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音の四季~風の彩

作曲家、しの笛・龍笛奏者、ジャズピアニスト、城山如水の徒然日記。
オカリナ、フルートの事も・・・・

現代人のアニミズム的精神退行

2012年01月18日 | 日常雑感



震災、津波、経済不安、犯罪の多発・・・など社会不安が広がると、時を同じくして広がるのが、妖しげな信心だ。

ことに神社への願掛けなどが繁盛する。

日本人の神社信仰は宗教といえるものではなく、その大部分がレジャーであり行楽である。

正月など行くところが無いから、カップルやファミリーで初詣、と称して神社へ行楽に出かける。子供達は大喜びだ。

しかし神社への参拝客は年々増加しているように見える。

これは日本が平和であるので、行楽場所として文化遺産として整備されてきたことと、「心の時代」が叫ばれていることによると思われる。

しかし「困った時の神頼み」ではないが、なんでもかんでも「神頼み」というのは、明らかに精神的退行といえる。

古代ギリシャに生まれた「哲学」は、アニミズム的神からの決別から生まれた。

すなわち自然現象や運命を神の仕業と捉えていたことから、科学的自然現象と捉えなおしたことによる、「神との訣別」が哲学の誕生であった。

つまり妖しげな神々の世界から訣別し、自然を合理的に捉える眼を持ったことが、哲学の誕生であった。

一転して現代日本の精神状況を見回してみると、神社や妙な神さんを信じる風潮が目に付く。

霊や背後霊がもてはやされたりしている。それもかならず何十万円、場合によっては何百万円という金のかかる祈祷や修行が必要とされる。

こういうのは霊魂ビジネスであり背後霊商売といえる。

この現象は、古代ギリシャの哲学的精神が、アニミズム的神々から訣別したのとは逆の動きをしている。

つまり現代人の精神は、社会不安やストレスなどにより、アニミズム的退行を起こしていると見ることができる。

津波、地震、洪水、社会不安・・・などは自然現象であり、これらの不安から、精神の「アニミズム的退行」に陥るのは、現代人にとっての落とし穴と思える。

「心の時代」を叫ぶのもいいが、「文化遺産・伝統の保存」に務めるのもいいが、精神のアニミズム的退行まで行くと、これはちょっと妙なことになってくる。


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