴァロンの鍵対戦会「一番槍選手権」を主催するNishiのブログ。最近はDIVAとDBACのプレイが多めです。

COJショートショート:タイガース・ダウンフォール(その3)

2015-07-10 00:06:30 | 創作物(M・o・Aちゃん他)
昨日は夕方から新宿へ。
雨のお陰で余りやる気が出ず、
西口近辺でまったりという感じでした。

――

そんな訳で久々にSSの投稿です。
前回から大分経ってしまいましたが、
とあるストリートギャングの凋落をテーマとしたエピソードです。
色々楽しんでもらえればと思います。

◎過去作品

○連載もの

・クエスト・フォー・ザ・ムーン(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7(エピローグ)

・ロボトミー・ソルジャー(全4話)
その1
その2
その3
その4

・メリー・クリスマス・フロム・アルカナ(全2話)
その1
その2

・リターン・フロム・ザ・ドラゴンズ・ヘッド(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7

・タイガース・ダウンフォール(連載中)
その1
その2

○その他エピソード

・バトルトーナメント:あなたが決める禁止カード(連載再開未定)
その1
その2

切札戦士 ジョーカー13(ワン・スリー) 第14話

エージェント・イン・スイムスーツ
イーリスの物語

<<<タイガース・ダウンフォール その3>>>

作:Nissa(;-;)IKU

西成田での「大虐殺」から辛くも逃げおおせたジョン・タイガーは南葛飾の一帯に潜伏した。住人は低所得の非正規雇用者が中心で、西成田程ではないが治安の悪い一帯である。それが彼にとっては逆に好都合であったのは言うまでもない。

彼は路上強盗や放火殺人で金品を奪い、非合法の簡易宿泊施設を渡り歩きながら日々を過ごしていた。やがて彼の行動は噂になり、とある組織が身柄の確保の為に向かうこととなった。南葛飾一帯で覇権を争うストリートギャング団の1つ、「ブラック・ウルフ」である。

悪名高い西成田で生まれ育ち、「大虐殺」をも生き延びた殺戮者に、当時のヘッド、「キング・ウルフ」が興味を持ったのはごく自然である。だがほんの4~5人の手駒だけを付けてジョンに接触を試みたことにより、彼はブラック・ウルフ最後のヘッドとなったのである。

――

その日の夕方、新小岩港のとある廃倉庫に黒塗りのバンが飛び込んだ。そこに揃いのパーカーを着た少年達が駆けつける。いつも通りキングを出迎える為であったが、車両が停止した瞬間、彼らの顔は蒼白になった――銃声と共にフロントガラスが割れ、運転手の少年が飛び出したのである。

運転手の後頭部には真赤な穴が開いていた。銃殺されたのだ――少年達が感づいた直後、後部ドアが開き、ソフトモヒカンの大男が現れた。その右手は4個の生首を吊るし、左手は毛布に包まれた塊を引きずっている。毛布は砂利の混じった床に赤い線を引いていた。

「よく聞け屑共」男は少年達の目の前に生首と塊を放り投げながら言い放った。「『ブラック・ウルフ』は最早存在しない――そして、俺が『ブラック・タイガー』の新たなヘッド、『ジョン・タイガー』だ」

ジョンが毛布を乱暴に引張りあげると、「塊」が姿を現した。それは両目を潰され、四肢を切断された、かつてのヘッドの変わり果てた姿であった。

「『ブラック・タイガー』の最初の仕事だ」ジョンはキングにまだ息があることを確認した。「このゴミを始末しろ。出来ない奴は殺す、こいつと同じ様にな」直後、少年達の1人に発砲し、頭部をミネストローネに変えた。これが脅しではないことを知らしめる為である。

確かにキングは彼らの間では高いカリスマを持ち、それなりの敬意は払われてはいただろう。だが突如喉元に突きつけられた、理不尽な暴力と恐怖がそれを上回った。

(悪ぶってはいるが所詮はぬるま湯に浸かっていた連中、この調子なら一帯の支配などちょろいもんだ)先を争う様にかつてのヘッドに襲いかかる「手駒」を横目に、ジョンはキングから奪った鍵で金庫を開け、中の金品の物色を始めた。

――

組織を乗取ったジョンが最初に行ったのは、地域一帯の敵対勢力の一掃であった。キングがかつて所持していた情報網や密売ルートを利用し、潤沢な武装と共に組織のアジトへのレイドを行ったのである。

圧倒的な戦力で組織を壊滅させた後、ジョンは手駒にヘッドを「」させた。ヘッドは生きたまま首を刎ねられ、口には自らのの瞬間を保存したホログラム発信機を咥えさせられ、脳天には匕首を突き立てられ、と無残な姿となって次の標的のアジトへと投げ込まれたのである。

西成田仕込みの脅迫術である。このやり口に大陸系・半島系のマフィアとの関連性を指摘する者もいるが、実際のところは定かではない。

その後も順調に敵組織の殲滅を続け、残るは南葛飾最大級の勢力「グリーン・エレファント」のみとなった。機会を窺っていたジョンに、未知の密告者が情報を提供した――そのグリーン・エレファントが近隣の同盟組織と結託し、アジトへの襲撃をまさに今晩行うというのである。

ジョンは抜け目なく情報の裏取りを行った――偽情報に踊らされて命を落とした間抜けなヘッドの二の舞いを演じることは、彼のプライドが許さなかったのである。

――

果たしてその晩、「ロイド・タイタン」率いるグリーン・エレファントは南葛飾の廃棄された地下街の広場で、ジョンへの復讐の為の決起集会を行っていた。数基のアーク灯だけが照らす薄暗がりの中、集まった戦力はジョンの側の10倍にも達していた。

地下街への出入口の大半は既にコンクリートで塗り固められ、残されたのは駅から遠く離れた空き地に隠された、マンホール的な通路のみであった。ロイドにとっての不幸は、この存在が密告者を通してジョンに知れ渡っていたことであった。

手駒や同盟者に対し、ハイボールを片手に檄を飛ばすロイドは、奥からの――隠された出入口からの――異音に気づいた。やがて小さな炸裂音と共に後方の同盟者の数名が倒れ込んだ。何者かが隠し通路から襲撃を始めたのだ――ロイドが気づいた時には四方から錆びついた金属音が鳴り始めていた。

ロイドはこの地下街の迷路状の構造を熟知していた。万一の襲撃の際にも、この「迷路」を活かして敵をおびき寄せ、逆に追い詰めてゆく手筈であった。だが突如動き出した防火用シャッターが「迷路」への道を次々と塞ぎ、広場を逃げ場の無い袋小路へと変えていったのである。

文字通り袋のネズミと化したロイドの軍勢に、容赦無い銃撃と爆破が叩き込まれる。手駒や同盟者も応戦するが、銃火器の威力の差は想像以上に絶大であった。不意に逃げ場を失ったことによる動揺も手伝い、彼らは少しずつ追い詰められていった。

――

十数分後、ロイドの軍勢はあらかた殺され、ロイド自身もアサルトライフルを構えた襲撃者達に包囲されていた。ジョンが地下街に姿を現したのは、それから間もなくのことであった。

「…今着いたところだ」『これで信じる気になったか?』「シャッターを閉じて、逃げ場を無くしたという訳か」『これぐらいのことは造作も無い』ジョンは密告者と通話しながら、ロイドの前に立った。「ふん…てめえがヘッドだな、このギャングの」

大柄なジョンを更に上回る巨体を持つロイドであったが、シャッターを背にもたれかかる姿は、これから場へ向かう肉牛を思わせた。「裏切り者がいたって訳か…おい、俺を殺して、それからどうするつもりだ?未来の展望も無しで、一生お山の大将気取りか?」

彼の言葉にジョンは何か引掛かるものを感じた。その一瞬の判断が自身を救った――ロイドの上着の下に、自爆用のダイナマイトが隠れているのに気づいたからだった。ジョンは舌打ちしつつその場を走り去った――ロイドを手駒ごと爆破する為の手榴弾を投げつけながら。

――

ロイド・タイタンが支配する最後の敵対組織「グリーン・エレファント」はこうして滅び、南葛飾一帯は全てジョンのものとなった。地元警察も、そして勿論地元住民にも、彼を止めることは最早不可能であった。

この時に起きた爆発で駅から100メートルほど離れた歩道では火柱が上がり、通行人6名が死亡した。この「事故」は古いガス管の劣化が原因とされ、地下街の存在、そして勿論地下街で起きた虐殺が公に広まることは無かった。

ジョンはここまで周到な根回しを行った密告者について、追跡調査を試みた。失踪、バラバラ死体遺棄、バーチャル空間、アルカナ、ハッカー、悪魔の逆位置――得られた情報はわずかな上に断片的なものであった。

一方、彼の情報――出身地やかつての家族構成、ここに至るまでの所属組織や犯罪履歴については、とある組織に完全に筒抜けとなり、これによって彼は組織に常時監視される立場となったのである。その組織の名は――「リバースデビル」。

<<<その3おわり その4につづく>>>

――

◎おまけ:M・o・Aちゃんが何か言う



――

◎宣伝

転生の宴セガR&D1サポーターズサイトに登録されています。興味を持たれましたら投票してみるのも良いでしょう。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 1,4ロケテに行ってお試しデッ... | トップ | 1,4ロケテ店舗をハシゴしてみた »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

創作物(M・o・Aちゃん他)」カテゴリの最新記事