聖マリアンナ医科大学病院臨床研修Blog

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指導医徒然日記 ~研修における診療能力評価を決める~

2011-08-03 12:15:24 | ポートフォリオ評価
総合的な診療能力を評価することで
臨床研修病院として社会に向けて質の保証を担保したい
まずは厚労省の定める研修到達目標を修得させるってことですが
これは決してこの目標させ修得すればいいといいうことでもないと考えます

厚労省の研修到達目標には一般目標や行動目標さらに経験目標が示されています
これをきちんと到達できているかどうかを評価するとなると
それに適した評価方法で正しく評価されなければいけません

知識であれば客観性を重視して多選択肢問題で研修終了時に試験を実施
診療技術であればOSCEや観察記録で評価
診療態度は同僚や病院における指導的立場の方だけでなく患者さんも含めて評価をもらう
などなど

目標を細分化して際限なく示すとすると
それに合わせて評価することになり
結果
細かく区分けされた評価が優先されてしまう
その結果臨床指導医が現場で感じるジレンマ
こんな評価で本当の力が見られるか!
こんなことで本物の医師になった気になるな!ってことになる

とにかく細かい評価を考える前に
到達目標をじっくりと眺めて
『逆向きの研修設計』を立てることです

これが『アウトカム基盤型研修』となるはずです

指導医も研修医も
この研修到達目標から考えるとこういう診療能力を求められているよねってイメージする
するとどういう証拠を示せば診療能力を修得できたかって言えるのか考える
これがポートフォリオに挟み込む証拠(エビデンス)になる
そしてこの証拠を創り出せるような研修内容を考えるようになる

この過程をそれぞれの研修診療科初日に行うようになって欲しいのです

総合的な診療能力を示すためには
知識の評価だけでなく
さまざまなパフォーマンス課題を課す方がいいし
さらにパフォーマンス課題となると長期的な計画が絶対に必要となります
それぞれの診療科での研修を踏まえて
最終的に2年後にこういうものを示して下さいってイメージです

これを示したものがルーブリックです

2年間の研修では最終的に研修修了判定を行わないといけません
そうなると日々の研修において
研修診療科ごとの評価を合計したり平均化したもので評価するのか
もしくは
最終段階まいし最良の評価をもって修了とするのかは課題となります

本学は研修到達目標に関しては
診療科における評価の最良点をもって評価していますし
技術や態度に関しては
観察記録やmini-CEXなど文献的な裏付けのある評価について
研修2年間の総合評価で修了判定するように定めました

つまり
このような総合的な診療能力を評価するためには
全体的なルーブリックは必要不可欠だし
また事前にオリエンテーションの段階で研修医に周知徹底されなければいけません

2年後
研修医がもしこれらのパフォーマンス課題を達成できなかったとき
ルーブリックに照らし合わせれば
どの領域が不足しているのかなどきっと明確になるはずです

もちろんこのルーブリックが完璧だとは言えないので
常に解析して修正する必要性はあると思っています

もう一つ重要なことは
2年間黙って経過観察ではなく
1年ごとにアンケート調査や面接でその進捗序油胸や理解度を確認しておく必要はあります
そして必要があれば
修正を促し指導をしていく必要があります

ここが大切なポイントだと感じます

参考文献:
教科と総合に活かすポートフォリオ評価 西岡加名恵 著
教育評価 梶田叡一 著

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