一関市花泉町永井地区北部、丘陵地の中段に木々に囲まれた赤茶色の屋根が見えますが、
枝葉が野放図に茂っているので、長らく人の住んでいない屋敷と思われます。
屋敷への細道の上り口で休んでいると、脇の草藪に見慣れないつる草を見つけました。
縦長のハート形の葉が土留めの上を這ったり、ヨモギやセイタカアワダチソウに絡んでい
ますが、ヤマイモとかアオツヅラフジの葉とは違いますね。
初めて見るつる植物のようです。
密生する草藪に踏み込んでいくと、紫褐色の花が咲いているのを見つけました。
花のつくりがウツボカズラのようで、色も形も不気味ですね。
また、つるを伸ばしながら次々とツボミを付けるようで、小さなツボミから咲く直前の長
いものまでたくさん付いています。
二枚とも2020.7.30撮影
野草図鑑「つる植物の巻」をめくっていると、よく似た植物が載っていました。
「ウマノスズクサ」とありますが、分布域をみると関東以西とあります。実際は分布域が
もっと北上するのか、よく似た亜種があるのか、ネット検索で調べてみましょう。
多くのネット記事ではやはり関東以西となっているものの、農研機構の有毒植物の記事には
「東北地方南部~沖縄」となっています。
農研機構は、農業と食品産業発展のため設立された独立行政法人ですから、そこでリリース
する情報は信頼できるものでしょう。
そうすると、岩手県南部に分布していても不自然ではないでしょう。
よって、写真のつる植物を「ウマノスズクサ」と同定します。
名の由来は、葉が馬の顔の形に似ていて、また果実が馬の首に掛ける鈴に似ていることによ
るといわれています。
二枚とも2020.7.30撮影
ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属のつる植物で、東北地方南部~沖縄に分布する。
集落や耕作地周り、河川敷や草地などに自生し、他物に絡みつるを2~5m伸ばす。
根は長く地中に伸び、所々から新芽を出すが繁殖力は弱い。全体に無毛で粉白を帯びる。
茎は細くて強く、初めは直立し、他物に絡んで伸び、まばらに分枝する。
茎や葉に独特の臭気があリ、アリストロキア酸などのアルカロイドを含む有毒植物。
葉は互生し、葉身は3角状狭卵形で長さ3~9cm、先端は鈍頭、基部は心形で左右が円い
耳状になる。全縁で、葉柄は長さ1~2cm。
花期は6〜8月、葉腋から花柄を出し、花を横向きに1個、まれに2個つける。
花柄は子房を含めて長さ2~4cm。3個の花被が合着して黄緑色の筒状になる。
花筒は長さ3~4cmのラッパ状で細くゆるく上方に湾曲する。基部は球形に膨らみ、中に
6本の雄しべと1本の雌しべがある。花筒内壁には毛があり、のちに脱落する。
果実はまれに結実し、球形~楕円形の蒴果で長さ2〜6cm、基部から6裂する。
種子は扁平な卵状3角形で長さ4~5mm、膜状の翼がある。
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