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映画作りの糧とすべく劇場鑑賞作品中心にネタバレ徹底分析
映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

2019年 映画ベストテン!!!

2020-01-03 21:32:31 | 私の映画年間ベスト

「ALIQOUI film映評のページ」のしんによる2019年映画マイベストテンの発表です。

大長編記事なので手っ取り早く結果だけ知りたい方はこのページの一番下までスクロールしてください。

 

【はじめに】
2010年代が終わり、気が付けば我が国では史上最長の政権がまだ継続中ですが、いちいち上げればキリがないほど腐りきった政権だと思っています。
国民をなめてるのは明白ですがそんな政権を国民がいつまでも支持して権力を与え続けているのですからなめられても当然でしょう。
憲法はすでにめまいがするくらいに歪められ、あろうことか憲法改正までやる気になっています。
インディーズとはいえ映画を作っている人間として、まして利益追求を完全に捨てて映画を作っている自分にとって、我が国の現状に一言も物申さぬわけにはいかないと感じるようになり、自分の作品では意図的に政治的なメッセージを込めるようになったのが2010年代でした。
ですが、これほど政治の歪んだ日本で商業映画はといえば、社会性や政治性をなるべく無くそうとしているように思えてなりません。
さらにあいちトリエンナーレの件やKAWASAKIしんゆり映画祭の件など、安倍政権が芸術家にとって害悪でしかないことを示す事件だったと思います。
表現の自由に政治が介入することがむしろ正しいことであるかのごとき風潮や、表現者の方から「忖度」して自由を放棄すべしという風潮など、映画表現のみならず芸術・創作活動全般への危機が現実のものとなったのが2019年だと思います
その意味で2010年代は映画表現にとっては下り坂の時代でした。次の10年でなんとしても取り戻さなくてはなりません。

と、いきなり大演説をぶちかましてすでに読むのをやめてしまった人が大半かもしれませんが、そんな2010年代最後の1年の2019年は時代の今と立ち向かう映画が印象に残った年でした
私の2019年映画ベストを政治発言もところどころにまぶしながら、カウントダウン形式で発表してまいります!!

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まずは11位と10位の発表です!!(ベストテンじゃないじゃんとは言わないでください)

第11位「運び屋」(クリント・イーストウッド)

第10位「ザ・フォーリナー/復讐者」(マーティン・キャンベル)

「じじい頑張る」映画エリアです。
クリントが生きて動いてポリコレガン無視の台詞をぶちかましまくるのですがなぜだか憎めない。個人主義を貫き常にアウトローであり続けたクリントが2010年代でもリベラルに迎合せずさりとてクサレ保守とも一線を画す姿勢は、リベラル側のつもりである私から見てもかっこいいです。
しかもピチピチのおねーちゃん二人を相手にするとか自分ご褒美いい加減にしろよと脚本丸めて頭をスパーーン!!と叩きたくなりますが、どうせ例のギロっとした目でぴくぴくしながら睨まれて終了でしょう。まだまだ頑張ってください。


そして「ザ・フォーリナー」のジャッキーです。「酔拳」や「プロジェクトA」のころの軽やかさのないヨボヨボ感で最初のうちこそ見ていて痛かったのですが、それでも物語が進むと「椅子をもって戦い」、「2階くらいの高さを背中から落ち」、「若いイケメン戦士にガチで勝ち」、しまいには「主題歌まで熱唱」されたら感動する以外何ができるでしょう。
・・・じいさんのすごさばかり語りたくなる映画ではありますが、イーストウッドのここ最近の映画における、最近起こった事件を検証する姿勢は「今を問う」という私的テーマと符号しますし、あるいはマーティン・キャンベル監督が北アイルランドとイングランドの微妙な関係に臆せず踏み込み政治の裏の非情な世界を描く姿勢も評価したいです
(マーティン・キャンベルにとってはただ単に爆弾を描きたかっただけなのかもしれませんけど。その辺の詳細は私の当時の映評を参照ください)

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続いて9位から8位の発表です

第9位「ブラック・クランズマン」(スパイク・リー)

第8位「バイス」(アダム・マッケイ)


アメリカの政治・社会派映画エリアです
9位と8位は過去のアメリカを批判する映画です。
未来という安全圏から過去の出来事や人物を批判する映画には欺瞞とか偽善とかの批判が付いて回りますが、この二作で描く過去は今のアメリカに直結しています。
「ブラック・クランズマン」はラストでドナルド・トランプを名指しで批判し人種差別は過去のものではないと訴えます。
「バイス」でもブッシュ時代のアメリカを揶揄する中でちらりと現在のバイスプレジデントであるマイク・ペンスを映してみたりと、その意図は明白です。
政治性抜きで映画としてみたとき「ブラクラ」の方は犯罪映画として脚本が荒いと思うところはありました。しかしクライマックス「黒人に襲われる白人女性を助けにKKKが駆けつける」というシチュエーションは「国民の創生」への逆オマージュとして映画史の意義を問う壮絶なシーンになっていたと思います。
「バイス」はというと、(リベラルだけ)大爆笑の喜劇として痛快さなら今年ナンバーワンの映画でした。そしてブッシュ政権検証の熱量がすさまじかったです。
「もしかして誰でもいいんじゃない」みたいな壮絶な化け方のクリスチャン・ベールと、「お前しかいない」な本物よりブッシュっぽいサム・ロックウェルに笑わせてもらいました。

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続いて7位から6位の発表です

第7位「主戦場」(ミキ・デザキ)
第6位「i-新聞記者ドキュメント-」(森達也)

 

ドキュメンタリーエリアです。
「主戦場」の検証力は圧倒的でした。熱量と使命感そして取材力のすごさ。慰安婦(性奴隷)をめぐる政治的なからくりを検証し、自民党とつながる日本会議をはっきりと批判します。
ウヨクもこれを上映禁止にするんでなく同じ熱量で反証映画を作ったらいいんじゃないでしょうか。
それにしても残念なのは、この紛れもない「今の日本」をめぐる大問題を日本人ではなくアメリカ人によって作られていることです・・・
・・・と思っていたら年末年始時期にものすごい日本のドキュメンタリーを見てしまいました。「i-新聞記者ドキュメント-」です。
東京新聞の望月衣塑子記者に密着したドキュメンタリーですが、単にリベラル界隈のアイドル(?)望月記者すごいぞ菅なんかぶっ飛ばせなアイドル映画なのかと思いきや、それを主軸としてもう一軸、監督の森達也さん自身のドキュメンタリーが並行して走る構成が面白かったです。
日本における政治報道の在り方への問題定義にして、なんとか官邸に入ることはできないかとあらゆる努力を試みるちょっとしたサスペンスが展開します。
結局「森監督がドキュメンタリーを完成させることができなかったドキュメンタリー」となっていて日本の政府と報道の関係について考えさせられる内容でした。

ついでにこの場を借りて言及したいのが、「i」のつかない方の日本映画「新聞記者」です。たぶんキネ旬テンにも入ってくるであろう世評は高い作品ですが、私は(バリバリリベラルな私は)、内容に不満でした。
「新聞記者」は安倍政権に忖度なしの姿勢は買うし、今こういう映画が作られた意義とか心意気は買いたいのですが、映画のクォリティに疑問を感じます。
何より一番食い足りないのは「新聞記者」の脚本としての安倍政権検証の浅さです。
なぜ官僚はそうするのか、どうやってそうしているのかの検証が何もありませんでした。あれではサヨクの語る陰謀論の延長でしかありません。
「i」のついた方や「主戦場」の徹底的な検証と比べるのは、ドキュメンタリーとフィクションどいうジャンルの違いもあってフェアじゃないかもしれませんが、同じフィクションでも「バイス」とは検証の深さに雲泥の差を感じます。
「バイス」が今更10年前の政権を茶化すのに比べて「新聞記者」は今の政権に物申してるじゃないかと思うかもしれません。
でも10年という時間を経たからこそ当時を徹底的に検証できた「バイス」を見ると「新聞記者」にも映画として首が座るようになるには10年くらいの時間は必要だったのではないかと思ったりもします。
しかししかし、今の安倍政権は秘技「カクギケッテイ」で不都合なことは全部なかったことにし、不都合な文書は「受け取らない」「改ざんする」「隠す」「廃棄する」が蔓延し、10年後わが国で今の安倍政権を公的資料から検証すかることは、ほとんど不可能になっているのではないかと危惧します。
民間資料をいくらエビデンスとして使っても「諸説あります」の併記が必要になりそうで日本では今も未来も「バイス」のような映画は作れないのかもしれません。
そんな国にしたのは私たち主権者たる国民です。その意味では映画として不完全でネトウヨに付け入るスキを与えまくっている「新聞記者」であってもやはり作る意義はあったのかもしれません。
でも映画としての良さとは別の話です。

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続いて5位と4位の発表です

第5位「幸福路のチー」(ソン・シンイン)
第4位「天気の子」(新海誠)

はい、アニメエリアです。
「幸福路のチー」は驚くべきことに長編初という台湾のソン・シンイン監督による台湾現代史と一人の女性の人生をリンクさせて描く人生哲学のアニメです。
ノスタルジックで情感ある背景と、素朴なタッチのキャラクターでつづられる柔らかなルックのアニメで、ただ眺めているだけでなんとはなしの幸福感に包まれます。
しかし描かれているのは台湾政府による言論弾圧や、民衆による民主化運動であったり、アメリカ暮らしの台湾人女性というマイノリティとしての疎外感や生きづらさであったりと重いテーマです。重いテーマと柔らかい画の対比がそれだけで映画表現として際立って素晴らしかったと思います。
そしてこの映画も今を生きる台湾人が経験してきた過去の自国の歴史の暗部を描くことで、過去を検証し反省し未来に活かそうという姿勢を感じます。そうした姿勢が嘘みたいに欠如した安倍晋三にぜひ見てほしい映画です

そして「天気の子」です。新海さんが政治的意図をもって映画を作っているとは思えません。それに新海さんの映画はなんとなく右寄りの人との親和性も高い気がします。うまく言えませんが。
でも私には「天気の子」はものすごく左寄りにもヒットするリベラリズムロックな要素もある映画に思えました。
本人がどれほどの思想性でこの映画を作ったのかはわかりません。でも私には新自由主義的自己責任論がはびこる今の日本にくさびを打ち込むような映画に思えたのです。
「一人の犠牲で皆が救われるのなら仕方ないじゃない」という空気を読んで、自ら人身御供になる少女は、「お国のために死んでまいります」と言わされていた戦時下の兵士たちの姿が重なります。
そして「お前ひとりを助けることができるなら世界なんかぶっ壊れたっていい」という少年の想いは、私には愛国心の全否定に思えましたし、その結果として八方丸く収めたりせず実際に東京をほぼ滅ぼしながらも主人公二人に「君たちは何も間違っていない」と言っているかのような姿勢はめちゃくちゃに新海さんのワン&オンリーではありませんか。
特攻を賛美する映画が誉めそやされ、先の戦争はすべて美しいとするような論調に対するカウンターではないかと私には思えたのです。深読みですかね。
神社から神聖な力を授かったかのような描写に神社本庁の皆さんは大喜びだったかもしれませんがね


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さてトップ3発表の前に

苦渋の想いでテンから外した作品をいくつか紹介します

【惜しくも圏外作品】
「EXIT」(イ・サングン)
 →単純で爽快なアクション活劇で健全な恋愛映画

「バーニング 劇場版」(イ・チャンドン)
 →不確かな存在の記憶と確かな肉体的感覚を描く詩的作品。物語の余韻、女優、映像素晴らしい。

「海獣の子供」(渡辺歩)
 →2001年宇宙の旅レベルの唖然茫然な映像体験

「ホモソーシャルダンス」(東海林毅)
 →短編インディーズながら未知の映画感は海獣の子供並み

「パンクロックベイビー」(吉田麻希)
 →横浜聡子さんの「ジャーマン+雨」見たときと同じくらいのとんでもない新人感

 

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さてトップ3発表のさらにその前に

ワーストコーナーです!!

【ワースト作品】

「スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け」(JJエイブラムズ)
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(クエンティン・タランティーノ)

「ワンハリ」はシャロンテート事件を知ってる知らない関係なく、まったく面白くなかったんですけど、それでもなぜ私がタランティーノ映画が嫌いで世間では評価高いのかがはっきりわかったので、観たことはよい勉強になりました
「スターウォーズ9」の最大の戦犯は、スターウォーズを作家の映画でなくビジネスにしてしまった制作陣だと思います。私は「8」と「ローグワン」はすごく好きですが、それらを含めてなおビジネスのコンテンツと化した続三部作と関連作品は何か方向性が間違っていたんじゃないかと思います。
ちょっと評判悪いくらいで、やべーよこんなんじゃヒットしないよ~オロオロと、ころころ監督変えて、作風も設定もかみ合わなくなっていった末の悲劇が「9」です。
ついでにさして映画的才能があるとは思えないJJに大作つぎつぎまかせてアカデミー監督賞にノミネートされたことすらないのにプレゼンターを務めさせたりなど、あいつを甘やかし続けてきたハリウッド全体にも責任があるんじゃないかとすら思います。

【ワースト俳優部門】

ワースト男優は人を馬鹿にしてるようにしか見えなかった「アベンジャーズ エンドゲーム」の真田広之さん
ワースト女優は性格の悪さをみごとに滲み出してくださいました「主戦場」の杉田水脈さんに、謹んで進呈いたします。おめでとうございます。

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さてベスト作品発表に戻りまして、いよいよトップ3です

第3位「ジョーカー」(トッド・フィリップス)

 

あ、間違えました。これはSNOWとやらで撮った私です。
 


今の時代が生んだ作品のように思えました。もともとの企画意図はそこまで時代性とか社会性を込めるつもりはなかったのかもしれません。
しかし劇中でジョーカーのようなせいぜいが小悪党が市民によって意図せずカリスマになっていったように、この映画も意図せず時代の先端に押し上げられていったように感じます
人がなぜ悪に走るのか、それは生まれたときから悪人だったからではなく、社会に必要とされるからです。
ヒトラーもそんなもんだったかもしれません。トランプも。安倍政権も(いや民主党政権もだろって思いたいならどうぞ)。
世界が右側に崩れ落ちていくような10年代の終わりに「ジョーカー」が発表されたのは何か象徴的に感じます。
そしてまたこの映画は、これはおそらく意図的にだと思いますが、タクシードライバーを殺しました(キングオブコメディといっしょに)。
ヒーローもアンチヒーローもいない。70年代のアイコンたるロバート・デ・ニーロを殺して悪を倒す狂人すらもういないことを示し、社会が自動的に腐っていく恐怖、というより「予言」をしているような恐ろしさがありました

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第2位「家族を想うとき」(ケン・ローチ)

世界の崩壊はイギリスの巨匠ケン・ローチも怒りを込めて描きます。「ジョーカー」が叙事詩的に世界の崩壊を見方によっては美しく描いていたのに対し、ケン・ローチは崩壊のプロセスを具体的に示して淡々と作為を排して描きます。
その意図はもちろんこんな社会は変えなきゃいけないと訴えるためです。
世界の崩壊は家族の崩壊から始まります。新自由主義的自己責任社会は家族を壊し、ケン・ローチも出口が見えなくなった社会システムを前に、物語にふさわしいエンディングを作れなくなったのではないかと思うのです。
きちんとした終わりとはいえない幕切れでしたが、どこに向かっているのかわからない主人公の運転するトラックの行き着く先は、きっと私たちの家族であり、私たちの社会なんです


ここまで11位から2位までを語りました。私の2019年映画ベストのテーマはもうはっきりしましたね。
映画人は自分の取りたい映画だけ撮って社会なんか知ったことかとするのはダメなんです!
政治を、社会を、時代を変えていくことこそ映画人の使命なんです!!

そんな私が自信をもって発表する2019年の映画ベストワンは・・・・・

 

 

第1位「アベンジャーズ エンドゲーム」です!!!!

はい、えーわかってますよ。
笑ってくださいよ。
なんでやねんって椅子からずり落ちてくださいよ。
政治も社会も時代も関係ないことくらいわかってますよ。

でも、今年振り返ってやっぱりどう考えても圧倒的な感動の嵐で、嗚咽がこみ上げてくるぐらいだったんです。

もちろんこの映画はいきなりこの作品だけ見ても感動はできません。「インフィニティウォー」とセットで見てもダメです。
MCU作品をある程度見てからでないと絶対に感動できないです。実は私も「アントマン」観てないし、「キャプテンマーベル」観てないので、キャプテンマーベル姐さんの恐ろしい戦いっぷりは「海獣の子供」より唖然茫然だったんですけど
だから単品作品としては、評価できるものではないかもしれません。
その意味で物議をかもしたマーティン・スコセッシ発言「MCUなんて映画じゃない」は間違っていないと思います。
これは映画じゃない。2010年代にMCUによって起こされた事件なんです。
映画興行の在り方も形を変えました。膨大なタイトルのシリーズ全体でムーブメントを作り、最後に結実させるという方法です。
結果としてアベンジャーズエンドゲームはアメリカの歴代映画興行記録を塗り替えるほどヒットし、最高の形でシリーズ完結を迎えることができました。
スターウォーズの件で批判した映画のビジネスコンテンツ化に関してはMCUの方がはるかに進んでいるかもしれませんが、MCUはシリーズすべてで監督が誰になろうとも決してぶれない芯があったように思います。
それは作家の映画とは言えないかもしれませんが、アイアンマンから始まった初期シリーズの時点でエンドゲームのことはすでに構想していたのだと思います。そしてレギュラー俳優が高齢化しすぎる前の絶妙なタイミングで大団円にもっていったのは見事でした。
スターウォーズ続三部作に欠けていたのは長い目でシリーズ全体を俯瞰する視点だったのではないでしょうか。

いや、そんな映画ビジネス論を語りたいんじゃないんです。
タイムパラドックスめちゃくちゃなタイムトラベルの物語とか突っ込みどころありまくりなんですが、そのおかげでこれまでのシリーズが全部生きてきて、ちょい役で出てくるあの人この人にいちいち感動できる仕掛けはすごいです。
わかっちゃいるけどそこで助けに来る一度は死んだ奴らの大集合とか、それでいてシリーズ通じてあちこちに広げ散らかした風呂敷をきれいに畳み切ったその剛腕さも含めてシリーズ映画はかくあるべしという最高のモデルケースを作りました。
マーベル映画見てきた俺のこの何年間かは間違ってなかったと思えました。いや、見てないのもあるから、見てない分だけ感動が薄れたはずで後悔も感じましたが。
だから皆さんも、アイアンマンとかキャプテンアメリカとか、アベンジャーズ名義の過去作など20作くらいをちゃんと予習した上でぜひ「エンドゲーム」の分厚い感動を楽しんでください!!!

 

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そのような次第で超絶長くなった2019ベストですが、実はまだ終わりません。
勝手に個人賞の発表です

【勝手に個人賞】
★監督賞 ケン・ローチ「家族を想うとき」
80を過ぎた老巨匠はおそらく最後の命の灯を映画を通した弱者のための社会改革に費やそうと決めたのでしょう。
学生ぐらいのころケン・ローチ監督のことを「センスオブワンダーがなんもない」と批判していたあの頃の自分を恥じます。ここまでぶれずに労働者映画を撮り続ける人ですからぜひもっともっと、そのままで描き続けてほしいです。
間違ってもスパイダーマンとか007とか監督しないでください
他には監督として評価すべきなのは、「ジョーカー」のトッド・フィリップス、「幸福路のチー」のソン・シンイン、「バイス」のアダム・マッケイでしょうか。

★女優賞 チョン・ジョンソ「バーニング 劇場版」
2019年は強い女優の映画が少なかった気がします。ジョンソちゃんは演技がすごいとか歌がうまいとかアクションがやべーとかそういう評価でなくて、単にかわいくて恋しちゃっただけです。
他には「ともしび」のシャーロット・ランプリング姐さんは安定の貫禄&セクシー。インディーズですけどパンクロックベイビーの永井樹里さんも強かったですね!

★男優賞 ホアキン・フェニックス「ジョーカー」
これに関しては誰も異存ないのではないでしょうか。この10年くらいを代表する名演ですらないかと思います。
実は「ジョーカー」観る前は今年の男優賞は「ザ・フォーリナー」のジャッキーしかあり得ないと思っていたのですが・・・
他には「バイス」でブッシュを演じたサム・ロックウェルと、同じく「バイス」のディック・チェイニーを演じたクリスチャン・ベールも称えたいです。

★作曲賞 アラン・シルベストリ「アベンジャーズ エンドゲーム」
やっと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と並ぶ代表作ができたんじゃないでしょうか。MCUシリーズの音楽面におけるキャプテンアメリカ的スタンスでシリーズを牽引してくれたことへの感謝も込めて。
他には「ジョーカー」のヒルドゥール・グドゥナドッティルはすごい新星の登場と感じました。
「スカイウォーカーの夜明け」のジョン・ウィリアムズはさすがの巨匠っぷりであのクソ酷い映画をかろうじて見れるものにしてくれました。ウィリアムズのライフワークをあんな結末にした制作陣には私がシスのフォースで懲らしめてやります!

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では最後に改めて2019年のマイベスト映画ランキングのまとめです

1.アベンジャーズ エンドゲーム
2.家族を想うとき
3.ジョーカー
4.天気の子
5.幸福路のチー
6.i-新聞記者ドキュメント-
7.主戦場
8.バイス
9.ブラック・クランズマン
10.ザ・フォーリナー/復讐者
11.運び屋
12.EXIT
13.バーニング劇場版
14.海獣の子供
15.ホモソーシャルダンス
16.パンクロックベイビー

監督賞 ケン・ローチ (候補 トッド・フィリップス、ソン・シンイン、アダム・マッケイ)
女優賞 チョン・ジョンソ (候補 シャーロット・ランプリング、永井樹里)
男優賞 ホアキン・フェニックス (候補 ジャッキー・チェン、サム・ロックウェル、クリスチャン・ベイル)

ワースト作品 「スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
ワースト男優 真田広之「アベンジャーズ エンドゲーム」
ワースト女優 杉田水脈「主戦場」

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そんなこんなで2019年はすばらしい映画と沢山出会えました。
映画に感謝です
2020年も素晴らしい映画との出会いを期待しつつ、よりよい社会と政治になることを願い、私自身が映画の送り手となっていけるように頑張ります。

 

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最後の最後に、私が監督した長編映画2作品の告知です。
「巻貝たちの歓喜」 2020.1.19 シネマハウス大塚で上映

OGPイメージ

巻貝たちの歓喜

ALIQOUI Film製作 齋藤新監督作品「巻貝たちの歓喜」公式サイト。巻貝とフルトヴェングラー指揮の「第9」が彩るSFラブストーリー

映画「巻貝たちの歓喜」公式

 

 


「不完全世界」(古本恭一と共同監督) 2020.2.15 18:30 神奈川公会堂で上映

https://twitter.com/komotodact

もしご都合が合えばぜひご鑑賞ください。

 

大変長々とした記事になってしまいました。最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。
2020年もよろしくお願いいたします

 

2020年1月3日 「ALIQOUI film映評のページ」管理人しん 

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8 コメント

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ベスト10 (aq99)
2020-01-10 20:18:14
2010年代ベスト、じっくり考えて、期日までにしあげま~す。私は、マーベル特急に完全に乗り遅れてしまい(半分はSWのせいかな)、気持ち的に、アニメなら見るけど、実写のそういうのんは、全く見なくなってしまいました。ケン・ローチ(私は前作からのにわかファンです)、ジョーカー、天気の子が当方のベストと被ってうれしい以上に、望月衣塑子(講演会も行きました。お手製団扇を持った追っかけもいたよ)と、まだ未見の「チー」(関西は今月末公開です)が入ってるんが、共感です。ブロガーベストも鋭意制作中ですので、完成したらまたコメントしにきます。では、今年もよろしくです。
返信する
Unknown (studioyunfat)
2020-01-11 00:31:23
お、aq99さんもイソコファンでしたか
よく喋りよく歩くイソコさんとガースーのバトルは下手な日本映画よりはるかに燃えます

チーは本当にすごい映画でした。ぜひ見てください

2010年代ベストもよろしくです!
返信する
ブロガーベスト10 (aq99)
2020-01-19 20:05:33
ブロガーのベスト10、出きました。いち早くお知らせに参りましたよ。よろしく、ご覧ください。
返信する
Unknown (studioyunfat)
2020-01-19 21:27:21
うおお!
ライフワーク!
心して見ます
同時にその一員になっていることを誇りに思います
返信する
2019ベスト (ここなつ)
2020-01-23 15:45:24
こんにちは。
自信のベストとはあまり被っていないのですが…「新聞記者…」のドキュメンタリーは良い作品だったと評判を聞きました。観たかったです…。
しかし、「ジョーカー」はどこでも強いですね。
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Unknown (studioyunfat)
2020-01-23 20:33:50
ここなつさん
コメントありがとうございます

新聞記者、見ればイソコファンになれます!

そしてジョーカー
多分アカデミー賞も取ると思いますよ!
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すみません (kossy)
2020-02-06 00:14:36
お誘いいただいたのに全く返事もできず申し訳ありません。
ブログもほったらかしになるほど映画ドットコムに夢中になっていました・・・
10年代のランキングも作ろうとしてるのですが、映画を観てない時期があったもので、ランクインしそうな映画をいまだ漁っているところです。
期限も延ばしていただき感謝!来週には金沢でも『i新聞記者』が上映されるので、その後になるかと思います。
それにしても、しんさんの2019年第1位が意外でしたw
返信する
Unknown (studioyunfat)
2020-02-07 00:33:50
kossyさん
ありがとうございます
映画ドットコムの方も、相変わらずの人気で流石だなーと思って見てました
10年代ベストテンお待ちしております!
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