2015年12月28日 広島県
浄土寺 重要文化財
広島県尾道市東久保町
聖徳太子の創建と伝えられ、足利尊氏ゆかりの寺としても知られています。全国で2例しかない寺域全体が国宝指定された寺で、文化財の宝庫です。本堂・多宝塔は国宝、山門・阿弥陀堂は国の重要文化財となっており、このほかにも貴重な文化財が多数あり、宝物館には一見の価値のあるものが多数展示してあります。 ひろしま観光ナビ
▼山門 重要文化財
浄土寺の表門で,南北朝時代(1333~1392)に再建されたすぐれた建築である。本堂と同じ工匠の手になったのか,本堂向拝の軒の規矩と同じ規矩をもつことは,あまり時代の差がないことを示すと思われる。側面の妻の部分の板蟇股(かえるまた)に足利氏の家紋である「二引両」が表されている。
▼本堂 重要文化財
浄土寺は,鎌倉時代末期(14世紀初め)に炎上したが,尾道の人々によって,数年後には再建された。この本堂も尾道の人沙弥(しゃみ)道蓮(どうれん),比丘尼(びくに)道性(どうしょう)が発願して,鎌倉時代の嘉暦2年(1327)に大工藤原友国,同国貞により建築されたものである。前面二間通りを外陣とし,うしろを内陣とする密教式平面である。和様を基調としているが,桟唐戸(さんからど),花肘木(はなひじき),二斗などを用いたいわゆる折衷様式である。
▼阿弥陀堂 重要文化財
浄土寺本堂(国宝)の東隣に立つこの建物は,南北朝時代,康永4年(貞和元,1345)再建と伝えられる。本堂,多塔宝(国宝)が再建された後に建てられたものと思われる。優れた和様建築と評価されている。本尊は阿弥陀如来坐像(県重文)である。
浄土寺は尾道有数の古刹(こさつ)で,尾道水道東口付近に位置する。鎌倉時代(1192~1332)以後,西大寺流律宗寺院として特に信仰を集めた。
▼多宝塔 国宝
鎌倉時代末期,嘉暦3年(1328)建立。大日如来及び脇侍(わきじ)(尾道市重要文化財)を安置し,内部には彩色が施され,壁面には真言宗の名僧を描いた真言八祖像がある。多宝塔としては,規模が大きい上に全体のつりあいがよく,高野山金剛三昧院や石山寺の多塔宝と並ぶすぐれた塔である。牡丹・唐草に蝶の透かし彫りをした蟇股(かえるまた)など,華麗な装飾に富み,その整った容姿および手法によって,鎌倉時代末期の代表的な建築とされる。昭和11年の解体修理で,屋根の上の相輪(そうりん)の中から経巻など多くの納入品が発見された。
cosmophantom