聖マリアンナ医科大学病院臨床研修Blog

聖マリアンナ医科大学病院に勤める研修医たちの日々の情報をリアルにお届けいたします。

病院見学お待ちしています!

聖マリアンナ医科大学病院群では、いつでも医学生や研修医の皆様の病院見学を受け付けています。 聖マリアンナ医科大学病院・横浜市西部病院・川崎市立多摩病院で病院見学できます。 詳しくは聖マリアンナ医科大学臨床研修センターHPもしくは 臨床研修blog内の記事をお読み下さい。 お待ちしています!

後期臨床研修医募集中!

聖マリアンナ医科大学では平成26年度後期臨床研修医を募集中! 詳しくは聖マリアンナ医科大学臨床研修センターまでお問い合わせ下さい!

指導医徒然日記 ~大人の自覚~

2011-02-28 20:11:20 | 指導医日記
先日とある診療科で研修医がオリエンテーションに来なかった
しかも研修予定の半数が無断の欠勤

一人は病気で連絡があったようであるが
残りは数日来ないばかりか
その後突然出勤して『どこに行けばいいですか?』との一言
これには指導医が唖然としたらしい

たるんでいる?
いや
きっとなんか理由があるはずだから
きちんと耳を傾けないといけない?
指導ガイドラインに従えばそのような注意を受けるのかも知れません

聖マリアンナ医科大学はメンタルサポートはきちんとしている研修病院との自覚をもっています
担当テューターや研修診療科指導医も把握していない今回の事案
もちろん研修医一人一人と面談することになりました

病院職員の服務規程だけでなく
研修医の内規にも記載されていることに関しては
きちんと対応すべきであり
この事案に関しては厳重に対応すべきと判断しています

体調がすぐれない場合
とにかく研修指導医に連絡をしてくださいなどともう一度連絡徹底しないといけない

振り返りで自覚を促す
時間がかかる作業であるが継続するしかない

指導医日記 ~形成的評価と総括的評価~

2011-02-27 10:47:28 | 医学教育
指導医養成ワークショップで混乱してしまう言葉に
『形成的評価』と『総括的評価』がある

研修医のポートフォリオにも形成的評価と総括的評価があり
日頃指導医から質問を受けることが多い

指導医ガイドラインから引用すると
教育評価は
学習者(研修医)の可能性を引き出し成長・向上を促すフィードバックを行う形成的評価と
目標達成の程度を把握して成績をつけ、合否などの判断をする総括的評価とに大別されるのである


形成的評価 Formative Evaluation又は診断的評価 Diagnostic Evaluationというものは
それぞれの研修診療科において研修到達目標を修得しているか否か
つまり学習中にその形成過程の改善を目的に実施される評価である
つまり
その評価結果は研修医の学習や指導医の指導方法を是正し
日頃の研修内容の改善へのフィードバック資料となるべき内容となる

一方
総括的評価 Summative Evaluationとは
達成された研修目標の程度を総括的に把握するための評価である
通常は研修診療科の終了時や全研修が終了した時期に実施され
修了判定のために行われるものである

単に研修修了判定のみの目的であれば
総括的評価が研修2年目の最終段階にのみ実施されればいいことになる

これまで医学教育において総括的な評価が重要視されてきた
医学部における学習のように
総括的評価のみで学科の学習目標に到達したか否かを判定しようとする場合には
これを合格した者の中にはいわゆる「一夜漬け」で学習したものもいるかもしれない
実際小生もこのタイプだった

このような学習者のその後の忘却のスピードは極めて速い可能性が大きい
それに対して1学習単位ごとに形成的評価からのフィードバックを受けて
効果的な学習を行い
前述の学習者と同じレベルの合格点を総括的評価で取った学習者の忘却曲線はなだらかとなることが報告されている

研修における学習のプロセスにおいて頻繁に実施すべき形成的評価が極めて重要であることは明白である
研修のどのタイミングでどのように評価を受け適切なフィードバックが得られるか

これが研修医の成長に大きな影響を与えることは間違いないのである

ポートフォリオは聖マリアンナ医科大学においては義務である
義務化することで常に意識させている
評価表にすべての研修目標が記載されているのは
常に意識することになるためである
電子化は達成度の低い海外のポートフォリオで多いに応用されつつある
国内でも専門の業者すらあって興味深い

今後は比較検討しないといけないであろうが
形成的な評価が実践されない限り十分な効果が得られない可能性が高い

ある程度振り返りが可能なレベルに成長していれば
パーソナル・ポートフォリオとしての電子化は進めるべきであろう

もしくは医学部の一部の評価に用いるのもいいかもしれない

いずれにせよ
形成的評価と総括的評価は単なる言葉の違いだけではない
大きな目的の違いがあると感じている

後期臨床研修もお忘れなく

2011-02-26 18:10:22 | 後期臨床研修
マッチングが始まったころに実は危惧していたことがあった
本学を離れて初期臨床研修を市中病院で希望する医学生
その先生たちは専門医・博士号取得をどうするのだろう?って

正直医学生のときにはわからない路を進む医学生

専門医も博士号も取得したい
でもその前に何よりも診療技術を身につけたい
ほんとすばらしい心がけです

でもそこには毅然とした強い信念が必要だと思ってます

だからマッチング制度でいろんな研修病院を選択できるようになったのはいいが
聖マリのように至れり尽くせりの中で育つと
ちょっと不安が残った
でもかわいい子には旅をさせろって思いで
一時期研修医の数が減っても信念を貫いた研修スタイルを作り
そして医学生には一貫して振り返りと求める研修スタイルこそ
やがて君たちを骨太の医者にすることができると言い続けたんです

そして今何とかマッチ率も高い大学病院として認めてもらえるように
少しずつ変わってきました

そこで
あらためて後期臨床研修も意識して欲しいのです
マッチングには限界があります
研修医募集数も上限があります

一度マッチ率が下がると翌年見直しで募集数が減る?
ならどうしたら増えるの?って疑問もありますが
今日は触れません

どこで初期臨床研修しても
その後後期臨床研修につながっていればいい
聖マリでは他施設で研修を終えた方とは面接して
ちゃんと研修到達目標を修了しているか確認
弱いところがあれば意識して後期研修に臨みます

専門医こそ初期臨床研修で修得した基礎が重要となります

ぜひぜひ後期臨床研修も聖マリをよろしくお願いします

研修スケジュールに悩んでますか?

2011-02-25 17:50:39 | Weblog
国家試験難しかったという噂もありますが皆さんどうだったですか?
さて
4月の研修に向けてそれぞれ自分の研修スケジュールを考えているところだと思います

2年間をどのように過ごすのか?
すでに医師としての第一歩を踏み出そうとしているわけです

きちんと考えて準備しておかなければ始まりません


初期臨床研修は研修到達目標の修得が義務となります

そのため2年以上の研修期間内にそれぞれの研修到達目標を達成することが求められます
それ故に研修スケジュールを立てる場合には
そのことを十分に思慮した研修診療科の選択と
ローテーションする時期の設定が望まれます

聖マリアンナ医科大学病院群の研修プログラムでは
研修医個々が自分で研修スケジュールを立て
研修のどの時期にどの研修到達目標を達成する予定であるのか
事前に計画するところから始まります

今回マッチされた研修予定者の皆さんには
その元となる研修スケジュールの原案をあらかじめ提出していただきます
これを参考にオリエンテーション期間中にそれぞれの研修スケジュールを立てていただきます

実際の研修では
予定に反して達成できないこともあれば
十分に達成できることも想定されます
ときには研修途中で研修スケジュールを修正することを余儀なくされる場合もあります
その場合でも担当指導医(テューター)とともに見直し
研修スケジュールを変更申請することが可能となります

ぜひ周囲から強制されたものではない自分だけの研修スケジュールを立ててみて下さい
ただし様々な医師法上の制限がありますので注意事項をよくお読みになって記入してください

その上で締切日までに臨床研修センター事務局までお送り下さい
提出締切日は
平成23年3月18日(必着)です


マッチング空席待ちにかける研修医と指導医

2011-02-24 10:54:16 | Weblog
マッチングが終わって本学の研修プログラムも高いマッチ率だったわけですが
実は国家試験が終わるまで本当は安心できません

研修医の立場で言えば当然国家試験に合格しないと診療できないわけで
それはそれで大変です
そして指導医側からすると
もちろん研修を指導する立場ですが
病院における診療スタッフとして期待が大きい研修医が
実は国家試験で合格できないとなると大切なスタッフに欠員ができるわけで
これはこれで大変です

マスコミや厚労省は最終的な研修医数も研修プログラムの善し悪しの指標にします
でも
それってちょっと困った指標です
マッチさせた学生に大きく左右される要因なわけですから
うん

ところが一方で興味深い学生の動きがあるようで
マッチングで希望する病院にマッチしてない場合
国家試験発表後にマッチングの活動を再開すれば
実は空席に滑り込むことができるわけです

もちろんマッチング協議会も実情は把握しているので
マッチした病院の変更は基本的にできない仕組みになっています
それでもちょっと操作して研修医がマッチした病院をキャンセルして
違う病院に変更しちゃうと
現状では変更を受けた病院は処罰を受けます
たしか次年度のマッチングへの参加ができないはず

でもなぜかその研修医側には処罰はないのです

これは不思議なことです

だから最初からアンマッチのまま今も空席待ちの医学生がいるらしい
よっぽどその病院で研修したいんだな~って
感心しますが
ちょっと不安もあるんだろうな~って同情もします

ところで
今年は家庭の事情で複数の医学生がマッチを取り下げてきました
正直困惑です
とても期待していたのでなんとか考え直して~って懇願したかったのですが
笑顔で了承しました

国家試験発表前にすでに空席ができたわけで
正直つらいですね

これも研修プログラムの善し悪しとして受け止められちゃうのかな~

思い詰めた彼らの顔を見ると気にするなよ
また研修する気になったら希望してくれよ
なんて送り出しましたが
ボクの顔は笑顔だったのかな
彼らを追い詰めるような顔していなかったかな?って
今になって反省です

だから
何年経過してもマッチング担当者の心労は絶えないのです

うん

文献管理支援ツール

2011-02-23 13:01:50 | Weblog
研修医の皆さんは研修到達目標にこんな項目があることはすでにご存知ですよね?
行動目標として
チーム医療の実践と自己の臨床能力の向上に不可欠な症例提示と意見交換を行えること
患者の問題を把握し、問題対応型の思考を行い、生涯にわたる自己学習の習慣を身に付ける
そのため情報収集を行える
それを管理できる
研究や学会活動に関心をもつ
などなど

当然知ってるよ~って言われるとは思いますが
では実際にどのように修得していますか?
こら~動揺するな~

聖マリアンナ医科大学の医学情報センターにアクセスすると
明日から役立つ素敵なツールが手に入ります

まず文献検索といえば医学生でも知ってる
そうGatewayのあの画面
様々な文献検索の画面に入ることが出来ます

例えば医中誌やPubMedなんて有名です
医学生でも結構使いこなしていることもあります

では折角検索した論文はどのように保存していますか?

以前このブログ内でもEndNOTEのような文献管理・論文作成ソフトの紹介をしましたが
わずかに今年一人の研修医に聞かれたくらいで
あとは・・・・・・・って感じで

でも確かに研修医が購入するには高い・・・・
Ver.upも高かった・・・・

ところがそんな研修医も安心して使えるツールがあるんです
それがGatewayの画面にもあるRefWorksってソフト

何それ?って・・・・・・

簡単にいうと
文献検索するでしょ?それをWeb上で自分だけのデータベースとして保存できるわけ
しかも文献を整理したり
集めた文献を使って論文を書くときにはちょっとクリックすれば勝手に参考文献として並び替えてくれる
などなど
しかもですよ~
聖マリアンナ医科大学学内だけでなく
学外からもアクセスできるし自宅でもアクセスできるって優れもの

ま~EndNOTEと違ってfulltextが張り込めないとかちょっとした使い勝手の差はあります
でも多くの教育機関で導入されています

医中誌から検索してそのまま自分のデータベースに送ることもできるし
RefWorksからPubMedにアクセスできるので
自宅でもサクサク検索

これを聞いた研修医I先生
「げ!なら自宅でも文献検索できるわけで言い訳できないッスね」
そりゃ~そうだ
「じゃ~パソコンがないって言わなきゃ・・・・・」
おいそこまでやるか

あとPubMedも最近top画面変わったようですが
そこにMyNCBIっていうのがあって
これに登録すると
自分の興味ある分野に関連した論文が自分の指定したタイミングで
メールに送られてくる(らしい・・・・今登録して実験中)

忙しいとすぐにタイミングを失うけど
これって指導医にも研修医にも便利なツールでしょ?

でもこの便利なシステムもまだまだ知られていないって情報センターの方も言ってました
なんでも前に学内で説明会も行っているってことだったけど
ボク知らなかった

そこでいろいろ担当の方に聞きながら
今回ちょっと頑張って研修医先生向けのマニュアルを作成しました
これを見れば初心者でも十分にアクセス出来て
あとはお試しでいろいろできるって感じにしてみました

まず金曜日にモーニングレクチャーで紹介してみて
その後は臨床研修センターに言えば手に入るようにしたいと思っています

もちろん指導医の先生も使えます

直接メールを頂ければお送ります
宛先はtama-rinsho-kenshu@marianna-u.ac.jpでお願いします

指導医徒然日記 ~赤バッチと指導医~

2011-02-22 15:37:05 | Weblog
先日まで研修医のポートフォリオを読み込みました
その前に研修センターに呼び出され読み込みのための指導を受けましたが
赤バッチを持っていればレクチャーは短時間で
すぐに作業に入ってもいいとコメントされたので
早速読み込み作業に移りました

でも・・・・
青バッチの指導医の先生も同じように読み込むとなると
この差は何なのかちょっとわからず

赤バッチはテューターになる資格と理解していたし
読み込み作業においても責任あるように説明を受けましたが
もうちょっと明確な差があるとわかりやすいのかも知れないなと感じます

きっと
赤バッチをとるという過程までが
ある程度教育的な観点を重要視した指導医の養成になっているということなんでしょうか

取得して損だと思ったことはありませんが
もう少し研修医や医学生にもアピールできないかなと感じる次第です

はい

解説:医師の臨床研修における修了等の基準に関する提言より その2

2011-02-21 22:36:38 | プログラム解説
医師の臨床研修における修了等の基準に関する提言より

臨床研修の到達目標(臨床医としての適性を除く)の達成度の評価

研修の達成度の評価においては、あらかじめ定められた研修期間を通じ、各到達目 標について達成したか否かの評価を行い、少なくともすべての必修項目について目標を達成しなければ、修了として認めるべきではない。
個々の到達目標については、研修医が医療の安全を確保し、かつ、患者に不安を与えずに行うことができる場合に当該項目を達成したと考えるべきである。

臨床医としての適性の評価
管理者は、研修医が以下に定める各項目に該当する場合は修了と認めるべきではない。
なお、臨床医としての適性の評価は非常に困難であり、極めて慎重な検討が必要である。原則として、当該研修医が最初に臨床研修を行った臨床研修病院においては、 その程度が著しい場合を除き臨床医としての適性の判断を行うことは困難である。少 なくとも複数の臨床研修病院における臨床研修を経た後に評価を行うことが望ましい。
(1)安心、安全な医療の提供ができない場合医療安全の確保が危ぶまれる、あるいは患者との意志疎通に欠け不安感を与える
場合等には、まず、指導医が中心となって、当該研修医が患者に被害を及ぼさない よう十分注意しながら、指導・教育すべきである。十分な指導にも関わらず、改善せず、患者に被害を及ぼす恐れがある場合には、未修了、中断の判断もやむを得ないものとする。
一般常識を逸脱する、就業規則を遵守できない、チーム医療を乱す等の問題に関しては、まず当該臨床研修病院において、十分指導・教育すべきである。原則とし てあらかじめ定められた臨床研修期間を通して指導・教育し、それでもなお、医療 の適切な遂行に支障を来す場合には、未修了もしくは中断とすることもやむを得な いものとする。
また、重大な傷病によって適切な診療行為が行えず医療安全の確保が危ぶまれる、 あるいは患者に不安感を与える等の場合にも未修了、中断の判断もやむを得ない。 なお、傷病又はそれに起因する障害等により当該臨床研修病院では研修不可能であ るが、それを補完・支援する環境が整っている他の臨床研修病院では研修可能な場 合には、管理者は、当該研修医が中断をして病院を移ることを可能とすべきである。
(2)法令・規則が遵守できない者 医道審議会の処分対象となる者の場合には、「行政処分を受けた医師に対する再
教育に関する検討会」の議論に基づく再教育を行うことになる。再教育にも関わら ず改善せず、患者に被害を及ぼす恐れがある場合には、未修了、中断の判断もやむ を得ないものとする。

解説:医師の臨床研修における修了等の基準に関する提言より

2011-02-20 00:40:36 | プログラム解説
すでに臨床研修が必修化されて久しい
平成18年3月に初めての修了者を出してから早くも6年目となる
見直しもされ研修スケジュールには柔軟性がみられるようになってきた
一方で研修到達目標や研修修了判定基準に関しては
現状のままであり
まずしっかりと制度を確立しようと意図も感じられる

臨床指導医養成WSもそれぞれの臨床研修病院で行われ
臨床研修においては臨床指導医がその任にあたるように明確に規定されるようになった
よって指導医はますますその責任が重くなっていると受け止めなければならないと考える

そこで
あらためて臨床研修における修了判定について確認するために
師の臨床研修における修了等の基準に関する提言をご紹介します

はじめに
医師の臨床研修については、平成12年の医師法の一部改正により、平成16年4 月より新たな臨床研修制度が開始され、昭和43年のインターン制度廃止以来36年ぶりに抜本的な改革が行われることとなった。すなわち、診療に従事しようとするす べての医師は、臨床研修を受けなければならない(必修化)こととされ、また、これに併せて、臨床研修の内容の検討を進め、医師が、適切な指導体制の下で、医師としての人格をかん養し、プライマリ・ケアを中心に幅広く医師として必要な診療能力を効果的に身に付けることができるものとすることとされた。

医師の臨床研修の修了に関しては、研修管理委員会が、研修期間の終了に際し、臨床研修に関する当該研修医の評価を行い、単独型臨床研修病院又は管理型臨床研修病院の管理者(以下「管理者」という。)に対し、当該研修医の評価を報告しなければ ならないこととなっている。
そして、管理者は研修管理委員会の評価に基づき、研修医が臨床研修を修了したと認めるときは、速やかに、当該研修医に対して、臨床研修 修了証を交付しなければならないこととなっている。

修了の評価・認定についての基本的な考え方
各臨床研修病院の指定審査の際には、臨床研修協力施設を含む研修プログラムや指 導体制等が、医師としての人格をかん養し、幅広く医師として必要な診療能力を身につけることができる内容であり、指定基準を満たしているということが既に確認され ている。
従って、評価・認定に当たっては、各研修医があらかじめ定められた臨床研修の期 間、研修プログラムに則った研修を行い、臨床研修の到達目標が達成されていれば臨床研修を修了したと認定することが適当である。
研修医の評価を行う際には、各分野における評価については担当指導医等が、研修期間を通じた評価についてはプログラム責任者が行い、最終的な評価を研修管理委員 会が行う。そして、研修管理委員会の評価に基づいて、管理者が臨床研修の修了を認定することとなっている。臨床研修を実施している間、指導医等の研修医の指導にあ たる者は、適宜、各研修医の研修の進捗状況を把握・評価し、修了基準に不足している部分を補い、あらかじめ定められた期間(2年)内に臨床研修を修了することができるよう配慮する必要がある。
研修修了の判断にあたっては、実際の研修実施期間の評価及び臨床研修の到達目標の達成度の評価に分けて評価を行う必要がある。なお、最終的な認定に当たっては絶対評価を用いることとすべきである。

評価・認定等における関係者の役割
指導医について
指導医は、自分の担当する各研修医ごとに臨床研修の到達目標の達成状況を把握し、担当分野の研修期間終了後に、研修医の評価をプログラム責任者に報告することとな っている。評価にあたって指導医は、研修医の指導を行った、あるいは研修医と共に業務を行った医師、看護師その他の職員と十分情報を共有し、それぞれの評価を把握した上で、責任を持って評価を行うべきである。 また、指導医は研修医とよく意志疎通を図り、実際の状況と評価に乖離が生じないように努める必要がある。 一方、研修医による指導医の評価も、指導医の資質の向上に資すると考えられることから、実施することが望ましい。 なお、臨床研修協力施設等における研修実施責任者や指導者についても、指導医と同様の役割を担うべきである。

さて本学ではこのようになっている

臨床研修管理委員会のもとに臨床研修センター運営委員会があり
研修プログラムに準じて
本院と横浜西部病院そして川崎多摩病院にそれぞれ研修を管理する委員会が常設されている
今年度は研修プログラムが分かれて最初の修了者を判定すべく
西部病院も多摩病院もそれぞれ準備を行っているところである

本学ではポートフォリオ評価を行っているため
まず研修医は自分の担当テューターに作成したポートフォリオを見せ
最終的なサインを受ける必要がある
その上で臨床研修センターに期日までに提出しなければならない

提出されたポートフォリオは1ページごと事務職員が確認して
提出されるべき書類がすべて挟み込まれているか
一度はテューターがチェックしたものを修了判定書類に確認して記入していく

内容は研修診療科ごとに評価をA~Dごとに項目数をチェックして
さらに自己分析を1年につき3例で2年間で6例分
またSignificantEventAnalysisを2年で2例分振り返りを行っているか
そして法律で定められている臨床病理検討会への参加回数などが示されている

ポートフォリオ読み込み期間になると
研修医一人に対して二人の臨床指導医が指名され
読み込み作業に入る
読み込み作業では臨床指導医が作成されたポートフォリオの質を確認する
ポートフォリオは単なるログファイルではないため
その質が担保されなければならない
単に字が綺麗であるとかファイルが整えられているということではポートフォリオとは見なされないことは
すでに本学の研究でも明らかとなっている
このポートフォリオの質の確認を行った上で
修了判定書類に修了をみなすかどうか判定していく

もちろんこの課程でさまざまな質のポートフォリオを遭遇するが
現時点ではその内容で研修未修了とはできないのも事実である

このようにして本学では修了判定を行っている
単に研修到達目標を意識させるだけでなく
ある課題を課してそれを達成するというパフォーマンス評価がひとつの特色と考えている

臨床現場における指導のポイント~指導医ガイドラインより~その2

2011-02-19 23:11:30 | 医学教育
今日もまた指導医ガイドラインから紹介する

今日のテーマは臨床における指導方法である
臨床教育にあたる教師(指導医)はいろいろな技法を用いて指導しているはずである
畑尾先生はそれら6つの技法に整理して紹介している
その中で
指導医が用いる技法がどれかに偏ると学習者である研修医への教育的効果も偏るので注意するように紹介している
多様な技法をバランスを考えて用いるように心がけることがコツといえる

1.問題解決者Problem-Solver
研修医に問題解決の過程(観察、問題の感知、仮説設定、検証、評価)を教える
【過度に用いすぎた場合】
研修医は臨床技能(患者との関係を深めたり、知識をより深めるなど)と関連づけずに、診断過程を覚えてしまう。
【全く活用しなかった場合】
研修医は診断過程や論理的枠組みを無視して、臨床をするようになってしまう。

2.模範・お手本を示す RoleModel
研修医に自分の価値観や生活態度を最善のものとして模範を示す。
【過度に用いすぎた場合】
指導医が踊ってしまい、研修医は観客になる。
【全く活用しなかった場合】
研修医が将来つくらなければならない自分自身の生活態度について、関心を育てるためのモデルを与えない。

3.臨床管理者 Clinical-Supervisor
研修医の個性は無視して臨床能力に焦点をあてて研修医の学問的及び感情的なレベルに管理的に・矯正を促すようなフィードバックをかける
【過度に用いすぎた場合】
研修医は否定的なフィードバックを多くかけられ、新しい技術の習得に臆病になり創造性を失い、結果的に自信をなくす。
【全く活用しなかった場合】
研修医は長所と短所を混同し、どこを直せばよいのかわからなくなる。

4.巻き込む Involver
研修医を自分の診療活動に巻き込む。研修医の能力を信頼して、患者もスタッフも研修医の教育に巻き込む。
【過度に用いすぎた場合】
研修医の能力を超える危機にさらす。
【全く活用しなかった場合】
研修医は自分の能力に自信を持てなくなる。

5.促進者 Facilitator
研修医が自分の学習に責任を持つように、自分で自主的に意思決定し目標をつくるように促す。研修医は通常、支持的な態度で接する。
【過度に用いすぎた場合】
研修医は不満を起こす。
【全く活用しなかった場合】
研修医は無視されたと感じ、責任をとらなくなる。

6.資 源 Resource
研修医に細かい内容の知識を授け、学習者の態度・行動についても基準を示す。
【過度に用いすぎた場合】
指導医と研修医のレベルの差を固定し、いつも完成された知識、回答を指導医から入手しようとして、自分で知識や情報を統合したり応用することができなくなる。
【全く活用しなかった場合】
患者の問題を理解しようとしても、知識、情報、データ不足に不満を起こさせる。

よく読み返すとこれらの指導的立場は頷ける
確かに臨床現場で様々な状況で研修医に指導している自分の立場が示されているからである

どれかに偏り過ぎてもいけないというポイントは意識していなければいけないのであろう