転生の宴

アヴァロンの鍵対戦会「一番槍選手権」を主催するNishiのブログ。最近はDIVAとDBACのプレイが多めです。

COJショートショート:ロボトミー・ソルジャー(その4・完結編)

2014-12-04 00:00:00 | 創作物(M・o・Aちゃん他)
昨日は夕方から新宿入り。
久々に東口方面を覗いたりして、
まったり進行でした。

COJはコスチューム購入を中心に。
沙夜の黒ドレス狙いだったのですが、
10クレ使って全部重複という結果に。
尤もこの状態だとキャラ狙いの抽選が出来なくなるので、
寧ろ被った方がありがたいまであります。
正直何とかならなかったものかという気もします。

――

さておき久々のショートショート公開です。
邪悪なるハッカー組織「リバースデビル」にスポットを当てたエピソード、
「ロボトミー・ソルジャー」今回が最終話となります。
どうぞお楽しみ下さい。

・過去作品
クエスト・フォー・ザ・ムーン その1
クエスト・フォー・ザ・ムーン その2
クエスト・フォー・ザ・ムーン その3
クエスト・フォー・ザ・ムーン その4
クエスト・フォー・ザ・ムーン その5
クエスト・フォー・ザ・ムーン その6
クエスト・フォー・ザ・ムーン その7(エピローグ)

ロボトミー・ソルジャー その1
ロボトミー・ソルジャー その2
ロボトミー・ソルジャー その3

切札戦士 ジョーカー13(ワン・スリー) 第14話

バトルトーナメント:あなたが決める禁止カード その1
バトルトーナメント:あなたが決める禁止カード その2

エージェント・イン・スイムスーツ(1話完結)


<<<ロボトミー・ソルジャー その4>>>

作:Nissa(;-;)IKU

(前回までのあらすじ:ハッカー組織「リバースデビル」の奇襲の後、アルカナ内では生体兵器「ロボット兵」の「最新型」のデモンストレーションが行われていた。そこに謎の襲撃者が現れる。)

(その姿は児童文学の世界でも有名な、若き冒険者「天鳥 烏兎(あまどり うと)」そのものであった。あからさまな敵意を持つそれに対し、「最新型」のオペレータは意を決して戦いを挑む――。)

最初に仕掛けたのは「最新型」であった。ホルスターから1対のサブマシンガンを取り出し、牽制の射撃を行う。一方の「烏兎」も、腰のロケットエンジン「飛び道具」を併用して銃弾を回避しつつ、カウンターでのライフル射撃を行う。

戦闘の最中も、オペレータは敵である「烏兎」の戦力を確かめようとしていた。身長は150センチを若干越える程度で、年齢的には10代前半ぐらいだろうか。上着のセーラー襟と濃紺色のタイツのお陰で、その姿は少女の様でもある。

対する「最新型」の身長は180センチをゆうに超え、平均的な成人よりも優れた体格を持っている。体格差、そしてロボット兵の特性を活かせば十分に勝機はある――そう考えたオペレータは脇に置かれた芥子の実ドリンクを一口呷ると、キーボードへの入力速度を早めた。

生体クラウド端末にインストールされている戦闘支援アプリが「烏兎」の動きを予想し、「最新型」の追撃の助けとなった。そして「飛び道具」の逆噴射による着地の隙を突いて一気に間合いを詰めると、「烏兎」の顔面に向けてストレートを放った。

間一髪、「烏兎」はブリッジ状態でストレートを回避。拳は丁度真正面にあった犬型の石像を直撃し、粉々に打ち砕いた。一瞬でも回避が遅れていたならば、「烏兎」の頭部はミネストローネと化していただろう。そしてこの破壊力こそがロボット兵の武器の一つでもあった。

人間の筋肉は普段、それの持つ筋力の10パーセント程度しか使用していないとされている。「防衛本能」が筋肉の破壊を避ける為、本来の筋力を抑えこんでいるというのだ。

脳を全て摘出され、生体クラウド端末に置き換えられた「ロボット兵」には、そのような制約は無い。つまりそれの持つ筋力を常に100パーセント引き出せるのだ。

一方ブリッジ回避に成功した「烏兎」は、「飛び道具」をZ字型に向き直して偶力を発生させ、その場で逆立ち状態での連続回し蹴りを放った。ロケットによって回転力を増したキックのうちの一発が「最新型」の脇腹をかすめ、3連続バック転による回避を余儀なくされた。

ここまでのやり取りで、オペレータは確かな手応えを感じていた。正体不明の敵とはいえ、やはり体格と身体能力ではこちらの方が有利。間合いを詰めて打撃戦に持ち込み、一撃で仕留めるのだ――。

形勢不利と見たか、「烏兎」は立ち上がった状態から垂直上昇を始めた。高度差を活かして間合いを取る作戦だろうか。「最新型」も脚の筋力を活かし、一気に飛び上がる。

ビルの4階に達する程の勢いあるジャンプで、「最新型」は「烏兎」の真正面まで近づいた。そして再び「烏兎」の顔面に向けてストレートを放つ。

間合いが近すぎると判断したか、「烏兎」はライフルの銃身で受ける。ロケット噴射でダメージこそ軽減するものの、非人間的なジャンプ力と打撃力の相乗効果で、銃身は一撃で「へ」の字に折れ曲がり、スペアへの持ち替えを強いられることとなった。

両者はほぼ同時に着地し、体勢を立て直す。「烏兎」は折れ曲がったライフルを地面に置き、新たなライフルを構える。会場のスクリーンにメッセージウインドウが現れたのはその時であった。「ブートレグ《ルビー》使用可能」。会場にどよめきが起こった。

――

「アルカナ」が発見された直後、その不安定な環境を改善する為に特殊な「プログラム」が開発された。「JOKER(ジョーカー)」と呼ばれるそれらは22種類もの異なる機能を持つものが計画され、タロットの大アルカナになぞらえたコードネームが与えられていた。

現存するJOKERは、現在「1・魔術師」から「17・星」までの17種類とされている。プロトタイプである「0・愚者」は自壊によって消滅し、「18・月」は開発途中の事故によって未完成のまま放棄。残る「19・太陽」「20・審判」「21・世界」は計画のみで実在しないというのが定説である。

JOKERの開発には既にロストテクノロジーである量子コンピュータが必須とされる。従って今となっては新たなJOKERを作ることは、理論上は不可能であった。

だがリバースデビルは生体クラウド端末の技術によって、JOKERとほぼ同等の機能を持つプログラムを組み上げることに成功していたのだ。それが「最新型」に実装された擬似JOKER「ブートレグ」なのである。

ブートレグにはその規模に応じて「天」「地」「人」のランクが設定されている。最も小規模の「人」には「人の手が届く」花や植物の名前が付けられている。同様に中規模の「地」には「地底に眠る」宝石、大規模の「天」には「天上で輝く」天体や星座の名前が付けられているのである。

最新型の所持しているブートレグは「ルビー」、先述のランクでは「地」に相当する。自我を持たないロボット兵にブートレグ――しかも「地」のランクを持つ規模のもの――を装備できる様になったのも、生体クラウド端末の技術の進歩があってのことである。

そのブートレグが遂に起動可能になったのを受けて、オペレータはすかさずコマンドを入力した。《起動》《ルビー》――「最新型」の背後の空間が歪み、そこから異形の怪物が現れる。タコを思わせる赤く丸い胴体に無数の触手。胴体や触手を脈打つように伸縮させながら、「最新型」の横に並び立った。

更なるコマンドを受けて、「ルビー」は触手をドリルの様に前方に突き出し、「烏兎」に向けて突進した。空気抵抗を減らして速度を上げ、十分接近したところで触手を広げて「烏兎」を捕らえようという算段だ。

「烏兎」が突進を避けるよりも早く、「ルビー」は触手を広げた。確かな手応え。オペレータは勝利を確信し、画面を「ルビー」側のカメラに切り替えた。

触手の握力は適度に抑えてある。恐らく「烏兎」は生け捕りにされているであろう。最悪突進のショックで破壊されているかも知れないが、それはそれで構わない。そこからでも何か重要なデータが得られる筈だ――そして触手の中を見たところで、オペレータは思わず息を呑んだ。

「ルビー」が捉えたのは「烏兎」――のセーラーと半ズボンを纏った、鳥型の石像だったのだ。「変わり身の術」――その言葉が頭をよぎった直後、スクリーンが警報のウインドウを開いた。「警告:巨大JOKER《19・太陽》急接近」オペレータは小さな悲鳴を上げた。

先述の通り、JOKERは「18・月」以降の番号は存在しないというのが定説であり、リバースデビル所属の彼もそれを信じていた。その存在しない筈のJOKERの出現は、彼を動揺させるには十分であった。

慌てて画面を「最新型」側に戻すオペレータ。だが正体不明のイレギュラーな敵を相手に、そもそも一瞬でも隙を見せるべきではなかったのだ。

カメラが切り替わるよりも早く、エラーメッセージが次々とポップアップされてゆく。画面は一瞬「烏兎」の背中を包む白いボディスーツを映した後、複雑な回転運動を始めていた。

「三段打ち」――「飛び道具」によるブーストにライフルの反動を加え、体当たりの威力を増す、「烏兎」の必殺技の一つである。それをまともに食らったのだ――オペレータがそう認識した時には、「最新型」は全ての操縦を受け付けなくなっていた。

画面は何十回となく地面と上空を交互に映した後、地面を垂直に映した状態で停止した。もはや立ち上がることはおろか、カメラを動かすことも叶わない。いくら屈強なロボット兵も、全身の骨を砕かれ、脊椎とそれに繋がる神経を破壊されてはどうすることも出来ない。

「烏兎」は警戒を怠らず、間合いを取りつつライフルを構えつづけている。その頭上では巨大な黒い「鳥」が待機している。恐らくそれが「19・太陽」であろう。その姿は太陽の化身とされる「八咫烏(やたがらす)」や、エジプトの太陽神「ラー」を思わせた。

そしてそれが「最新型」の――そして会場のオペレータ、プレゼンター、観衆の見た最後の光景となった。

――

幸か不幸か、彼らのいた高層ビルは全てリバースデビルの支配下にあった。生体クラウド端末の爆発により、会場内にいた全員が死亡したことは、単なる火災警報器の誤作動として処理されることとなった。

既にロボット兵による清掃と修復作業は始まっており、次の日には何事もなく復旧しているであろう。勿論この「事故」は厳重にもみ消され、マスコミやネットで話題となることは無いであろう。

オペレータが最後に送信した情報――「烏兎」と「19・太陽」についてだ――は直ちにリバースデビルの本部に送られた。この奇妙な「プログラム的存在」が、上層部の興味を引いたのは言うまでもない。

やがて彼らの矛先は「烏兎」の創作に関わる「ギルド」に向けられることとなるが、それについてはまた別の機会に譲るとしよう。

――

「最新型」と「ルビー」が同時に爆発し、「19・太陽」は「烏兎」を守るべく盾となった。役目を終えた後、「19・太陽」は空へと還っていった。

既に空は晴れ、夕焼けで赤く輝く廃墟の中、最後に残ったのは「烏兎」だけとなった。「変わり身の術」によってスーツとタイツだけとなったその姿は、さながらバレエ少女の様でもある。

やがて「烏兎」の体の周りに光が集まり、それらはセーラーの上着と一分丈の半ズボンとなった。その姿は多くの作品で語られる「烏兎」のイメージそのものである。

戦いにひとまずの決着を付けた「烏兎」は「飛び道具」の出力を上げ、夕日に向けて飛び去っていった。夕焼けに照らされるオレンジ色のゴーグルの中で、瞳が一瞬濃紫色に輝いた。

<<<ロボトミー・ソルジャー 完>>>

◎次回予告

西東京のとある喫茶店。
少し早めのクリスマスパーティを行うことになったASTのエージェント達。
出来たての料理、よく冷えたドリンク、そしてパーティを彩る個性的な衣装――。
果たしてエージェント達はどんなパーティを過ごすことになるのだろうか?

次回「メリー・クリスマス・フロム・アルカナ」お楽しみに!

――

◎宣伝

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