
いま『教皇選挙』を観るべき6つの理由
映画『教皇選挙』はこのゴールデンウィークで必ず見るべき映画である。
その理由は6つある。一つずつ説明していこう。
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『教皇選挙』を観るべき6つの理由
その1
トランプによる分断社会の縮図がそこにある
ローマ教皇がお亡くなりになる。新たな教皇を決めるための総選挙「コンクラーベ」が始まる。どこの世界もそうだが、有力候補ってのは声の大きい者である。
過激な物言いをする者は反発も食らうが支持する者も出る。
本作のテデスコ枢機卿の物言いはいかにも保守で、図らずもあのトランプをものすごく彷彿とさせる。映画は大統領選挙の前に撮られていたはずなので、意図したわけではなかろうが、社会のありようをしっかり捉えていたと言えるだろう。ツィッターを見ても分かる通り、声の大きい者同士だけで罵り合いをすることで世論が形成される現代社会の縮図が『教皇選挙』なのである。
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『教皇選挙』を観るべき6つの理由
その2
リアル・コンクラーベの真っ最中の今だからこそ観ろ
教皇選出のための108人の枢機卿による総選挙。VTC108総選挙。
その知ってるようでよく知らないルールを教えてくれて、また単に「神の思し召し」では終わらない、VTC108内部の政治的駆け引き、ロビー活動など、ニュースでは決して語られない総選挙の裏側を、フィクションだけども、色々教えてくれる
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『教皇選挙』を観るべき6つの理由
その3
脚本がいい!
とにかく、脚本がうまい!
忘れた頃に処理される伏線回収の絶妙なタイミングに、おお!そう来たか!と驚く、密室劇なのに飽きさせずに物語に没頭させるストーリー展開
映画にストーリーなんて要る?とか言う意識高い系の人にこそ、ストーリーの重要性をグサグサ胸に刺して教えてくれるので是非観てほしい。
教皇の突然の悲報に右往左往する選挙担当の主人公の苦悩や葛藤や頑張りに40〜50代の世代ならわかるわかると感情移入間違いなし。
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『教皇選挙』を観るべき6つの理由
その5
映像がいい!
外界と完全に隔絶されて行われるコンクラーベ
閉塞的な、息の詰まるような緊張感を、映像も自然光を廃し、カメラの動きも制限されたように、古典的なカメラワークで紡ぐのが作品にあっていてよい。けれども、ある場面で一気に生まれる外界とのつながり。音も、画面に映される自然現象も、一変し、映画の空気が変わったと嫌でもわかる。
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『教皇選挙』を観るべき6つの理由
その6
役者がいい!
コンクラーベを仕切る事になった主人公はレイフ・ファインズ。ナチスの収容所所長でブレイクし、007ではMを、ハリーポッターではヴォルデモートを演じたイケオジの彼である。ハリソンフォード的なスター枠ではなく、デニーロ的な名優枠でもなく、その中間くらいの彼だからこそ、「カリスマはないが事務処理には長けている役」が最高にハマる
何に出たか覚えてないが確かに何度か観た顔のスタンリー・トゥッチも素晴らしい。そのキャラ性故に本命候補ではないだろうという意外性のない役ではあるが
発言も顔も全部うるさいテデスコ枢機卿を演じたセルジオ・カステリット、正直言って全く存じ上げない役者でしたがその鬱陶しさは素晴らしく心に残る
そしてかつてはクリストファーウォーケン、ゲイリーオールドマンとともに悪役三羽烏的とも言われていたジョン・リスゴーも素晴らしい。彼にしては小物なセコい悪だったかもしれんが、器の小ささもきっちり演じ切るうまさは他の二人(ウォーケンとオールドマン)にはない魅力だ。
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『教皇選挙』を観るべき5つの理由
その5
音楽がいい!
音楽は本作でアカデミー賞ノミネート、前作『西部戦線異常なし』でアカデミー賞受賞のフォルカー・ベルテルマン。
ハンス・ジマーがやりそうな映画な気もしたが、彼がやったらまたドコドコリズム刻むだけのミニマルっぽい音楽になったろうし、超巨匠のジョンウィリアムズが出てくれば荘厳なミサ風の曲がこれでもかとなってとても保守的な音楽になったろうし、あるいはトーマス・ニューマンなら電子音が前面に出てなんか現代っぽくなったり、ジェームズニュートンハワードだったら可も不可もない音楽になったろうけど、この方は弦楽中心の小編成の曲で音としてはクラシカルな雰囲気を醸しつつも、現代音楽的、クラシックといっても武満徹あたりに近い古いけど古すぎない響きがとても作品にあっている
久しぶりにサントラ買おうと思わせる傑作スコアであった!
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そんな次第で『教皇選挙』必見である
大ヒット中。シャンテだと早く席取らないと観れない。4/27だと13時時点でその日の回全て売り切れだ!(アノーラなんかガラガラだったぞ)
教皇選挙、是非、劇場で!
ちなみに、写真2枚目は我が家の「ネコクラーベ」に勝ったヒマワリ様
