聖マリアンナ医科大学病院臨床研修Blog

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指導医徒然日記 ~ポートフォリオで自己評価を促す~

2011-09-06 21:32:31 | ポートフォリオ評価
先日ふとしたきっかけでポートフォリオ評価の話になった

『ポートフォリオ』は方略(学習方法)として適切か?という内容
つまり医学教育に活用できるツールはいろいろあって
教育分類学的に解説すると
この『ポートフォリオ』はどのような目標を達成するのに適しているのですか?と質問されたわけです

『ポートフォリオ』は評価だから
『ポートフォリオ』で学習というのはおかしいという指摘だったのです
以前はたしかに抱いていた疑問ではありましたが
今は少し詳しく解説出来そうだったので説明させていただき
無事解決
『ポートフォリオ』作りは学習方略になりうるという結論になりました
よかった

さて
ここで注意しないといけないことは
医学教育だけでなく『ポートフォリオ』という単語の意味です
さまざまな場面で使われる『ポートフォリオ』ですが
少なくとも『ポートフォリオ』は学習者(この場合研修医ですが)が
研修において収集したさまざまなものを挟み込んだファイルそのものを示しています
このファイルが単なるファイルなのかそれとも『ポートフォリオ』と言えるものか
その区別は挟まれている中身によります
きちんとした研修の成果を示す証拠であって
しかも自分の成長
つまり研修によって弱かった部分がこのように変わったとか
このように自分の強みなったと確実に証明できるような内容であるかということ
さらに
自分自身で収集したものをあらためて分析して
自分で確認していることです
少なくともその確認作業・分析作業によって
今後の自分の研修になんらかの影響を与えていることが見えなければいけません
つまりこの確認作業や分析作業がなく
たんに評価表が挟まれているだけなら
これは研修ファイル(ログファイル)になってしまいます
『ポートフォリオ』ではないことになります
だから『ポートフォリオ』だというには
その定義に当てはまっているか検証しておかなければいけないというのは
大事なポイントとなります

さらに
この『ポートフォリオ』にテーマをあらかじめ設定して
研修期間中に提出させるスタイルの『ポートフォリオ』というものがあります
簡単な例では
研修中の症例を通じて自分なりにまとめて文献検索したり
ひとつの『作品』にして示した場合
これも『ポートフォリオ』というとらえ方をする場合があります

研修評価に活用する意味が強くなると
そこには評価すべき対象
つまり本当に研修して目標を修得できたのかという評価内容が求められるため
これらの証拠が必要となります
このときに文献検索結果や症例レポートや
ときに手術記録や研修状況を示す画像などを挟み込むため
これらを収集した全体的なものを『ポートフォリオ』としている施設もあります
本学は後者になるのだと思います

このようにファイルとしての『ポートフォリオ』そのものにも
このように2種類あることがわかります

さらにこの『ポートフォリオ』を読み込み
実際に学習者がどのように成長していくのか
定期的に読み込み作業を行いながら
最終的に評価を行うのが『ポートフォリオ』を活用した評価となります
この評価にも
『ポートフォリオ』だけの読み込みで評価するものや
そのほかの評価方法たとえばテストや小論文
手技の評価としてのminiCEXなどを挟む
こういうPerformanceを課した総合的な評価をする場合も
『ポートフォリオ評価』になります

これらがすべてごちゃごちゃになって
研修に『ポートフォリオ』を活用している
だから『ポートフォリオ評価』をしているって表現になってしまいます
よくよく注意しないといけません

いずれにしても
結論的には『ポートフォリオ』を作成すること
この作成過程においてリアルタイムに自己評価が促されるわけで
学習方法だっていう考えは基本に変わらないのです
うん

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