里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ヒメオドリコソウの越冬葉

2018-12-18 | 日記
遠田郡涌谷町の北には、標高222mの箟岳丘陵が東西10kmにわたって連なっています。
この丘陵地は男鹿-牡鹿構造帯に沿っていて、安山岩質溶岩の上昇に伴って、浅海の堆積
層が押し上げられて形成されたものと推測されます。
平坦な沖積平野の真ん中にある丘陵地ですから、その麓には平地~山地の多彩な植物が
見られるだろうと、南麓の集落道や小沢周辺を踏査しました。

丘陵地の南麓は、軟らかい砂岩や凝灰岩からなっているため侵食されやすく、奥行きの
浅い小さな谷があちこちにあります。その1つに入っていくと、入り口辺りの牧草地周り
にヒメオドリコソウが群生していました。珍しい植物ではありませんが、後に記す在来種
のオドリコソウと対比させるため、敢て取り上げました。
オドリコソウと比べると、葉の先端や鋸歯が丸みを帯びていることと、葉脈部分が窪んで
網目状のシワに見えることで、容易に識別できます。




                             二枚とも2018.12.15撮影

前述したように、ヒメオドリコソウは群生することが多く、牧草地や耕作地周辺では大群落を
形成することも珍しくありません。これには二つの理由があります。
1つは「アリ散布植物」であること。
「種子にアリが好む種枕(エライオソーム)という物質が付いていて、これを餌とするアリが巣
に運び込む。アリは種枕だけを食べ、種子の部分は巣の外に捨てるので、そこから発芽する。」
もう1つは他感作用(アレロパシー)という、他の植物の成長を阻害する物質を分泌すること。
「ヒメオドリコソウの根からでる滲出物と、枯死後の葉からの溶脱物質が、他の植物の生長に
強い抑制効果をもたらす。」


                                 2018.12.15撮影

シソ科オドリコソウ属の2年草。ヨーロッパ原産の帰化植物で、明治中期に東京で侵入が確
認された。現在では北海道~本州に分布し、更に分布域を広げている。草丈は10~25cm。
茎は4稜形、下向きの毛が生える。葉は三角状卵形で、脈が深く、花期に赤紫色を帯び、有柄。
鋸歯は丸みがあり、やや不規則。葉裏は軟毛が密生してやや白く、腺点がある。
花期は3~5月、茎の上部の葉脇に長さ1cmほどの淡紅色の唇形花をつける。雄しべ4個。
花粉は橙色。花柱は先が2裂する。萼は5裂し、裂片の先が尖り、裂片の先に延びるように脈
が隆起し、脈の一部が紫褐色になる。
果実は4分果、頭部はほぼ平ら。分果は長さ2mmほど、3稜があり、基部に大きな種沈が付く。


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