ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

「図書室のはこぶね」 学園ミステリ

2022-05-14 | 読書日記

「図書室のはこぶね」(名取佐和子著 2022年3月 実業之日本社刊)を読みました。



タイトルに「図書室」とか「図書館」とあると
ついつい手に取ってしまいます。
学園ものミステリです。

体育祭が近いある日
友達から図書委員のピンチヒッターを頼まれた百瀬花音は
入学して初めて図書室に足を踏み入れた。
バレー部の部活動に忙しかった百瀬は
3年の今まで、図書室に縁がなかったのだ。
でも、足を怪我してしまったので
体育祭に出場することはおろか
準備に関わることさえもできない。
そんな百瀬にとって、図書委員のピンチヒッターは渡に船だった。

ビーバーのような前歯をした図書委員の朔太郎を手伝っているうちに
百瀬は不思議な本を発見してしまう。
「方舟はいらない
大きな腕白ども
土ダンをぶっつぶせ」
と書かれた紙が挟まった「飛ぶ教室」だ。
(土ダンというのは、学級対抗で行われるダンス競技のことだ)
既に本棚には「飛ぶ教室」があるのに
なぜラベルの貼られた「飛ぶ教室」がもう一冊あるの?
百瀬は張り切って謎解きに挑むことにする。
(だって、打ち込むものが他にないのだ)

体育祭前の閑散とした図書室に現れたのは
裸の上半身にバスタオルを巻きつけただけの少年。
土ダンの女装衣装を着たくなくて逃げて来たのだと言う。

さらに生徒会長の笠原翠子までもが逃げ込んで来る。

朔太郎がコクタロウとあだ名される原因となった告白の相手
で朔太郎の幼馴染の美少女江森蛍も現れる
……

司書の伊吹さん
司書教諭の郡司和巳まで巻き込んでの一週間
が描かれる。

にわかマイノリティになった百瀬が
にわか文学少女になり
にわか探偵になる
(初恋も)
……

意外に深いテーマが描かれています。

 

 

 

 

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