聖マリアンナ医科大学病院臨床研修Blog

聖マリアンナ医科大学病院に勤める研修医たちの日々の情報をリアルにお届けいたします。

ポートフォリオとポートフォリオ評価は違う

2011-08-06 23:08:01 | ポートフォリオ評価
ポートフォリオは何か?
『ポートフォリオ』は何か?と問われれば
それは『紙挟み』や『書類カバン』とかいわれるように
学習者である学生や研修医が何らかの目的のために収集したものをまとめたものになります

たとえば医学生のときにある課題に対して
自分で調べた書類や書籍のコピー
さらにネット上で集めた資料なんかも挟み込めばこれはポートフォリオとなります

たとえば研修医が自分の研修を記録するために
疾患について調べた資料や論文のコピー
さらに家族とのやり取りを記した物や患者との病状説明のコピーも
手術記録もすべて挟み込むことでポートフォリオとなります

でも形式的にはポートフォリオですが
ポートフォリオ評価となると
そこには単なるファイルとは違うあるルールが存在します

それは
学習者である医学生や研修医自身による
心の葛藤が反映されていなければいけません

心の葛藤って何でしょうか?
たとえばこれまでの学習では
さまざまなテーマ課題で講義がなされ
その講義内容をきちんと理解できたかを
多肢選択肢問題で評価されてきました
すると学習者である医学生や研修医は
この知識は必要だと感じて学んできたのでしょうか

覚えなれば自分の目指す医師になれないから
そんな理由でやむなく覚えた知識もあったのではないでしょうか?

本当の理解
医師になったときに必要だよって
先輩医師の思いは通じていたのかという疑問に陥ります

学習者である医学生や研修医は
教えられる項目や事象に関して
『そうなのかな~?』って感じる部分があったはずなのです
それを頭ごなしに丸暗記していたものもあるし
一方で『心の葛藤』つまり違うかもしれないけどとりあえず覚えとこう
そんな『心の葛藤』があったはずなのです

この『心の葛藤』こそが
学習や研修の場面で生じているはずで
これを学習者である医学生や研修医がはっきりと自分で言語化することが
実は省察的実践家への第一ステップとなります

つまり
ポートフォリオにはこの『心の葛藤』がきちんと記されていないといけません

自分を振り返るということは
この『心の葛藤』を示すことになります

『経鼻胃管を洗ってまた使うなんてあり得ないのに
もったいないからって洗って煮沸消毒して再利用するおばあちゃんに
なんか勉強させられた』

こんな分析がポートフォリオにあることが大切です
まさに研修や学習のプロセスが反映されることこそが
大切なポイントです

さらに挟み込まれるべきことは
学習者である医学生や研修医の学習や研修の課程における
指導医や指導者さらには患者やその家族
また同僚や医学生・研修医自身による評価記録です

また同時に様々なメディア媒体によって記録されることも重要です


本学の研修医が作成しているポートフォリオは
形式的はポートフォリオであっても
ポートフォリオ評価に活用できるポートフォリオはどれくらいあるのか

つまり
研修医個々の成長に生かせる物はどれくらいあるのか

これが次のテーマになります

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