転生の宴

アヴァロンの鍵対戦会「一番槍選手権」を主催するNishiのブログ。最近はDIVAとDBACのプレイが多めです。

COJショートショート:ロボトミー・ソルジャー(その3)

2014-11-22 22:59:06 | 創作物(M・o・Aちゃん他)
そんな訳で前回から大分日にちが経ってしまいましたが、
SS最新作の投稿です。
世界征服を企む邪悪なるハッカー組織「リバースデビル」の視点から、
アルカナ内で起きたある事件を見てゆくことになります。

尚、本作は筆者の独自の考察による設定が盛り込まれており、
公式設定とは異なる場合があることをお知らせしておきます。
予めご了承下さい。

・過去作品
クエスト・フォー・ザ・ムーン その1
クエスト・フォー・ザ・ムーン その2
クエスト・フォー・ザ・ムーン その3
クエスト・フォー・ザ・ムーン その4
クエスト・フォー・ザ・ムーン その5
クエスト・フォー・ザ・ムーン その6
クエスト・フォー・ザ・ムーン その7(エピローグ)

ロボトミー・ソルジャー その1
ロボトミー・ソルジャー その2

切札戦士 ジョーカー13(ワン・スリー) 第14話

バトルトーナメント:あなたが決める禁止カード その1
バトルトーナメント:あなたが決める禁止カード その2

エージェント・イン・スイムスーツ(1話完結)

<<<ロボトミー・ソルジャー その3>>>

作:Nissa(;-;)IKU

(前回までのあらすじ:ウイルス攻撃によってASTに大打撃を与えることに成功した、邪悪なるハッカー組織「リバースデビル」。実質貸切状態となった異空間「アルカナ」では、傘下企業の生体兵器「ロボット兵」の最新型のデモンストレーションが行われていた。)

(初期型のロボット兵との軽い模擬戦闘を行うだけの簡単なミッション。だが「最新型」が見付けたのは無残にも破壊された「初期型」の頭部だった。そこに謎の襲撃者が迫り来る――。)

会場のオペレータが未知の飛行物体を認識していた丁度その頃、本社のオペレータは上半身を吹き飛ばされ、椅子の上には腰から下だけの姿が遺されていた。死因はロボット兵操縦用の「生体クラウド端末」の信号超過による暴走・爆発である。

生体と電子機器の橋渡し的存在である生体クラウド端末は、数年間の連続稼働を実現する為に、多大なエネルギーが充填されている。それ故本体の損傷などにより過剰な電気信号の入力が発生すると、充填されていたエネルギーが暴走し、大爆発を引き起こす危険を持っているのだ。

勿論リバースデビルもこの危険性は理解していて、それを逆手に取って拠点の爆破任務に携わる、所謂「人間爆弾」として運用する計画も存在している。だがこの件について語るのは別の機会となることだろう。

さておき本社のオペレータ、そして彼が操縦していた初期型の「ロボット兵」は如何にして死んだのか。それはほんの少しの不注意が原因であったといえるだろう。目的地に少し早めに到着した「初期型」は、オペレータのコマンドに合わせて周囲の確認を行っていた。そして頭上の確認を怠ったことが命取りとなった。

頭上から迫る異音に気づいた時には手遅れだった。音速に近い勢いで繰り出される鈍器の様な感触が「初期型」の首筋を捉え――そのまま首を刎ね飛ばしたのである。

この致命的な衝撃が本社の生体クラウド端末に過剰信号を送り込み、爆発に追い込んだ。小規模ではあったが、オペレータの上半身をミネストローネに変えるには十分であった。丁度「最新型」のオペレータが本社に通信を試みたその時の出来事である。

さて「初期型」を即死させた謎の襲撃者。もし児童文学に詳しい人ならば、その姿に見覚えがあるだろう。男児用のセーラーと濃紺色のタイツに身を包み、頭には同じ濃紺色のキャスケット、目にはオレンジ色に輝くゴーグル、そして両腰には火縄銃を思わせる小型のロケットエンジン。

このロケットによる推進力と、新体操選手やバレリーナを思わせる、しなやか脚から繰り出される蹴りの相乗効果が、「初期型」を一撃で破壊したのである。これはまさに、世界を股にかける少年冒険家、「天鳥 烏兎(あまどり うと)」の必殺技「ロケット蹴り」に他ならない。

「烏兎」はエンジンの出力を上げ、急上昇を行った。遠方に新たな「敵」を認めたからだった。そして「初期型」の頭部が敵の背後に落下した瞬間、牽制の射撃を行ったのである。銃弾は直撃こそならなかったものの側頭部をかすめ、一時的に平衡感覚を奪うには十分であった。

この奇襲は会場のオペレータにも大きな衝撃を与えた。勿論それは単に奇襲を受けたことだけではない。その奇襲者の空を飛ぶ姿が、まさに「天鳥 烏兎」そのものだったからである。

――

ここで改めて「天鳥 烏兎」について解説をしておこう。それは旧世紀にとある老作家が創作した、児童向けの文学作品の主人公である。

「烏兎」は戦国時代に活躍した戦士「雑賀 孫市」の末裔といわれており、腰に提げて使う2丁の銃型ロケットエンジン「飛び道具」の使い手でもある。それが様々な理由で世界を渡り歩き、陰謀を企む悪党達を次々と打ち倒してゆくというのが基本的な内容である。

これが児童だけでなく一般にも人気を集め、多くの作家によって二次創作が作られるまでに至った。原作者も彼らの想像力と権利を守るために二次創作の為の「ガイドライン」を公表しており、それは彼の死後も「烏兎」のファンが結成した「ギルド」の管理によって守られ続けている。

「アレキサンダー」「卑弥呼」「ジークフリート」「ティターニア」――アルカナ内には歴史上の人物や文学作品の登場人物を模した「プログラム」がいくつか存在することが知られていた。ならば「烏兎」もプログラムとして存在していても、何ら不自然ではないことは想像できるだろう。

――

オペレータは意を決し、スクリーンを「最新型」からのライブ画像に切り替えた。そしてプレゼンターの女にこれからの「特殊任務」について話すよう促した――「烏兎」との戦闘についてである。

アルカナ内の「プログラム」は既に「ウイルス」によって大半が駆逐されている。もし「烏兎」がプログラムの1つだとしたら、それはウイルスに対して何らかの「免疫」を持っていることになる。それの捕獲、あるいは撃破によってアルカナについての新たな情報が得られるかも知れない。

だが戦局は全く予断を許さない状況である。何しろ相手は不意打ちとはいえ一撃で「初期型」を破壊しているのだ。油断すれば「最新型」も同じ運命を辿る恐れがある。

「飛び道具」の出力を抑え、羽毛の様に地上に降り立った「烏兎」の背後で、爆発が起きる。恐らく「初期型」の胴体に組み込まれた予備の生体クラウド端末の暴走によるものであろう。オペレータのキーボードを叩く手が汗ばみ始めた。

<<<その3おわり、その4につづく>>>

――

◎宣伝

転生の宴セガR&D1サポーターズサイトに登録されています。興味を持たれましたら投票してみるのも良いでしょう。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 勝手に新機能を希望してみる | トップ | 1.2EXカードレビュー反省会 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

創作物(M・o・Aちゃん他)」カテゴリの最新記事