最近楽しみにしている番組があります。それはNHKスペシャル「新ジャポニズム」という番組で、 第1集「漫画」、第2集「J-POP”ボカロ」そして先日第3集「日本食」でした。
第3集「日本食」では世界各国で広がっている多種多様な日本食レストランを取材していて、去年12月にサウジアラビアでオープンした「超高級」居酒屋レストランに密着していて、客が思い思いの料理を注文し、分け合い、談笑するという居酒屋のスタイルが人気の秘密となっていました。
そのほか、アメリカの「OMAKASE(おまかせ)」フランスの「IKEJIME(いけじめ)」ブラジルの「TEMAKI(手巻き寿司)」など世界中でうごめく日本食の今を取材していました。
中で気になったのが、56年連続でミシュランの3つ星を獲得しているフランスの老舗レストランで腕を振るうフランス料理界の巨匠、ミッシェル・トロワグロさんのインタビューでした。
彼は100回以上来日するほど、日本食の影響を色濃く受けフランス料理を作っていて、中でも料亭での昆布と鰹節でとった出汁に衝撃を受けたそうです。フランスに帰った彼は、独自に昆布とかつお節の出汁にアレンジを加え、白ワインやバターなどを加えて煮詰めてソースを作っていました。
トロワグロは「最小限の食材を使って、どのようにすばらしい一品を作るか。これが、日本が私に教えてくれたことです」と語っていました。私たち日本人が考えてもみなかった日本食の価値、私たちが見過ごしてきたかもしれない日本食の本質を、海外の人々の熱い想(おも)いと言葉で解き明かしていくという内容の番組です。
そこには私たちが気がつかず忘れかけている、長い独自の歴史が育んできた日本文化の精神性が世界に影響を及ぼし始めているのではと思うのです。次回30日の第4集「デザイン」が今から楽しみです。