里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ナミキソウ 雄勝の海岸

2017-03-03 | 日記

雄勝町の半島部、荒れた林道を下っていくと海岸沿いの杉林に出ます。
ところが海岸が近づくにつれ倒木が多くなり、やがて道形も判らなくなってきました。
止む無く西側の山麓をへづるコースをとり、ようやく海を見下ろす砂丘上に出ました。
砂丘と言っても高さは5~6m、潅木や野草に覆われ砂は殆ど見えません。
藪をかき分けて下っていると、足元の草叢に青紫色の小さな花を見つけました。
シソ科のナミキソウの花ですね。花の形はタツナミソウに似ています。




                             二枚とも2016.7.31撮影

以前、南三陸町歌津地区で、半島部の車道脇の砂地に咲いているのを見たことがある
くらいで、宮城県内では希少種と思われます。
そもそも自然度の高い砂浜が少ないのに、五年前の大津波を受けて、防潮堤が隙間無く
築かれようとしていますから、なおさら希少な存在になってしまうことでしょう。
都市近郊とか自然保護に熱心な地域では、ビオトープが設けられていると聞きます。
海岸の植物を保護するようなビオトープも必要でしょうね。
もっとも、この浜などは岩壁で隔てられ、唯一の連絡道である林道は荒れ果て、一般の
人が近づくことができませんから、既に実質的には保護区になっていますけどね。


                                 2016.7.31撮影

シソ科タツナミソウ属の多年草で、北海道~九州に分布する。
海岸の砂地などに生えるものの、単独で群生することはなく、ヨモギやチガヤなどの
草叢に混生し、草丈は20~40cm。
細長い地下茎を横に伸ばして増え、茎や葉には軟毛がある。
茎は直立または斜上し、茎断面は4角形で、幾本にも分枝する。
葉は対生し、葉身は長楕円形で先端は丸く、長さ1.5~3.5cm、幅1~1.5cm。
短い葉柄が付き、葉質はやや厚く、縁には鈍い鋸歯がある。
花期は6~9月で、茎上部の葉腋に唇形花を1個ずつ付ける。葉は対生するので、
2個並んで同じ方向を向いて咲く。花冠は青紫色で長さ2~2.2cm、筒部は長く、
基部からほぼ直角に曲がって立ち上がり、直立する。上唇はかぶと状にふくらみ、
下唇は3裂する。萼も上下2唇に分かれ、上唇には丸いふくらみがある。
果実は萼に包まれた分果で、ふつう4個入る。分果の長さは1.7mmほど。
多くの都府県で絶滅危惧種に指定。宮城県でも準絶滅危惧種に指定している。



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