予防医学は転ばぬ先の杖的な役割を持っていると考えます。それには、大ごとになる前に体の些細な変調を察知できる感受性を備えることが大事ではないでしょうか。そのためには、整体協会の創設者である野口晴哉氏が開発した活元運動(無意識の運動)と背骨の行気が重要だと思います。
その活元運動とは、内臓の働きなど生命維持にとって重要な錐体外路系の運動(不随筋の運動)を鍛える運動。そして背骨の行気とは、延髄から背中を走っている脊髄神経に気を通す気功です。その脊髄神経は、機能的には求心性(感覚性)の神経(体性感覚神経、臓性感覚神経)と遠心性(運動性)の神経(骨格筋を支配する体性運動神経と血管や内臓の筋を支配する臓性運動神経)を含んでいます。四肢と体幹に分布する神経のほとんどは脊髄神経ですが、一部、脳神経である迷走神経が胸腹部の内臓を支配しています。
その神経に気を通すことにより、感受性が磨かれ感覚が敏感になります。私たちの体は、不都合な状態を自覚して初めて改善に働き出すように出来ています。それは自分自身が異常を感じて改善を起こす場合と、自分自身は異常を感じなくても体自身が感じて改善の行動を取る場合に分けられます。この感受性を磨く二つの方法は、すぐ出来るほど簡単ではありませんが、継続することによって誰でも磨くことが出来ます。それによって、些細な違和感を感じ取ることが出来る様になり、それを自覚することにより体は改善に働き出します。
目にゴミが入ったら涙を出して洗い流したり、悪いものを食べれば吐いたり下痢をして外に排泄し、ばい菌が入れば熱を出し殺菌をしてくれていることはよく知られている事です。それ以外に、急に深呼吸をした時に背骨がポキッと鳴って椎骨が矯正されたり、寝相に見られるように無意識に伸びをしたり体を捻ったりして筋肉の緊張をほぐしバランスを整えてくれています。
無意識なその体の働きを意識的に行う方法として、手でバランスをチェックし、脳に自覚させ頭部のPSラインからのアクセスでバランスを整える方法があります。まずは感受性を磨き、体の違和感を自覚しバランスチェックで脳に自覚させ、PSラインアクセスで整える。まさに「自分の体は自分で」の主旨に基づいた予防方法として役立てて頂きたいと思っています。