
自分の中で勝手にgooブログ終了記念企画にしている「映画ベスト100」。11月の終了まで駆け抜けたい。
今回は97位〜96位
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映画ベスト100
96位 『トニー滝谷』(市川準)(2005)
97位 『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』(三隅研次)(1972)
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97位 『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』(三隅研次)(1972)
今回は97位〜96位
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映画ベスト100
96位 『トニー滝谷』(市川準)(2005)
97位 『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』(三隅研次)(1972)
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97位 『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』(三隅研次)(1972)

70年代映画の殺伐とした空気感が好きである。とは言うものの、この映画の殺伐感はどの年代てあっても異常だ。
斬れ、斬れ、ぶった斬れ、殺してなんぼの男、公儀介錯人・拝一刀。彼が刀を振るえば血が飛び散る。だけでなく、切られた人体パーツがそこかしこに散る。殺しの恍惚、残虐の興奮、これに近しい感情をこれに匹敵する熱量で描き切った映画は『キック・アス』(2010)くらいしか知らない。
シリーズ化もされ、2作目、3作目もかなり面白いが、やはりこの一作目『子を貸し〜』は別格。
悪の親玉による拝一刀(背中に大五郎を背負っている)vs悪い剣客(背後に赤々とした夕日)の戦いの実況
「〇〇は夕日を背負い、拝一刀は子を背負う…この勝負すでに決まった」
「〇〇は夕日を背負い、拝一刀は子を背負う…この勝負すでに決まった」
そして斬り合いになる、一刀が首をひょいと下げると大五郎の額につけた鏡が夕日を反射して…な、な、なんと言う説得力ある勝ち方!
悪党たちが宿場町にいる者どもを集めて、これから全員殺すと宣言する。
せめて武士らしく切腹するから介錯してくれと頼む病弱の侍を見て悪党の親玉が、「介錯…」
ふと見ると仏に祈っている農民。「拝む…」
「介錯、拝み…」手に持っていた太刀を見てハッとする「公儀介錯人、拝一刀!」
するとゴロゴロと乳母車を押して拝一刀が現れる
この思い出しシークエンスの面白さたるや!
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96位 『トニー滝谷』(市川準)(2005)
悪党たちが宿場町にいる者どもを集めて、これから全員殺すと宣言する。
せめて武士らしく切腹するから介錯してくれと頼む病弱の侍を見て悪党の親玉が、「介錯…」
ふと見ると仏に祈っている農民。「拝む…」
「介錯、拝み…」手に持っていた太刀を見てハッとする「公儀介錯人、拝一刀!」
するとゴロゴロと乳母車を押して拝一刀が現れる
この思い出しシークエンスの面白さたるや!
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96位 『トニー滝谷』(市川準)(2005)

この映画ベスト100に、あと何度か出てくるであろう市川準監督の手始めに一作。
『ドライブマイカー』を含めてもなお、村上春樹文学の最良の映画化作品は『トニー滝谷』ではないかと思っている。
「喪失感」という言葉を安易に使うと怒られるかもしれないし、喪失感という言葉の定義もよく知らないし、うまく説明できない。だけれども市川準の長編映画ほど喪失感という言葉がしっくりくるものがあるだろうか。
主人のいないクローゼットの服たちを見て訳もわからずむせび泣く女性の姿に、私は物語が面白いとか意味がわかるとかわかんないとか、そういうことを超えて純粋に、その女性の感情に自分の心が共鳴するのを感じた。着られることなくクローゼットに収められた服たちに対する悲しみを共感できた。
さらに恐ろしいのは、その場面で、突如として絶賛むせび泣き中の宮沢りえに、泣きながら客観的な状況説明モノローグを喋らせる演出である。
共感したと思った瞬間に一気に突き放される。
私たちはこの映画の悲しみに暮れる主人公たちに対して、踏み込むことができない。映画から拒絶されたような絶望感を味わう。
欠点はたくさんある映画だけど、映画ベスト100なんて企画は引き算で順位づけしちゃいけない。強く心を打たれたかどうかだと、勝手にそう思う。
余談だが、わりと最近になって本作のサントラを買った。(音楽:坂本龍一)
シンプルなピアノだけの曲だが、一音一音が、なんだか沁みる。曲だけで泣けてくる
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てな感じで96位〜97位でした
それではまた映画ベスト100でお会いしましょう
次回はだいぶバカっぽい映画!