あけましておめでとうございます。
今年も
「ほぼ新刊書読み」読書生活に、よろしくお付き合いください。
書評に面白いとあったので「世界は五反田から始まった」(星野博美著 2022年7月 ゲンロン叢書)を読みました。
大佛次郎賞受賞作だそうです。
五反田(東京)に生まれ育った著者
生家は
千葉から出てきて町工場(ネジの製作)を立ち上げたお祖父さん
から引き継いだお父さんの代になって
そのお父さんも90才近い
著者は製品の配達も手伝っている。
人は2つのタイプに分かれるという。
過去の記憶を保持しているタイプと
過去のことはほとんど忘れて先のことに関心を向けるタイプ。
著者のお祖父さんは保持タイプで
記憶していたことを書き残したものがある。
ちなみにお父さんは忘れるタイプ。
聞いてもさっぱり埒があかない。
そのお祖父さんの手記の周辺を
聞き取りや文献調査で埋めていってみると
驚くことが分かってきた。
お屋敷と町工場が接している五反田には
◯美智子上皇后の実家跡がある
◯小林多喜二が一時期住んでいた
ことは知られいているが
調べてみるともっと他のことも分かってきた。
日本初の労働者の子供のための保育所
日本初の労働者のための診療所
があった。
建物疎開で家を失った人たちの中には
農業の経験がないのにもかかわらず満州に渡った人たちがおり
終戦後
五反田に帰って来た人は5%しかいない。
ドイツの敗戦の余波で
日本への空襲が強まった時
五反田にも空襲があり
焼け野原になった
……
コロナと戦争の在る現在
「歴史は繰り返す
と言われるが
あいにく同じ顔ではやって来ない」
と著者は言う。
タモリも2023年は
「新しい戦前」と言っているしね
読むなら今です。
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