里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

イチビの花 有害外来種

2017-02-17 | 日記
栗原市南東部の、丘陵地の農道を歩いていると、路肩や法面に黄色い花を疎ら
に付けた、やや大型の植物が群生しているのが見えます。花の近くには既に実が
生っていて、たしか・・昨年の秋に観察したイチビの実ですね。
機械部品のギアのようで、一度見たら忘れない特異な形をしています。

特異な実に似合わず、花は可愛い五弁花ですね。
アオイ科ですからタチアオイとかゼニアオイの仲間で、いわゆる美人の系統でしょう。




                             二枚とも2016.9.4撮影

イチビは外来種で、アメリカなどでは畑の害草として問題となっています。
イチビにはアレロパシーがあるため、これが畑へ侵入することによりダイズやワタなど
作物の収量が大幅に減少するというのです。アレロパシーを和訳すると「他感作用」で、
ここでは「植物から放出される化学物質によって、他の植物の生長が阻害されること。」
と言うことになります。この撮影地点でも、他の大型植物は生えていませんでした。

さらに厄介な問題があって、イチビの種子の皮は硬く、数十年にわたって発芽能力
を持ち続けるため、耕起によって深く埋められても、何年か後に再び表層に出てくると
発芽するというのです。これでは1本いっぽん抜き取るしかないのですが、広大な畑地
では無理というもの。それで、いつになっても根絶できないと騒がれるわけです。
日本でも「侵略的外来種ワースト100」に指定され、駆除の対象になっています。


                                 2016.9.4撮影

アオイ科イチビ属の一年草。インド原産の帰化植物で、草丈は0.5~2mになる。
世界では100種ほどが知られていて、日本には2種が渡来し、日本全土に分布する。
日当たりを好み、人家近くの荒地や耕作地周辺などに野生化している。
全体的に白色の柔毛に覆われ、茎の断面は丸く上部で枝分かれする。
葉は互生し、葉身は心円形で長さ7~10cm、長い葉柄がある。
花期は7~9月で、上部の葉腋から花柄を出して、直径2cmほどの黄花を2~3個付ける。
果実は半球形で直径2cmほど、10~15個の分果からなる。
分果は袋状で環状に並び、先端には角状の突起がある。
果実の色は茶色と黒色と2種類あり、古くに渡来した系統は茶色で、近年侵入してきた
系統は黒色。最近では黒色の方が多く、撮影した果実もこの系統。
分果の中には3~5個の種子が入り、直径3mmほど。



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