ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

「一階革命」 一階が変わればまちが変わる

2023-03-13 | 読書日記

「一階革命」(田中元子著 2022年12月 晶文社刊)を読みました。

歩いていると、ちょっとひと休みしたいなぁと思う。
あるコンビニの椅子席で
ああ、やれやれ
といった感じで
飲み物を買って休んでいるお年寄りを見かける(しばしば)

もっとベンチがあればなぁと思う。

ベンチのある町をウォーカブルシティって言う?
え、国土交通省でウォーカブルシティを募集している?

ということでウォーカブルシティづくりに取り組んできたという
この本を読んでみました。

町を見ていて
子ども連れの人がふらっと入れるところがない
散歩しているお年寄りが休めるところがない
犬の散歩の途中に立ち寄れるところがない
遠慮なくおしゃべりのできるところがない
……
私設公民館ならば
それができる、と著者は思った。

条件は一階であること。
コペンハーゲンのランドリーカフェ(コインランドリー+カフェ)にヒントを得て
洗濯機と乾燥機のある喫茶店を作ることにした。
おしゃれなカフェではなく
あくまでも喫茶店。
そのために内装も椅子やテーブルもカップも吟味した。
おしゃれになりすぎないで、ほっとできる雰囲気になるように。
喫茶店の古家具だったテーブルと椅子
IKEAの照明
MIKASAのマグカップ
ちょっと古家具も
開口部は広くとって
外から何をしているかが見えるようにした。
軒先も作った。
名前は「喫茶ランドリー」(会社名はグランドレベル)

今ではさまざまのことが行われる私設公民館になっている。
なによりすごいのは
私設公民館というイメージづくりに貢献したことだ。
それ以来全国に同じようなものができるようになった。
喫茶ランドリー宮崎台店(川崎市)
ハタメキ(江東区)
谷cafe(福岡市)
マックスバリュおゆみの店(千葉市)
……

イメージを作るということはすごいことだ。
言葉で説明しても
企画書を読んでも分からないことが
見れば分かる。
そして
収益を上げるということはもっとすごいことだ。
収益があるということは
続くということだから。

著者は
ベンチプロジェクトというものもはじめている。
ベンチにはいくつもの効用があるという。
①町での滞在時間を延ばす
②休憩を挟むことによってより長く歩けるようになる(健康効果)
③滞在時間が延びると消費行動も活発化する
④人と出会う確率が高くなりコミュニケーションが活発になる(幸福度が上がる)

置き配ならぬ
置きベンチ。
いいなぁ

(ベンチにはベンチで
多々問題があるようですが)

 

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