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スウェーデンのジャズ事情をスパイス・オブ・ライフで聴く

2007年09月30日 | Jazz
私ぐらいの歳になりますと、スウェーデンと聞きますとすぐに「スウェディッシュ・エロチカ」という言葉が口の端から出てしまいますねぇ。この部分に反応された方というのは、明らかに40代後半か50代の方でしょうか。違います? (閑話休題)
今回何を書きたかったかというと、スパイス・オブ・ライフというレコード会社の一連の作品群についてです。この会社、いろいろなことをやっておられるようですが、私としては冒頭に書いたスウェーデンのジャズを積極的に紹介しているというところに非常にピ~ンと来たわけです。というのも以前、本ブログでも紹介したマルガリータ・ベングトソンという歌手の作品、そして今回ビックリしたリサという歌手など、かなりの数の作品をリリースしている会社なのですが「どの作品も非常にクォリティが高く」かつ秀作揃いなのです。うーむ、本当に素晴らしいことです。
女性ボーカルの「スウェディッシュ・ビューティー」シリーズも上記女性陣が本当に素晴らしいですし、ピアノを中心とした一連の作品群も聴き応えがあります。それ以上に素晴らしいのは、録音が北欧独特の透徹なまでのクールネスが表出されていて実に気持ちいいこと。本当にオーディオ好きには堪らない“好演奏・好演唱・好録音”という三拍子揃い踏みの作品ばかりなわけです。
で、今回はそんな作品群の中から、私が全く知らないミュージシャン&歌手の新作をご紹介いたしましょう。
まずはスウェーデンの若手ピアニスト、マティアス・アルゴットソンの新作『イン・コペンハーゲン』。「リッツ・カールトン・ホテルの様な高級ホテルのラウンジで聴いているような感じ」がこのピアノ・トリオの演奏にはあります。“若手”とは思えない老獪なフレーズ作りにも驚かされますね。この落ち着きのある音選びは、いったいなんなんでしょう。脇を固めているベースのイエスパー・ボティルセンは、もうN・H・O・ペデルセンが乗り移ったとしか言いようがないほど、ニールス・ペデルセンを感じさせてくれます。とくにソロがフィーチャーされる曲では、もう完全にペデルセンに成り切りという感じなのです。←最中さん、これ必聴ですね。
そしてドラムス、エド・シグペンの参加がこの盤の白眉。なんてことのないサトルなブラッシュ・ワークなのですが、これがゾクゾクするほど「巧い」。こんな言い方は失礼ですね、シグペン様。高級ホテルのラウンジで聴いているようなというのは、彼のドラミングがそう聴こえさせているのかもしれません。まぁ、本当に妙技で、私はこの盤を聴いてジョー・ジョーンズのドラミングを思い出しました。
そして音なのですが、これはヨーロッパ・トーンのレコーディングと言えばいいのでしょうか、この盤をかけると部屋の空気がいきなり清浄化されるような、そんな雰囲気を持っていて日本や米国のスタジオでは絶対取れない音です。ピアノのチューニングも素晴らしいです。本作はゆっくり本を読みながら聴くのにうってつけ。ちなみに私は、ステサンを読みながら聴いておりました(大爆)。
さて、もう一枚は、リサという“スウェディッシュ・ビューティー”な歌手の『エンブレイサブル』。これまた美人であります。なんと女優でもありましてハリウッド映画にも出ておりますね。まぁそんな事より1曲目<ハートに火を付けて>にやられました。ドアーズの名曲なのですが、私的にはホセ・フェリシアーノでございます。
そう言えばかなり前のことなのですが、デビッド・フォスター(arr, key)のHPを覗いていた時に「彼女にぞっこん」との記事がありました。プロデュース(1曲)を手がけているとの情報を見てはいたのですが、今思い出しました。というわけで、5曲目の<恋に恋して>は、フォスター・プロデュース(まぁ、なにが変わるってことは無いです。そうそうピアノは別人です。キーボードはフォスターが弾いてます。それにしてもデュエットが好きですなぁ)。バックはスウェーデンの腕利きを揃えているようで、実に巧い。まぁフィーチャード・アーチストにクリス・ボッティ(tp:2曲目の<エンブレイサブル・ユー>)が参加しております。というわけで、スタンダードをしっとりささやくように歌われちゃうと、男性陣メロメロ。私もメロメロです。
さて音。これも本当に素晴らしい。なにしろ彼女の口元がよく見える(大口ですけれど)。そして高いところに声が定位するんですよ。そして楽器との遠近感の表現が素晴らしいのですね。ストリングスを含むオーケストラ(と言っても超大編成ではありませんが)の定位、リズム・セクション各楽器の音色、定位が素晴らしく捉えられています。そして左右のパースペクティブが驚異的。
というわけで、このスパイス・オブ・ライフという会社からのリリースにちょっと目が離せないと思う今日この頃です。


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4 コメント

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このレーベル、いいですよね (k1xv1x)
2007-10-04 08:15:51
sugarさん、おはようございます。「イン・コペンハーゲン」も「リサ」も、持ってます。北欧の音というのは確実にありますね。ここのところ「Tord Gustavsenn」などのECMレーベルや「デューク・ジョーダン」の北欧物に嵌っているせいかも知れませんが、なんともいえない温度感と響きが、気持ちいいかも。しかし、さすがSugarさん、いつもいいCDをご紹介頂き、とても参考になります。お暇が出来たら、拙宅にも再度おいでくださいませ。BMIのプラチナ電源ケーブルを入れたこともあり、JAZZピアノビッタシのセッティングになりつつありますので、Sugarさんのお好みにもかなうかと愚考いたしております。
流石でございます (Sugar)
2007-10-04 22:39:36
お聞きになっていましたか。流石ですねぇ。
スウェディッシュ・ビューティー・シリーズは、ちゃんと買っておかないと大変ですよ。その歌手が有名になるも良し、ならぬも良しで、10年後には必ずやお宝になる予感がします。
録音もいいのでしょうが、なぜかここの製盤がいいんですよ。このレコード会社の担当者に二重丸を進呈いたします。
PS
ビクター&ユニバーサルのSHM-CDを入手。クラシックなんですけれど、これでSACDが益々必要ではなくなりますね。こりゃXRCD以来の驚きです。
11月発売。それにしても、旧作ばかりをSHM-CD化する意味が分からない今日この頃。

ぜひお邪魔します。楽しみにしております。
ぜひ再戦します (monaka)
2007-10-05 22:26:31
sugerさん、こんにちは、monakaです。
マティアス・アルゴットソンの前作評判でしたが、私てきには印象薄く、そしてこのアルバムもショップでちょっと試聴し、おとなしくてやめていました。
でもsuger さんの記事により、試聴では聴いていない部分があるようで、ぜひ聴いてみたいと思います。
だんだん良くなります (monaka)
2007-10-31 22:07:43
sugerさん、こんにちは、monakaです。
このあアルバム聴きました。ピアノの音がとてもきれいで、テクを抑えて上手いですね。聴くほどによくなっていきます。前作では気がつきませんでした。
ありがとうございました。

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