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バイオ・微生物実験好きな管理人による、研究仕事、日常、実験技術や理科系ネタのブログ

顕微鏡で写真をとるには

2004-12-08 23:44:19 | 菌を顕微鏡で見る

仕事柄、顕微鏡で写真をとることが結構あるんです。
本来は顕微鏡にカメラを固定し、ピントを合わせるためのレンズをかませて設置します。
そうしないと綺麗に焦点の合った写真というのは取れないわけです。

ところで、うちの仕事場では、そんなに綺麗な写真はいらないが、取引先に説明するときに写真が欲しい程度で顕微鏡の写真をとりたがっていました。
ある時ふと思いました。

目で見える→レンズにカメラ近づける→写真撮れる(単純)

顕微鏡の接眼レンズにデジカメを近づけ、目で見るように取れないかなーなんて近づけたり遠ざけたり。
レンズの丸い視野よりも黒い影が中まで入り込まないような距離まで遠ざけるといい感じ。
デジカメのプレビューの解像度が低いのでピントが合ってるか定かではないし、自動のピントあわせもどうやら効かない模様。
まーいいや、と思いながらシャッターを切って、パソコンで見てみたら、……撮れてる。
なーんだ簡単じゃん。
その方法で顕微鏡カメラセット(最低20万円ほどする)を購入せずにすんでいます。
ちなみに、11/26のブログの菌の顕微鏡写真はそうやって撮ったものです。

ところが、この方法は案外思いつく人が少ないようです。
職場の上司にも驚かれ、出入りの業者の方にも驚かれ、更にはその業者さんのお客さんまでがこの方法を詳しく知りたいと言ってきました。

…私以外には、単純馬鹿がいないってことね…、と己の無邪気さというか頭の足りなさというか凹みます。

菌を顕微鏡で見てみよう2

2004-11-26 21:08:23 | 菌を顕微鏡で見る

1の続きです。
菌の胞子についての話しをしていました。

胞子の部分についての拡大画像を載せました。
他の菌体に比べて色が白く抜けています。
これが胞子です。
細胞膜の中で丸くなったもののような感じです。
この菌は元の菌に沿って楕円形に作ってます。

これ以外にも、正円形に作って、周りの細胞膜が両端で閉じたような形

--○---←こんな感じ(A)

のものや、

-○----←こんな感じ(B)

になったりもします。Aは中心に形成(center)、Bは端に形成(terminal)。
色々混じって形成している菌種もあります。

胞子は菌にとって、植物の種のようなもので、
乾燥や、貧栄養などの過酷な環境に耐えることが出来ます。
つまり休眠中です。
適当な条件になるとまた増殖を始めます。
このとき、増殖している菌を指して、「栄養細胞」と言うこともあります。

ちなみにこの胞子、すごく熱に強いんです。
80℃でずーっと熱したって死なない。
衛生管理者から見たら怖い。
でも人間にとって利点だってあるんです。

納豆は典型的な例ですね。
納豆菌はBacillus nattoという菌なのですが、
Bacillus属は胞子形成が特徴の属で、自然界に広く存在しています。
(グラム陽性で好気性なら大抵バチルスを疑う。)

納豆は大豆をワラに包んで発酵させますが、
元々ワラには色々な雑菌が繁殖しています。
でも、納豆菌だけを残したい。
納豆菌は熱に強い。
ゆでます。熱湯でゆでます。ゆでてゆでてゆでまくります。
そのワラを使って大豆を包むのです。
大豆にありつけるのは納豆菌だけです。
納豆菌大豆に繁殖。→熟成(繁殖=たんぱく質がアミノ酸に分解)→納豆完成!
納豆菌は毒素なんて生産せず、人間にとっていいものばかり作り出してくれます。

今スーパーに売ってる納豆は、大抵雑菌がつかないように納豆菌を摂取してるのかな。
水戸に行くことがあれば是非本当の納豆を食べてください。
おいしいですよー。

って、胞子の話しだったのに納豆の話しになってしまった。
ちなみに私は納豆の匂い=菌の匂いと連想してしまうので、食べることが出来ません。
つい最近までヨーグルトもダメでした。
でもヨーグルトは訓練したら食べれるようになったです。
納豆もヨーグルトもいわゆる善玉菌なので、安心して食べてください。





菌を顕微鏡で見よう。

2004-11-26 12:41:04 | 菌を顕微鏡で見る

グラム染色というのがアル。

菌をスライドグラスに乗っけて、乾かして染色するのだ。
菌の細胞膜が染色される種類とされない種類があって、
それである程度分類することが出来る。

この写真の菌は青く染色されたので、陽性。
グラム陽性(G(+))と表記。

ついでにこの写真の中には、菌なのに菌ぽくないやつがいる。
中が白抜けになっているようなやつだ。

これは菌が強くなるために変化した、胞子(芽胞ともいう)。
胞子を作る菌はとても限られている。
だから、胞子を作ってれば更に菌の種類を絞り込むことが出来る。
胞子の作りかたにもそれぞれによって特色がある。
膨らんだり、ふくらまなかったりする。

仕事始まる!(笑)
また。