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バイオ・微生物実験好きな管理人による、研究仕事、日常、実験技術や理科系ネタのブログ

朝型さんと夜型さん

2006-02-14 19:54:48 | サイエンストピック


「私夜型なんだよねー」「えー俺起きてられないや」

そんな会話を一度は交わしたことがあるはず。
実はこれも遺伝子の作用のせいかもしれません。

体内時計の遺伝子、朝の作動が重要…理研チームが発表 (読売新聞) - goo ニュース

 ほぼ24時間周期のリズムを刻んでいる哺乳(ほにゅう)類の「体内時計」は、異なる時間に働く16個の時計遺伝子によって制御されているが、朝に働く遺伝子のオン・オフ(活性・停止)が正常に作動しないと、周期リズムが消滅してしまうことを、理化学研究所などの研究チームが突き止めた。
 睡眠障害などの治療薬開発につながる成果で、12日付の専門誌「ネイチャー・ジェネティクス」電子版に発表された。

 16個の時計遺伝子のうち9個は、朝の時間帯に働く。同研究所発生・再生科学総合研究センターの上田泰己チームリーダーらはこれまでの動物実験で、「朝型」遺伝子を働かなくすると、昼や夜に働く時計遺伝子にも影響し、細胞全体の周期リズムが消えてしまうことを確認している。

 今回、同センターと米スクリプス研究所は、朝型の時計遺伝子が常に働いている状態にして影響を調べた。

 その結果、この場合も細胞の周期リズムが消えることが判明。研究チームは、朝型の時計遺伝子の「オン」「オフ」の正常な切り替えが、細胞の周期リズムを保つうえで非常に重要であると結論付けた。

 体内時計の複雑な仕組みの解明は、睡眠障害の診断や治療薬開発などにつながると期待されている。



朝きちんと起きないと、朝の遺伝子にスイッチが入らず、昼に働く遺伝子も、夜に働く遺伝子もスイッチが入らない。
そうすると細胞がちゃんと一日の時間帯を認識できず、細胞が混乱して周期リズムを失ってしまうということですね。
夜型の人は周期リズムを失っているんですねー。
正常にするためにはやっぱり昼に活動する必要があるのかな?
でも、進化の過程で哺乳類は昼のほうが活動できるようになったわけです。
夜でも明かりがあり、家があり、特に問題なく活動できるようになった人間は、更なる進化を経て、夜型でも正常に細胞が動くようになるかもしれません。
まぁ、それが確立されるのは億年後だと思うんですけど・・・。

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耳かき大好き

2006-02-02 15:24:35 | サイエンストピック
インフルエンザダイエットで3kg減量に成功!苦しみの中にも喜びがあったspirillumです。
2日も待たずに元に戻ったりするんだこれが。精神の期待とは裏腹に。自分の肉体とはいえガッカリですね。

さて、インフルエンザ中に耳かきフェチとしては捨てがたいニュース。



耳あかの型は1塩基が決定 乾燥タイプは“突然変異” (共同通信) - goo ニュース
乾燥したタイプと湿ったタイプの2つがある人の耳あか。どちらのタイプになるかは、遺伝情報を担うDNAの塩基配列の、たった1カ所の違いで決まることを新川詔夫長崎大教授(分子医療)らが明らかにし、29日付の米科学誌ネイチャージェネティクス電子版に発表した。

実は、耳あかは本来湿っているもので、乾燥したタイプは耳あかではなく、単に皮膚がはがれたもの。乾燥タイプの人は耳あかが出ない“突然変異”で、日本人は約8割がこのタイプだという。
新川教授らは、日本人126人の塩基配列を調べた。その結果、ある1カ所の塩基が変異した遺伝子を両親双方から受け継いだ人は「ABCC11」というタンパク質が合成されず、耳あかが出ないことを突き止めた。
さらに、世界の33民族、計約3200人について調べたところ、耳あかの出ない人は日本を含む北東アジアに多く、南方や欧米、アフリカに行くにしたがい徐々に減ることも判明した。

おおー。カサカサタイプは突然変異だったのですね。
日本では80%がカサカサ耳垢・・・というか唯の皮膚。身体の垢と一緒。
真の耳垢の人のほうが珍しいという状態。
こんなところで人類のルーツをたどれるとは。
劣性遺伝子(表現型として現れるには同じ遺伝子が2つ並ぶ必要がある)なのかな、両方がカサカサじゃないといけないということは。

耳のためにはどちらの状態がいいのかな?
カサカサしか体験したことのない私、耳かきフェチです。
取るという行為も好きだし、取っている間は夢見心地・・・。
カサカサだと掃除し辛いんですよ。まとまって取れないというか・・・。
しかもしょっちゅう掃除してるもんだから、余計に大物に出会えず悲しい思いばかり。
巷では究極の耳かきが登場してるのですが、ご存知ですか?
ワイヤー耳かき。(Google)
この商品宣伝の写真で「ありえない!」っていうほどのものがあるのですが、これ位取る体験が出来たら死んでも悔いはないな、って思う私はアホです。

脳と心と現実問題

2005-11-11 07:53:22 | サイエンストピック
今日でとりあえず一週間が終了ですなぁ。
ということで見かけたトピックス。


求愛の相手性、遺伝子が決めていた ハエで確認
2005年11月10日(asahi.com サイエンス)
一つの遺伝子が脳の中で働くか働かないかで、オスに求愛するかメスに求愛するかの行動が変わることを、北海道教育大の木村賢一教授(発生遺伝学)らがショウジョウバエで確認した。そのまま人間に当てはまるわけではないが、ハエでは、ある遺伝子のオン・オフで脳の神経回路網そのものがオス型になったりメス型になったりすることを初めて明らかにしたという。10日付の英科学誌ネイチャーに発表する。

 ショウジョウバエには「フルーツレス(実らない)」という、オスだけで働く遺伝子がある。この遺伝子が壊れたオスはメスへの関心を失い、オスに求愛したりする。 木村さんたちは、脳の中でフルーツレスが働いている細胞を調べ、オスとメスは一部で神経回路パターンそのものが異なることを見つけた。メスの遺伝子を操作してフルーツレスが働くようにすると、オスそっくりの回路ができ、行動の面でも他のメスに対して迫るようになった。

 木村さんは「フルーツレスは哺乳(ほにゅう)類では見つかっていない。人間の性行動は、多くの遺伝子や環境などの要因が複雑に絡み合っているのではないか」と話している。



優陽 の響樹さんに関連するニュースですね。
前の記事にもそんな感じのことが書かれていたような気がします。

科学で最大の謎である、脳と心の関係に一歩一歩近づいています。
心が科学的に解明され、理論付けられることが可能になったら、人間は生きていくのがつまらなくなるかもしれませんね。


はあー今日一日頑張ってこよー!
今日はちょっと論文とかデータとか見るだけ見てまとめてないから、ちょっとまとめの作業に入ろうかな。

何も邪魔が入らなければの話なんですけど。



科学者が語る科学の深遠

2005-04-07 20:23:12 | サイエンストピック
今日は「疎水性」+「カビ」で記事を書こうと調べていたのですが、なにやら面白いサイトを見つけたので紹介。
というより、このサイトを隅々見ようと思ったらすごく時間がかかることに気付いて、
そして更に詳しく見たくなって、

今日のネタにしていたことは後回しに

なってしまいました。(笑)

ということで、サイトをご紹介。
サイエンティストライブラリー

多くの著名な科学者の方々が個人個人のプロフィールや研究内容などを詳しく紹介してくださっています。
中でも「サイエンティストライブラリー:特別編」(メニューページの下のほうにあります)がお勧めです。
非常に面白く拝見しました。
皆さんも是非ドウゾ。


塩素~環境汚染と安全性

2005-03-26 17:53:15 | サイエンストピック
「汚水の塩素消毒」に懸念――発ガン性や生態系への悪影響 (HOTWIRED) - goo ニュース

<前略>
最近、汚水問題でとりわけ議論の的となっているのが、汚水処理の最終段階、すなわち塩素消毒だ。塩素消毒は以前のように当たり前の汚水処理方法とは言えなくなっている。
 塩素消毒は各種の病原菌を死滅させるため、汚水処理場の排水口の近辺で泳いだり釣りをしたりしても、コレラ、大腸菌感染症、レジオネラ症などの病気にかかることはない。米環境保護局(EPA)によると、塩素消毒は現在も広範囲で実施されており、塩素は全米1万6000ヵ所の汚水処理場で今なお最も広く使われている消毒剤だという。
 しかし、有害な細菌を殺す塩素の毒性は、他の生物にも影響を及ぼす。汚水処理場は規定に従い、処理した汚水を排出する前に塩素を取り除いているとEPAは述べているが、実際には100%安全というわけではない。排水には消毒副生成物(DBP)――消毒剤と水中の有機物が反応して発生する化合物――が含まれており、これらの物質には発ガン性があると考えられているのだ。
<後略>


さて・・・・。
塩素というのは細菌や裸の細胞にはとてもきついものなのです。
塩素は酸性条件で塩素気体となり、中性で次亜塩素酸、アルカリ性で次亜塩素酸イオンとなりますが、このうち次亜塩素酸は次亜塩素酸イオンの80倍以上の殺菌力があります。
次亜塩素酸は細胞壁を酸化して壊し、生体内活動酵素を酸化し、活動を停止させます。
魚が塩素に弱いのは、身体を覆っている粘膜系が次亜塩素酸によって酸化されてしまうからだといわれています。

塩素処理によって発がん性物質が発生することはかなり昔から知られていた事実でした。
しかしながら、塩素消毒という殺菌方法、汚水処理だけではなく、色々なところで広範囲に使われていることをこのニュースでは意図的に除外してるのか、それとも本当に忘れているのか。

汚水処理によって放流される水が、直接海洋に影響するのは確かでしょう。
その処理方法に塩素以外のものを使うということは大切かもしれない。
しかし、その汚水処理の前に行われてきた様々な塩素処理のことについては触れていません。

1.塩素処理というのは、水道水を衛生的に私たちのところまで供給するための方法でもある
2.塩素系殺菌料のうち、次亜塩素酸ナトリウム、高度さらし粉(次亜塩素酸カルシウム)は「食品添加物」という地位を確立しており、そのおかげで広く工業的に使用されている
3.2の理由から、次亜塩素酸ナトリウムによる殺菌は、「漂白剤」などとして家庭でも気軽に行われている

ここで大量に使用された塩素で、指摘されている発がん性物質も少なからず発生しているはずなのです。
食品などの有機体と塩素が触れた場合に、必ず。
塩素で殺菌する方法は食品業界で盛んに行われており、機器の殺菌から原材料の殺菌まで幅広く使用されています。
私たちに加工食品を安全に届けるためになくてはならない方法でもあります。

このニュースを主張している人が「水や加工食品が細菌などの微生物で汚染されているのは許せないから、きちんと殺菌しておいてもらわないと困る!」と言っていたら笑えます。
例えば、「こういうところでは使わざるを得ないから、せめて汚水処理だけは違う方法にしましょう」という言い方だったらわかりますし、賛同します。

なんというか、「塩素消毒よくない!」の一方向のニュースの取り上げ方は、あんまりいただけないなと感じました。

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昆虫で研究を

2005-02-20 11:42:19 | サイエンストピック

*注意!
今日の話題は虫が駄目な人は読まないほうがよく、食事時の人はまたあとで来て下さい。



ゴキブリ退治に妙薬? メスの性フェロモン解明 (朝日新聞) - goo ニュース

日本にはびこる2大ゴキブリのひとつ、チャバネゴキブリのオスが引きつけられるメスの性フェロモンが特定された。人工合成したその化合物を使って、1晩に30匹以上のオスを捕まえることにも成功した。オスにしか効かないが、ゴキブリ退治の妙薬として使える可能性がある。
 見つけたのは米コーネル大の元研究員、野島聡さん(現・信越化学工業主任技術員)やウェンデル・ローロフ教授らのチーム。18日付の米科学誌サイエンスに発表する。
 チャバネゴキブリの性フェロモンが存在することは93年に行動観察などで確認されていたが、少量しかない上、壊れやすく、特定が困難だった。野島さんは加熱を抑えた質量分析方法を編みだし、1万5000匹のメスを使って解明した。新しい化合物で、チャバネゴキブリの学名などからブラテラキノンと命名した。

 フェロモンに詳しい佐久間正幸・京都大農学研究科教授は「このゴキブリには性フェロモン以外に、仲間を見分けるものなど数種のフェロモンがあるので、使い方を工夫すれば、メスや子にも効果が上がるはずだ」と話す。


これで家庭用の薬が開発されれば、我が家のゴキブリも激減しそうな、かなり嬉しい研究データが発表です。

毎度毎度、この手の話題を目にするときに思うのですが、昆虫相手に研究をしている人を私は尊敬します。
何を隠そう、私は昆虫がダイッキライです。
正確には、「甲殻類」が苦手です。硬い殻を持った動物で節があるもの。(海老や蟹も含めます。)
このニュースで、15,000匹とありますね・・・。
なまじどういう実験か想像できるだけに、かなり脅威です。
解体したり潰したりするんですよー、ドロドロにしたりするんですよー(多分)。

ウヒー ブルブル

でも、その状態になったあとなら抽出作業は多分できます、私。
なにせ実験好きなもんで。(笑)
毎日新聞社の記事では「最終的に5μgを精製」と掲載されていました。
ということは、5μg÷15000匹≒0.33ng(ナノグラム)=330pg(ピコグラム)/1匹。
グラムに直せば0.00000033g。
それを抽出回収して、解析して、同定して、化学合成する手法を確立して・・・と考えると、なんとも気が遠くなるような作業量であることが想像されます。

野島さんの「熱を抑えた質量分析手法」が確立されたことが、この研究を成功させた鍵。
こういう研究に携わることが出来たら研究者冥利につきるというものです。

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レーザーの質量分析計って熱かかりましたっけ?
学生時代に新機種で触らせてもらったことがあるような。
ちょうど入れ替わりで出てきてしまったのであんまり覚えていないのですが・・・。
ご存知の方いらっしゃいましたら、是非教えてください。
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クローン猫が大売出し

2004-12-24 19:23:28 | サイエンストピック

愛猫のクローンの値段は?
(Hot Wired/2004.12.23)

クローン動物の育種技術は着々と進んでいますが、こういう市場を作り出してしまうとは…。
もちろん、クローン元となるペットを生き返らせたい飼い主が頼んで育成してもらうものですが。
価格は5万ドル。
一方、クローン牛は2万ドル…。

そういえば、テロメアの問題はどうなったのでしょう。
テロメアは、簡単に言うとDNAの中でその細胞の分裂回数を決める領域のこと。
チケットのようなもので、分裂するごとに短くなっていくものです。
短ければ細胞は短命だし、長ければ長命。
クローン動物の作出技術で、はじめの頃問題となったのは短命であるということ。テロメアが短いのです。
もともとの細胞のDNAのテロメアが短いためだと考えられていたと思います。
現在のクローン作成技術では、生まれたばかりな細胞を使うのでしょうか。
植物・微生物系に偏っているspirillumはこの方面に疎い&無知です。
どなたか詳しい方はいませんでしょうか…。



log( )CFU

2004-11-25 22:23:04 | サイエンストピック

このブログのタイトルなのですが。
log( )CFU=対数菌数のことです。
logが対数、CFUはコロニーフォーミングユニット(コロニー形成単位)のことです。
仕事でこの表記をひじょーーーに良く使うので、タイトルにしてみました。


菌というのは1つが2つに分裂し、それぞれがまた2つに分裂し、そんでまた2つに分裂し…
てな感じで倍倍に増えていくわけですよ。
(関係ないけどドラえもんの分裂AA知ってますか?あれは笑える。)
ある時期に100個に到達すると、次には200個になってる。
次には400個。800個、1600個、3200個、6400個、12600個。
そんなこんなで(どんなだ)
菌数を表現したいときには、統計学的に言えば対数で示すのが正しい(はず)。

詳しく知りたい方いましたら、
頑張って調べてくるので、コメントしてみてください。
高校生の宿題とかでも可。
私の宿題にするので。