ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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THEペット法塾の、京都市猫餌やり禁止条例についての申入書

2015年03月17日 | Weblog

 

 3月20日に本会議で採決が予定されている、京都市猫餌やり禁止条例について、THEペット法塾代表の植田勝博弁護士は、京都野良猫保護連絡会と連名で、京都市に申し入れをした。全文は以下の通り。

 

京都市条例についての申入書

 

                                                            平成27年3月15日

京 都 市 長

  門 川 大 作  様

京 都 市 市 会 議 員  各位様

公益社団法人 京都市獣医師会  御中

関 係 各 位  様

 

                                          THEペット法塾 代表弁護士 植田勝博

                                京都野良猫保護連絡会

 

申入の趣旨

7 京都市条例を白紙に戻すことを求める。

8 野良猫を保護し、野良猫の餌やりボランティアの活動の制限をせず、官民一体で野良猫問題を解決する条例の制定を求める。

 

申入の理由

1 京都市は、「京都市動物による迷惑等の防止に関する条例」(内容:野良猫餌やりを禁止・制限する条例)を近日中に制定すると聞き及びます。

2 京都市の「京都市動物による迷惑等の防止に関する条例(案)」の骨子のパブコメについては、合計3005通で、条例案に反対97%、賛成3%の報告がされています。行政手続法に沿った民意による行政手続の趣旨からすれば、同条例案は一旦白紙に戻されるべきです。

3 京都市条例案の内容、及びその問題は次の通りです。

一 「所有者のいない動物(野良猫を含む)に餌やりをするについては、ア 適切な方法により行うものとし、周辺の住民の生活環境に悪影響及ぼしてはならない。イ 市長は適切な給餌の方法の遵守の基準を定める。」

二 「アに違反したとき、イの基準に従わないとき、(生活環境に支障を生じさせたときは)、勧告、命令、罰則を課する」

三 「餌やり(野良猫餌やり)の届出制、登録制を検討する」とする(平成27年3月10日京都市「京都情報館」)。

* 京都市が従来示している「まちねこ支援事業」の野良猫餌やり基準は、①3名以上の団体を作る。②町内会の同意を得る。③猫用トイレの管理や猫の生息状況の把握などをし、飼養が可能な私有地内に設定する。

〔京都市条例案の問題〕

①  所有者のいない動物に餌やりをすることは基本的に自由な行為であり、本来自由である筈の所有者のいない動物への餌やりを、条例で市長が「基準」を定めて事前に規制ないし禁じることは、憲法13条の自由権、幸福追求権を侵害する不当な人権侵害である。京都市は、動物餌やりを全て、市長、行政の枠内で管理しようとする。動物と人との自然的関係の基本権を侵害する。

② 行政は迷惑な野良猫を殺処分してきた。野良猫の保護と共生は、従来、野良猫餌やりのボランティアにより、野良猫保護、TNRによって、野良猫問題の解決に取り組まれてきた。

③ 野良猫餌やりは正しい行為であり、動物愛護管理法に基く合法行為である。

   THEペット法塾が国会に求めた法律は、平成24年8月改正動物愛護法により、「殺す行政」から「生かす行政」へと転換し、行政は殺処分を目的とする野良猫の引き取りをしないこと(法35条、附帯決議8項)、野良猫を生かすについては、従来の猫餌やりが築いてきた「地域猫」活動を、官民一体で行う(付帯決議8項)とした。そして、猫の遺棄、猫を殺傷することを厳罰化した。

  野良猫保護は、①まず猫への餌やりである。野良猫の命への思いから、自分で餌を買い与え、生かし、②避妊去勢をして、③世話をしてきた。これが地域猫活動であり、官民一体で野良猫保護をすることを改正動愛法の基礎とした。猫餌やりは、動物の命を生かし、野良猫をなくし、地域、社会のための活動である。

  京都市条例は、野良猫を保護する猫餌やりが迷惑の原因とする誤った考えが優先し、野良猫の命への思いはなく、地域での野良猫との共生の姿勢が全く認められない。

④ 猫餌やりについて、京都市が検討する登録制、届出制は、原則、猫餌やり禁止制度である。登録制(例、貸金業規制法によるサラ金・ヤミ金のサラ金地獄をなくすため登録制、現動物愛護法・第一種動物取扱業の登録制)、届出制(旧動物愛護法・動物取扱業の届出制。現同法・第二種動物取扱業者は届出規制)は、無登録、無届け野良猫餌やりを規制、禁止する制度である。

  京都市条例は、餌やり行為を、反社会的ないし違法な行為とし、行政の監視下に置き、国民ないし市民の動物愛護の自由を否定する。

 目の前にいる餓死するような野良猫に、基準違反、無届け、無登録の餌やりとして、禁止、規制することは、野良猫の排除と「形を変えた殺処分」と言える。

⑤ 京都市条例は、野良猫問題の原因は猫餌やりにあり、猫餌やりを反社会行為、犯罪的行為として制限禁止をし、個人ボランティアではできない条件を課してこれを満たしたときのみ禁止を解くとの内容である。地域猫は「猫餌やりのボランティアのためにしてやる」との誤った措置である。京都市条例は、従来の「殺す行政」の延長上にあり、野良猫餌やりの自由を奪い、愛護と言いつつ、動物への餌やりを規制し、野良猫を排除し、野良猫保護を規制し排除(殺す行政)する。「形を変えた殺処分行政」である。

 

1 私達は次のことを京都市に求めます。

① 野良猫を保護し、野良猫の餌やりボランティアの活動の制限をせず、官民一体で野良猫問題を解決する条例の制定を求めます。

② 京都市の野良猫の苦情は、過去3年間で、約700件の苦情が300件以下に半減している。これは猫餌やりなど野良猫問題に取組んできた市民の力によります。京都市の野良猫行政は、野良猫を保護せず、野良猫問題の解決に取組んできた市民を排除して、野良猫解決の基盤を潰すものです。

  過去の野良猫問題解決は、市民、地域、行政が一体で、現場のボランティアと協議をして避妊去勢が完了すれば、それ以上の野良猫発生は基本的になく、後は、ボランティア、地域住民の参画、協力により野良猫の餌やり保護を継続すれば10年程度で野良猫問題は解決するとの報告があります。

③ 京都市の虚偽公報などは不適切です。

a. THEペット法塾の、京都市パブコメへの意見、及び平成27年2月7日の「京都市条例案は形を変えた殺処分」の全国集会にて、「野良猫に冷たく、動物愛護管理法等に反し、地域猫に違う、誤った条例が作られないよう、動物愛護管理法、京都動物愛護憲章に沿った条例の制定を求めた」集会宣言に対して、京都市は、平成27年2月12日付京都市広報(京都市情報舘)にて、「当団体が全国に誤った情報を流したことにより誤解をさせた」旨の虚偽の公報がされました。その後、京都市は、公報の日付を2月6日付に遡らせる公報がされました。

    京都市の虚偽公報は品位と信頼性を著しく損なうものです。

b. 京都新聞 2015,3,9記事「京都市動物迷惑防止条例」について、「(THEペット法塾の意見)ペット愛好家等」とする。問題は、単なる「猫好き」ではない。動物の命と人と動物の共生という人類の基本を歪曲している。「市民意見は3000通以上にのぼり、関心の高さをうかがわせる」とするが、パブコメの条例案反対97%、賛成3%の市民意見が適正に報道されていない。

c. 京都市議会佐々木議員のネットでは「テロリスト的」と評価されています。

  THEペット法塾の、動物に対する人の基本的人権、動物の命、人と動物の共生の動物愛護法に遵じる活動を「テロリスト」とされますが、京都市議会、京都市行政に対して、憲法、動物愛護法、京都市動物愛護憲章「人にも動物にも心地よいまちへ」を遵守することを求めます。京都動物愛護憲章とは真逆の猫餌やりを事前規制し、野良猫に冷たく、動物を排除する条例であり、白紙とすべきです。                  

④ THEペット法塾の主張

 「野良猫は私達と共生する動物であり、なにより、地球上で生きる同じ命をもった動物であり、私達は、命に対する畏敬をもって猫との共生をすることは、法律に基く私達の責務です。野良猫の命への畏敬、愛護、共生をすること。共生とは社会が野良猫を受け入れて愛護し、人と野良猫が共に生きることのできる社会にすることです。餌やり行為は正しい行為です。新たな野良猫を発生させないことに努めます。野良猫問題は、地域の問題として、行政がその責任の核となり、地域住民が問題の責任を担うものとして、行政、地域住民と共同、協力して終生の保護に努め解決します。私達は、動物愛護管理法にそった、野良猫保護と地域猫の官民一体による野良猫問題の解決を目的とする条例の制定を求めて活動をすることを目的とします。」

ア 野良猫を受け入れる社会こそが、成熟した社会、品格である。京都市は野良猫の受入を拒否する旧態の排除行政で、「動物にも心地よいまち」ではない。

イ  野良猫を受け入れることは、猫餌やり禁止、届出制、登録制は許されない。行政は、野良猫の餌やりの活動を尊重し理解し支援すること。これにより支障が出たときは是正措置を設けるものとする。基本的には罰則を付けるものではない。猫餌やりはそれ自体基本的に正しい行為であり、地域社会の責任として野良猫を保護することを基本として速やかな解決をすべきである。

ウ 事前規制や罰則で地域猫の核である猫餌やりを禁じることではなく、まず野良猫を餌やりで保護し、そこから発生する地域環境の問題は、啓蒙をして是正をしていくことが道筋である。

 

 写真は、THEペット法塾代表で弁護士の植田勝博氏。(昨年11月に筆者撮影) 


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