ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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おじいちゃんと重ねる安倍首相、安保法制衆院通過

2015年07月21日 | Weblog

 平成二十七年七月十七日付、auの「朝刊ピックアップ」で記事 

 「おじいちゃんと重ねる安倍首相、安保法制衆院通過」

  を企画、取材、執筆しました。

 

 けさの各紙一面は「安保法案、衆院通過」(日本経済新聞、読売新聞、毎日新聞)、「安保論戦、参院へ」(朝日新聞)といった見出しで、昨日の衆院本会議で集団的自衛権行使容認の安全保障関連法案を自民、公明党等の賛成多数で可決した、と報じている。

 政府与党は、「60日ルール」(衆院で可決し、参院に送られた法案が60日以内に採決されなければ参院が否決したとみなす憲法59条の規定。同規定では、衆参の議決が異なる場合、衆院の出席議員の3分の2以上の賛成で再可決すれば法案が成立することになっている)により、9月27日までの今国会中に成立させる考えだという。(毎日新聞より)

 なお、読売新聞によれば、安倍首相は、1960年に激しい反対運動にさらされながら日米安保条約改定して総辞職した祖父の岸信介元首相と自身を重ね合わせ、「祖父は50年すれば必ず理解されると言っていた」と述べ、法案成立に意欲を示しているという。

 16日付の文化放送「くにまるジャパン」でも、政治ジャーナリストの二木啓孝氏は、永田町ではよく「安倍首相は、おじいちゃんのやったことを非常に尊敬している。あのときの安保改定がなければ、戦後の日本の防衛はなかったんだ。だから、国民が批判をしても、どんなことがあっても、やらなければいかん。おじいちゃんもやったんだから。今どんなに批判されても、後世は私を評価してくれるだろう、という風な精神構造でいるんじゃないか」と言われている、と語っていた。

 また、一昨日、衆院の委員会で強行採決したのも、7月15日は岸元総理がまさに内閣総辞職に追い込まれた日のため、55年前に国会を取り巻くデモ隊の怒号の中で岸内閣が総辞職した無念を晴らすために、この日を採決日にしたのではないか、という指摘もある。

 これに関連してアニメーション映画監督の宮崎駿氏は7月13日の記者会見で、こう語っている。「安倍首相は、自分が憲法解釈を変えた偉大な男として歴史に残りたいと思っているのだと思いますが、愚劣なことだと僕は思っています」「中国は、膨張せざるを得ない内圧を持っています。それをどういうふうに時間をかけてかわすかというのが、日本の最大の政治的課題だと思います」「軍事力で中国の膨張を止めようとするのは不可能だと思います。もっと違う方法を考えないといけない。そのために、私たちは平和憲法をつくったんだと思っています」

 なお、各紙によると、60日ルールにより、安保法案の成立は確定的だという。だが、同じようにゴリ押ししている新国立競技場の建設は、ここにきて急に見直す動きがでてきている。安保法制も土壇場でひっくり返る可能性はゼロではあるまい。

 ただでさえ、来月は原発再稼働が予定されており、9月には自民党総裁選もある。すでに強行採決前日には、現地方創生担当大臣の石破茂氏が「国民の理解が進んでいるかどうかは、世論調査の通りだ」「あの数字を見て、国民の理解が進んだと言い切る自信はない」と発言した。昨日の本会議採決直後に安倍首相と並んで拍手をしている石破氏の表情も険しい。もともと石破氏は、正々堂々と憲法改正すべきという持論を持っている人物。安倍政権のやり方に怒っているようにも見受けられる。

 もしも総裁選に石破氏が立候補すればどうなるだろうか。石破氏は、安保法案は改正して、憲法改正で堂々と国民に問うことを約束するかもしれない。(佐々木奎一)


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