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心身徒然話

治療家から観た心身や日頃感じた事柄を書きとめました。
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発汗と、その処理

2025-06-26 14:52:36 | Weblog
 暑くなると汗が出るということは、体温を分散する自然の法則です。気候が暑くても、体を動かしても、心理的に気持ちが緊張しても、汗を出すことで体温を調節していて、いつも平温を保っています。また体が草臥れても、頭が疲れても、寝た時に汗が出て、それによって疲労を調整しているのです。このように、生き物は環境の変化に合わせる働きを意識しないうちにやっているのです。

 梅雨の時期は、寝ると首に汗をかき、明け方になって冷えるから、その汗を引っ込めやすいのです。首の汗を引っ込めると体に故障が起こる。例えば、咳がなかなか止まらないとか、手や足が痺れるとか、食欲の異常(食べ過ぎ、減退)とか、また、下痢が続くとか、風邪がなかなか抜けないというのも、首の迷走神経の緊張具合と関連のある胃袋の働きに変化が起こるからです。生理的に頭が疲れると、首に汗が出やすい体癖の人は、特にそうなりやすいが、そうでない人でも冷えのために疲れが抜けにくいのは梅雨の時期だけです。

 暑くなって空気が乾いてくると、自然に発散するので汗はたまりません。引っ込んでも、また出てきますから、冷えてもあまり影響は受けないのです。ところが空気の湿度が高いと発散できなくて溜まるのです。汗の発散は体温の調節が役目ですから、汗が余分にタラタラ流れているのは、汗、本来の姿ではないのです。冷えるのも、汗が溜まっているからです。

 最近は、部屋や自動車にクーラーを使うので風が直接首に来て冷やしてしまう。あるいは、自然の風に当たることも含めて冷えやすいのです。風呂から出て、すぐ扇風機に当たることは、脳溢血製造法です。その首の冷たくなった処を触ると普段より太くなっています。冷えると鈍ぶると硬く太くなってくる。それが冷えの特徴です。背骨など鈍くなって、押しても弾力がない。また心臓に異常を起こす人もあります。血圧に変化を起こし、血行変動を起こす人もあります。しかしこの時期は「汗が引っ込んだな」と思ったら、後頭骨と第一頚椎の間(頚上)を温めますと、ケロッと落ち着いてしまいます。温めると首に汗が出て良くなるのです。従って梅雨の時期の一番大事な問題は、首の汗の処理と、頚上を8分間、温めることです。

 夏になると、汗がドンドン出てきます。それは汗を出すことを必要とする環境になったからなのです。だから夏は汗がスラッと出れば、体に故障は起こさないが、出た汗を引っ込めれば、異常を起こす。

 そこで整体操法は、ただ汗が出にくい状態を調整して、自然に汗が出るようにすることが目標になります。梅雨の時期を越しても、胸椎5番の飛び出している人は、入梅時期と同じような状態が続きます。体がだるくなり、眠くなり、汗の発汗がスムースに出来なくなっているので、体もベタベタして風呂に入っても体が乾かないのです。

 体の調子が良くなったとか悪くなったとか言っている中に、季節の移り変わりがある。環境がその人の生存に適うよう移り変わったと見るべきで、それを操法や何かで他動的によくしたように考えるのは錯覚です。それを見極めておかないと、次の環境の変化に対処できません。

野口晴哉「風声明語2」より


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